水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

明暗ユーモア短編集 (95)程度

2022年03月11日 00時00分00秒 | #小説

 程度とは、どの程度なの? の程度である。^^ 別の言葉で言いかえれば、加減という言葉になるだろう。程度は人によって、その感じ方が違い、コレッ! という具体的な数値で表せない曖昧(あいまい)[ファジー]な言葉なのである。この男、干物(ひもの)も、いよいよ来年は大学進学という一年が巡っていた。進級して三年になったのはいいのだが、受験勉強をどの程度していけばいいか? が、まだ掴(つか)めず、干(ひ)からびたような顔でアングリしていた。
「干物っ! お前、どこ受けんだっ!?」
「俺かっ!? まだ決めてねぇ~んだっ! お前はどうなんだ、刺身(さしみ)っ!?」
「俺かっ!? 俺は生(なま)大の水産学部だっ!」
「生節(なまぶし)大か…。で、アソコはどの程度の難易度なんだっ?」
「俺の偏差値なら、たぶん大丈夫だろう…って、担任の蝦尾(えびお)さんは、そう言ってんだがな…」
「蝦尾さんがそう言うんなら大丈夫だろっ! まあ、頑張れよっ!」
「ああ…お前もなっ!」
 二人は校門を出ると別れた。
 干物はまず、受験校の程度を知ることから始め、無難に思える程度の大学を自分で選択し、一年後には、めでたく桜が咲いた。一方の刺身は、担任の言葉に従ったが、自身は大学の難易度を知らず、一年後、撃沈した。
 程度は人によって基準が異なるから、自分自身の程度で物事を進めた方が桜が咲きやすい・・という結論が導ける。^^

                   完


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