水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

明暗ユーモア短編集 (85)気の持ちよう

2022年03月01日 00時00分00秒 | #小説

 物事の進み方は、気の持ちようで明るくもなれば暗くもなる。物事を明るく捉(とら)え、軽くスイスィ~~っと熟(こな)せば、割合と上手(うま)く片づくものだ。それを暗く深刻に捉えたりすれば、上手くいくものも上手くいかなくなる。これは科学法則では割り切れない妙な現象である。
 とある有名中学の受験会場である。受験を終えた二人の小学生が校門から出ようとしている。
「どうだい、出来たかい?」
「ははは…ちょろい、ちょろい!」
「そうか…、僕は軽く考えて、余り追い込まなかったからダメかも知んない…。でも、いいんだっ! どうせ、受かりっこないんだから…」
 その生徒は明るい顔で軽く言った。
「いやいや、受けるからには、何がなんでも受からなきっ!」
 もう一方の生徒は重苦しい顔で暗く断じた。
 二人の受験に対する気の持ちようは全然、違っていた。
 そして受験発表の日がやって来た。結果は真逆で、受からないと明るく思った生徒の方が受かり、暗く言い切った生徒の方がダメだったのである。
 明暗を分けますから、気の持ちようは大事なのです。^^

                   完


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする