北朝鮮の実態はわかりにくい。情報は閉鎖され、外国人は入国しても取材活動など不可能だ。現地で接することのできるのは、一般市民になりすました秘密情報員か、うそでたらめを演じる俳優だという。真実の姿は平壌を訪れてもわからない。特に地方の実情など中国国境地帯の一部以外、知るすべもない。
飢餓はいつも北東部、咸鏡北道などが悲惨である。最近も北東部では食糧の配給が滞っており、たいへんな惨状を迎えつつあるともいう。北朝鮮では配給が止まると民衆は餓死する。
かつて1997年7月、国連WFPが北朝鮮の強硬な反対を押し切り、はじめて北東部の清津港に支援食糧を積んで入港した。しかし手遅れだった。
家のなかにも街路にも、駅や市場にもいたるところに餓死者があふれていた。あまりの多さにだれもが驚きもしなくなっていた。処理もできずに何日も放置されている。夜中に回収のトラックが来て、何百体も積んで山のなかに掘った巨大な穴に放り込んでいく。地獄だったと死体処理にあたった脱北者は回想している。
昨年11月末に北朝鮮から帰国した在日によると、平壌の市民は後継者(金正恩)にまったく関心がなかった。自分の生活がたいへんで、後継者について考える余裕もないという。平壌の市民は、たいへんな物価高に苦しんでいる。北朝鮮の労働者の月収は、おおよそ4000ウォン(約3200円)だがタバコ1箱で2000ウォン、タマゴ4個で2500ウォン。給料では生活できない。
平壌ではまた配給が止まった。暴動や争乱が起きてもおかしくない、と現地では口にし出している。首都までがたいへん危険な兆候である。
いまの北朝鮮の食糧の配給事情では、3月末か4月はじめに50万トンの食糧の手当てをしなければ、再びたいへんな餓死の惨劇を繰り返してしまうといわれている。
しかし金正恩体制は3月末まで喪に服さなければならない。さらに4月には金日成の生誕100周年と自らの就任祝いがある。
韓国も米国も今年は大統領選挙が控えており、6月以降は北朝鮮どころではない。6カ国協議にも本格的に取り組む余力はない。
しかし北朝鮮は4月までに50万トンの食糧支援を必要としている。韓国と米国双方は、大統領選挙に有利に働くよう北朝鮮支援行為を利用するとみられる。3月か4月か、北朝鮮は金日成生誕100周年、正日70年、正恩30年の「強盛大国」の扉を、食糧支援で開くであろう。米韓はこの機を自己に有利に利用するはずだ。飢餓の危機にある民衆を救済する「人道」というPRと考えるのであろうか。
ところで金正恩の年齢は29歳のはずだが、30歳だと発表される予定という。また正恩の誕生日も1月8日ではなく4月4日が正しい? 正日は70歳没から1歳減算され、69歳逝去が定説になってしまっている。本当は今年が生誕71周年である。さらには正恩は正日の三男ではなく、実は金日成の実子。正日の弟だと発表されるという有力な説まである。正恩の旧名は「キム・ヒョン」だそうだ。
いずれにしても北の無垢な多数の民衆を餓死させてはならない。ただ残念なのは高級幹部たちが贅をつくし、軍の食糧庫には十分な備蓄があるとされることである。この国を救う行為は、あまりにもつらい。被災地におくる義捐金とは意味が異なり過ぎる。
参考引用書
雑誌『正論』2012年2月臨時増刊号「緊急出版 金正日の死と日本の進路」
「金正日の罪 餓死 300万人の計画的大虐殺」萩原遼
「朝鮮半島はどうなるのか 手綱がとかれた北朝鮮軍」重村智計
○「北朝鮮教化所 元収容者講演会」ワン・ワールド・フェスティバル案内
金正恩新体制がスタートしても今後の動向が予測つかない北朝鮮情勢です。
今なお苦しみ続ける北朝鮮の人々の生活状況と北朝鮮教化所(管理所)、元収容者を韓国から招き講演会とブース出展を開催します。
北朝鮮のひどい人権蹂躙をやめさせ、北朝鮮の人に助けの手を差し伸べる術なども知ってもらいたいのです。(主催側の談話)
日時:2月4日(土)午前10時~17時
会場:大阪国際交流センター
「北朝鮮難民救援基金によるブース」の出展
展示品は「北朝鮮の経済破綻を象徴する紙質の悪い教科書」
「少年がはいていたボロボロの靴」「人権弾圧の写真や資料」
「基金を通して北朝鮮に配っている歯磨き剤や胃腸薬」
日時:2月5日(日)午前10時~16時
「元収容者講演会」10時~12時
会場:大阪国際交流センター 3階銀杏の間(定員100人)
大阪市天王寺区上本町8―2―6
電話06―6722―5931(代表)
アクセスはホームページを参照
参加費:無料
主催者:ワン・ワールド・フエステイバル実行委員会
事務局は(特活)関西国際交流団体協議会内
大阪市港区築港2―8―24 pia NPO2階
電話06―4395―1124
