水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

疲れるユーモア短編集 (67)お日さま

2021年04月18日 00時00分00秒 | #小説

 気になっていたことの一つに、お日さまは疲れないんだろうか? という素朴な疑問が過去にあった。^^ 今はっ? と訊(たず)ねられれば、その疑問は消えた・・と申さねばならないだろう。どうしてっ!? と諄(くど)く訊ねられるお方もおられようから、その訳をお話ししよう。実は、お日さまもお疲れになるのである。では、その疲れをどう回復されるのか? ということになる。そういうとき、お日さまは雲の絨毯(じゅうたん)の上で寝息を立ててお眠りになっているのである。要は、疲れる身体をお休めになっている訳だ。^^ 浴室でシャワーやバスにお浸(つ)かりになっておられるのか? といった詳細までは定かでない。^^
 太陽光パネルが設置された、とある家庭の昼下がりである。空は澄みやかに青れ渡り、暖かな光が燦燦と降り注ぐ。庭に出た夫が洗濯物を干す妻に何やら言っているようだ。少し覗(のぞ)いてみることにしよう。
「どうなんだっ?」
「なにがっ!?」
「なにがっ? って、アレだよっ!」
 夫は徐(おもむろ)に瓦屋根に設置された太陽光パネルを指さした。
「ああ、電気代のこと?」
 夫は無言で頷(うなず)いた。
「まあ、当たり障(さ)りがないくらいね…」
「当たり障りがない? それって、どういうことだよっ!?」
「だから、当たり障りがないくらいってことよ。お日さまに、ただで光をもらって電気代が安くなってんだから、それでいいじゃないっ!」
「いや、それはまあそうだけどな…」
「たまのお休みでしょ。疲れるからそんなことは考えない方がいいんじゃないっ?」
「ああ…」
 二人はポカポカと暖かな光を降り注がれるお日さまを、有難そうに思わず見上げた。
 お日さまも万物に光をお与えになられ、お疲れになっておられるに違いない…と私は推測をしている。^^

                   完


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