水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

疲れるユーモア短編集 (56)仕事

2021年04月07日 00時00分00秒 | #小説

 人は働くことで疲れる。疲れない人がいれば、お目にかかりたいくらいのものだ。^^ ただ、仕事をすることで疲れる度合いは、人によって当然、異(こと)なってくる。疲れない人はタフと呼ばれ、エネルギッシュな人である。むろん、遊んでも疲れる訳だが、遊んで疲れる場合は本人の勝手で、自業自得(じごうじとく)だろう。^^ 人は仕事をすることで世に貢献(こうけん)し、その対価としてお金を得て生活をしている。つまり、仕事をして疲れることは生き続けるための手段なのである。仕事をする必要もない大金持ちの方は、この例(たと)えには当てはまらず、その限りではないが…。^^
 二人の老人が公園のベンチで話をしている。
「いやぁ~参りましたっ! あちらもこちらも新型ウイルスの話でっ!」
「なんか、行事やイベントも自粛自粛みたいですなぁ~。人がおらず仕事も減ったと孫が話しよりました」
「報道で、余計に人が委縮(いしゅく)するのは困りものですばいっ!」
「暮らし向きも負のスパイラル[螺旋(らせん)状の曲線]になりよります」
「私の外食も月一でしてのう、ははは…」
「以前はっ?」
「はあ、まあ毎日とはいきよりませんでしたが、隔日(かくじつ)は外で食べよりました」
「とゆうと、店にすりゃ、かなりの売り上げダウンってこつですかのう?」
「はあ、まあそうなりよりますかな、ははは…」
「仕事が少のうなり、身体(からだ)は疲れず気の方が疲れよります」
「さよう、さよう…」
 二人は長話(ながばなし)をやめ、疲れる素振りも見せずコンビニ弁当を食べ始めた。
 口を動かすのも仕事のうちで、疲れることから解放されるようだ。^^

                   完


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