(フエステイバル専用電話080―6130―2605)
※「journalist-net」1月14日付より転載しました。
<2012年1月17日記>
飢餓はいつも北東部、咸鏡北道などが悲惨である。最近も北東部では食糧の配給が滞っており、たいへんな惨状を迎えつつあるともいう。北朝鮮では配給が止まると民衆は餓死する。
かつて1997年7月、国連WFPが北朝鮮の強硬な反対を押し切り、はじめて北東部の清津港に支援食糧を積んで入港した。しかし手遅れだった。
家のなかにも街路にも、駅や市場にもいたるところに餓死者があふれていた。あまりの多さにだれもが驚きもしなくなっていた。処理もできずに何日も放置されている。夜中に回収のトラックが来て、何百体も積んで山のなかに掘った巨大な穴に放り込んでいく。地獄だったと死体処理にあたった脱北者は回想している。
昨年11月末に北朝鮮から帰国した在日によると、平壌の市民は後継者(金正恩)にまったく関心がなかった。自分の生活がたいへんで、後継者について考える余裕もないという。平壌の市民は、たいへんな物価高に苦しんでいる。北朝鮮の労働者の月収は、おおよそ4000ウォン(約3200円)だがタバコ1箱で2000ウォン、タマゴ4個で2500ウォン。給料では生活できない。
平壌ではまた配給が止まった。暴動や争乱が起きてもおかしくない、と現地では口にし出している。首都までがたいへん危険な兆候である。
いまの北朝鮮の食糧の配給事情では、3月末か4月はじめに50万トンの食糧の手当てをしなければ、再びたいへんな餓死の惨劇を繰り返してしまうといわれている。
しかし金正恩体制は3月末まで喪に服さなければならない。さらに4月には金日成の生誕100周年と自らの就任祝いがある。
韓国も米国も今年は大統領選挙が控えており、6月以降は北朝鮮どころではない。6カ国協議にも本格的に取り組む余力はない。
しかし北朝鮮は4月までに50万トンの食糧支援を必要としている。韓国と米国双方は、大統領選挙に有利に働くよう北朝鮮支援行為を利用するとみられる。3月か4月か、北朝鮮は金日成生誕100周年、正日70年、正恩30年の「強盛大国」の扉を、食糧支援で開くであろう。米韓はこの機を自己に有利に利用するはずだ。飢餓の危機にある民衆を救済する「人道」というPRと考えるのであろうか。
ところで金正恩の年齢は29歳のはずだが、30歳だと発表される予定という。また正恩の誕生日も1月8日ではなく4月4日が正しい? 正日は70歳没から1歳減算され、69歳逝去が定説になってしまっている。本当は今年が生誕71周年である。さらには正恩は正日の三男ではなく、実は金日成の実子。正日の弟だと発表されるという有力な説まである。正恩の旧名は「キム・ヒョン」だそうだ。
いずれにしても北の無垢な多数の民衆を餓死させてはならない。ただ残念なのは高級幹部たちが贅をつくし、軍の食糧庫には十分な備蓄があるとされることである。この国を救う行為は、あまりにもつらい。被災地におくる義捐金とは意味が異なり過ぎる。
参考引用書
雑誌『正論』2012年2月臨時増刊号「緊急出版 金正日の死と日本の進路」
「金正日の罪 餓死 300万人の計画的大虐殺」萩原遼
「朝鮮半島はどうなるのか 手綱がとかれた北朝鮮軍」重村智計
○「北朝鮮教化所 元収容者講演会」ワン・ワールド・フェスティバル案内
金正恩新体制がスタートしても今後の動向が予測つかない北朝鮮情勢です。
今なお苦しみ続ける北朝鮮の人々の生活状況と北朝鮮教化所(管理所)、元収容者を韓国から招き講演会とブース出展を開催します。
北朝鮮のひどい人権蹂躙をやめさせ、北朝鮮の人に助けの手を差し伸べる術なども知ってもらいたいのです。(主催側の談話)
日時:2月4日(土)午前10時~17時
会場:大阪国際交流センター
「北朝鮮難民救援基金によるブース」の出展
展示品は「北朝鮮の経済破綻を象徴する紙質の悪い教科書」
「少年がはいていたボロボロの靴」「人権弾圧の写真や資料」
「基金を通して北朝鮮に配っている歯磨き剤や胃腸薬」
日時:2月5日(日)午前10時~16時
「元収容者講演会」10時~12時
会場:大阪国際交流センター 3階銀杏の間(定員100人)
大阪市天王寺区上本町8―2―6
電話06―6722―5931(代表)
アクセスはホームページを参照
参加費:無料
主催者:ワン・ワールド・フエステイバル実行委員会
事務局は(特活)関西国際交流団体協議会内
大阪市港区築港2―8―24 pia NPO2階
電話06―4395―1124
(フエステイバル専用電話080―6130―2605)
※「journalist-net」1月14日付より転載しました。
<2012年1月17日記>