明るい白の逆は暗い黒で、暗い黒の逆は明るい白である。あんた、何を言ってんだっ! と言われる方もお有りだろうが、それが事実なのだから仕方がない。^^
私達が暮らす三次元世界の全(すべ)ての事象には逆がある。無罪の逆は有罪、昼の逆は夜…etc.と、逆の事象が付いて回っているのである。とある町に住むこの家族も、日曜の朝から逆で口喧嘩が始まっていた。
「ああ! どうしてこう、出来の悪い息子が生まれたんだろう? 俺はお前の逆で、生徒会長までやってたんだぞっ!」
「父さん、生徒会長をやりゃ、出来がいいのかい?」
「そりゃ、そうだろうがお前! 不出来なら、誰も生徒会長にしてくれないだろうがっ!」
「僕は不出来だけど、父さんとは逆で、背はクラスで一番、高いよっ!」
「大きなお世話だっ! 俺は背が低いが、逆にお前のように軟(やわ)じゃないっ!」
そこへ仲裁裁定する委員長のように、母親が顔出しして呟(つぶや)いた。
「どっちもどっちよっ! 私と逆で、物が片づけられないんだからっ! お父さんはDIYの道具、あんたはスキー板、出しっぱなしにしとかないでよっ!!」
「…」「…」
暗く口喧嘩したとしても、親子は逆ではなく似通った明るい共通点がある訳だ。ただし、このお話のように良い点ばかりではありません。逆も当然、あります。^^
完