ブービーという言葉がある。最下位より一つ上のランクを意味する和製英語だ。日本風に分かりやすく言えば、お尻(しり)より二番目っ! ということである。^^ 結果が最悪で暗いにもかかわらず、どういう訳か賞が頂戴でき、明るい気分になる不思議なランクだ。
とある町役場である。、この男、職員の蕗川(ふきかわ)も、どういう訳かブービーが多い男だった。上司の仕事の評価も悪く、そうかといって同じ課で最悪の土筆(つくし)よりは、いつも少し出来がいい評価だった。課ではブービーさんで通っていた。
「あっ! ブービー君、ちょっと!!」
課長の猪豚(いのぶた)に呼ばれた蕗川は課長席へと歩んだ。
「君に頼んだアレは出来てるかい!?」
「アレというと、ナニですねっ?」
「そう! そのナニだよ」
「ナニは出来ました。今、土筆さんに仕上げをしてもらっています」
「ああ、そうか…。おいっ! 土筆君っ!」
「はいっ!! 何でしょう、課長!?」
「ナニは出来てるかいっ!!?」
「えっ!? ナニというとアレですかっ!?」
「そう、アレだっ! いや、そうじゃない、ナニだっ! …んっ? どっちなんだ!? もういいっ、ナニでもアレでもっ! とにかく出来てるかっ!!」
「出来てません…」
蕗川はニタリと明るく笑った。蕗川は、やはり最後に笑えるブービー男だったのである。^^
完