水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

疲れるユーモア短編集 (62)待たない

2021年04月13日 00時00分00秒 | #小説

 (61)の逆の待たない・・という選択肢も疲れることを回避(かいひ)するためには当然、有り得る。^^ ある意味、見限るという意思になるが、待っていよう…と心に決め、ある程度は待っていて、物事や人との接触が上手(うま)くいかない場合、そういう選択肢になる訳だ。
 春の朝陽が眩(まばゆ)い、とある地方小学校の校門前である。登校時刻が近づいた小学五年を受け持つ教師の平畑は、腕を見ながら生徒達の登校を待っているという寸法だ。
「妙だなぁ~。来んじゃないかっ!」
 平畑は項垂(うなだ)れて渋く言った。待ち時間が数十分だからそれも仕方がない。だが、生徒達が登校しないのは当然で、その日は春休みの始まりで、学校はすでに休校に入っていたのである。日々の習慣とは恐ろしい。終学式が昨日だったことを平畑は忘れていたのである。平畑は自分のポカミスに疲れ果て、ガックリと肩を落とした。待たない方が疲れる・・とはこういう場合なのである。^^

  ※ 終学式は年度の終わり、終業式は学期の終わりのようです。^^

                   完


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