水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

疲れるユーモア短編集 (78)皮(かわ)

2021年04月29日 00時00分00秒 | #小説

 漢字の部首に病垂(やまいだれ)というのがある。疾、疼、症、痒…など、この垂(たれ)の漢字は多くある訳だが、概して言えることは、すべてが病(や)んだ状態を表す漢字だということだ。なぜ羊(ひつじ)さんが病むと痒(かゆ)いのかが分からないが、^^ 同じように、なぜ皮(かわ)が病む状態が疲れるのかも分からない。^^ 今日はそんなお話だ。
 東海道小学校、六年二組のとある授業中である。
「先生! ウイルスも食べるんですかっ?」
「んっ!? 藤枝君、君はどう思うんだっ!?」
 唐突(とうとつ)に質問された教師の掛川は、教室内の多くの生徒を前にして恥をかく訳にもいかず、逆に訊(たず)ね返した。
「僕は食べるって思うんですっ!」
「ほう! 食べるのか。なぜ、そう思うんだっ?」
「だって増えていくでしょ? 増えていくには食べなくっちゃ!」
「なるほどっ! エネルギーが必要って訳だな」
「そうだと思います。食べれば出しますよね?」
「出すっ!? 何をだっ?」
「何をって、先生は食べれば出さないんですか? うんち」
 教室内は爆笑の渦(うず)になった。
「そ、そら、先生だって食べれば出すさっ!」
 教師の掛川は内心で、疲れる授業だな…と、思わず眉間(みけん)に皺(しわ)を寄せた。
 疲れた…と思えば、眉間に皺が寄り、皮が疲れるのである。^^

                   完


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