水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

疲れるユーモア短編集 (73)動く

2021年04月24日 00時00分00秒 | #小説

 人は動くと疲れる。ジィ~~っとしていれば疲れないのか? と問えば、必ずしもそうとは言えない。^^ というのも、身体(からだ)は疲れないが、心が疲れる・・という体調変化が往々(おうおう)にしてあるからである。人に限らず、動くから動物は動物なのであって、動かなければ、ただの物でしかない。^^
 とある公園である。
「おやっ? あの人、今日もまだ座ってるよっ!」
「だなっ! 他にすることないのかねぇ~~。あんなご身分になってみたいよっ!」
 日が昇り始めた早朝から公園のベンチに座っている老人を見て、前の道を通りがかった二人の老人が訝(いぶか)しく思えたのか、立ち止まって話し始めた。
「まあ、別に悪いことしてる訳じゃないからいいんだけどね…」
「ははは…そうそう! 一日中、公園のベンチに座ってちゃいけないっていう法律はないからっ!」
「そうそう! 自由、自由! しかし、疲れないのかねぇ~」
「元々、動く人じゃなかったとか…」
「動物じゃなく植物だってこと?」
「ははは…そこまでは言ってないっ!」
 二人の老人は、見ない振りをして通り過ぎた。
 動く動かないは、本人の自由なのである。それによって疲れる疲れないも、本人の自由なのである。^^

                   完


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