水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

疲れるユーモア短編集 (60)どうでもいいっ!

2021年04月11日 00時00分00秒 | #小説

 どうでもいいっ! と割り切れれば、気分が疲れることは、まずない。^^ 人は割り切れず、いや、待てよ…と、あとを引きずるから疲れる訳である。^^ 要は、決断力のある、なしの違いといっても過言ではないだろう。
 夕食後、テレビ番組を観ながら寛(くつろ)ぐとある家族の居間である。
「父さんっ! 風呂、早く入ってくれよっ! 俺、八時に友達と会う約束があるんだっ!」
「八時かっ!? 高校生が八時に出歩いていいと思ってんのかっ!」
 父親は、野球中継を、どうでもいいっ! と
割り切れず、観続けたいばかりに屁理屈を捏(こ))ねてゴネた。試合が1-1で盛り上がるラッキーセブンだったこともある。
「父さんっ! 高校生が八時に出ちゃ悪いのかっ!」
 売り言葉に買い言葉である。父親と息子の両国は一発触発の戦争危機に見舞われた。
「お父さん、お風呂っ! あんたも、あんたよっ!」
 両国の戦争危機を未然に防いだのは国連総長の母親のひと言だった。
「…」「…」
 蛞蝓(なめくじ)に塩をかけたように、二人は沈黙した。
 どうでもいいっ! と割り切れない場合、その疲れるような気分を遮断(しゃだん)する第三者や出来事があれば、どうでもいいっ! と割り切れるようである。^^

                   完


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする