水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

明暗ユーモア短編集 (89)リサイクル

2022年03月05日 00時00分00秒 | #小説

 今の時代、よく言われのがリサイクルである。英語の[サイクル]に[リ]が付いた言葉だ。^^ [ホーム]に[リ]が付いたリホームという言葉もあるから、英語が得意でないお方でも凡(おおよ)そはお分りになるだろう。^^ 要は、もう一度、使える形や物にする・・意だ。もう一度、使えるなら、こりゃもう、気分は明るくなる。もう一度、使わず使い捨て、新しいものにはなるが、気分はどこか暗いはずだ。人間の深層心理に、使い捨てた罪の意識が少し残るためだろう。^^
 とある町のとある店前である。二人の顔見知りの男が
久しぶりにバッタリと出会い、明るい顔になった。
「久しぶりだな、蟹崎(かにざき)っ!」
「やあ、蝦川(えびかわ)かっ! お前、リストラされたって聞いたぞっ! どうしてんだっ!?」
「どうも、こうもねえよっ! その通りの13年さっ!」
「今はっ!?」
「お蔭(かげ)さんで、また働かせてもらってるっ!」
「よかったじゃねぇ~かっ!」
「ああ、まあな…」
「今の時代、リサイクルされりゃ、御(おん)の字だぜっ!」
「…リサイクル?」
「ああ、リサイクル。使い捨ての時代だからな。一度、捨てられちまえば、それまでっ! ってヤツが多いっ!」
「リサイクルされりゃ、幸せってことか?」
「ああ、リサイクルされりゃ明るいさ。ポイ捨てられりゃ暗いっ!」
「世の中、ポイ捨てのゴミだらけだぜ…」
「だなっ! ポイ捨てたヤツらも孰(いず)れはポイ捨てられるさ、ははは…」
「自業自得ってやつか…」
「ああ、そういうことになる…」
「話が暗くなったなっ!」
「お前は明るくしてもらって、よかったじゃねぇ~かっ!」
「ああ、お蔭さんでっ!」
 リサイクルされれば、暗くなるものも明るくなる・・という結論が導ける。皆さん、明るくしましょう!^^

                   完


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