生物見遊散歩

「生物」を「見」て「遊」ぶ「散歩」を「(生)物見遊散(歩)」と呼んで、「自然観察」を楽しんで行こう。

大阪・関西万博での生物多様性保全について・続き

2021年10月31日 | 自然保護

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10/25の投稿で、大阪維新の会の三橋弘幸府議と上野あつし市議に「大阪・関西万博における生物多様性配慮」を政治課題として取り上げて欲しいと説明に行く事について記載していました。

 

衆議院選挙が本日で終わるため、近々に説明に上がりますので、主旨についてまとめておきます。

 

夢洲は南港野鳥園とともに、生物多様性ホットスポットに指定されている場所です。

南港野鳥園も、過去には埋め立てが進む中、野鳥保護のために市民運動の盛り上りによって保護された場所です。夢洲でも、同じように埋め立て中に、形成された環境に生きものが再生し、また利用される場所になっているため、生物多様性ホットスポットとして指定されたものです。

 

この夢洲は、廃棄物の埋立て地ですが、本来はもっとゆっくりと廃棄物が埋め立てられる予定で、緑地重点地区にも指定されていました。しかし、万博やIRが決まって、廃棄物の埋立てではなく、土地造成の埋立てに変わり、この豊かな自然環境が壊され様としています。(既に壊された場所もあります。)

 

大阪自然環境保全協会(保全協会)は、この様な背景のもとに、2019年から夢洲の生きもの調査を行ってきました。その概要は、次の様にまとめられています。

→ 夢洲生きもの調査アルバム http://www.nature.or.jp/action/yumeshimamirai/photobook/

→ 動画「夢洲ー生きもの調査の記録からー」You Tube (約20分)https://www.youtube.com/watch?v=83sVGWqawmg

→ 自然の風景と生きものの写真「夢洲の12か月」http://nature.or.jp/action/yumeshimamirai/photobook/landscape.html

 

夢洲には、淡水池、塩水湿地をはじめ、様々な環境が形成され、カモ類やシギ・チドリ類が全国でも有数規模で飛来し、繁殖地にもなっています。猛禽類もたんくさん見られます。

また、これを支える植生(ヨシ原、干潟、海岸植物等)が豊かに再生されており、希少種も含まれています。こうした環境は、全国でも希少な場所と言えます。

 

現在、大阪・関西万博では博覧会協会が環境影響評価(アセス)・準備書(最終的な評価書の前段階)を作成して、公開縦覧(11/1まで)されており、意見受付け(11/15)が行われています。

 

この準備書において、妥当な調査、予測、評価が行われていると良いのですが、次の様に多くの問題あります。

→ 博覧会協会アセス準備書の問題点 http://www.nature.or.jp/assets/files/ACTION/yumeshima/20211028natuharaPP.pdf

・事業計画が具体的でなく、影響を受ける生きものの生息や生育の可能性が示されていません。

・調査方法では、現地調査方法が妥当ではなく、資料調査でも抜けている生き物があります。

・影響評価すべき重要種の選定でも、追加が必要です。確認場所や採餌、休息、繁殖場所の記述もありません。

・保全や創造のための措置では、海岸性植物、草地、裸地、湿地の保護が示されてなく、これらを利用する動物に配慮されているとは言えません。

・万博の後に続くIR事業との複合的影響が示されていません。コアジサシ(2021には夢洲で繁殖がみられている)の継続した繁殖可能な場所の確保が必要です。

・事後調査(評価書がまとまって以降の調査)は、工事着手前、工事期間中、開催期間中となっていますが、会場計画が固まっていない部分があるので、計画と連動した見直しが必要です。

等々。

 

大阪・関西万博の誘致に際しては、夢洲の生きものの現状について、全く配慮されていなかったと考えられます。

保全協会が、夢洲の現状や問題点について、これまで資料や意見を提出したに困惑している様にも見受けられます。

 

万博アセスは、会場設営と運営だけが対象であり、現状で進められている埋め立ては、過去の廃棄物埋め立てのアセスで完了しているとされて、生物多様性ホットスポットが埋め立てが進められている現状があります。

しかし、万博が決まってから、廃棄物の埋立てから、土地造成の埋め立てに目的が変わっている事が明らかなことから、現行の埋立ても含めて万博アセスの対象とすべきと考えます。

 

説明の主旨は、ここまでです。皆さんは、どう考えられますか。

博覧会協会のアセス準備書への意見受付けは、次の通りです。

↓↓↓

https://www.expo2025.or.jp/news/news-20211001-01/

 

今日は、ハロウィンなので、地元の鳳商店街に登場しているモンスターたちを載せておきます。

狼男、魔女、フランケン、ミイラ男かな。去年までは、見られなかった様に思います。

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大阪・関西万博での生物多様性保全について

2021年10月25日 | 自然保護

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10月24日の16時くらいです。

JR鳳駅前で、日本維新の会の街頭演説がありました。

「馬場伸幸候補」の街宣車が来ていて、永藤英樹・堺市長、高木かおり参議院議員がマイクを持って改革を訴えておられました。

この日、偶然にこの街頭演説に遭遇したので、これまで、このブログに掲載して来ました「大阪・関西万博」での生きものへの配慮について訴えて見ました。

この街宣を仕切っておられた、上野あつし・(堺市)市会議員が対応して頂き、今は忙しいので、選挙が終われば直ぐ(11月初め)に、大阪府会議員と一緒に話を聞かせて頂くと約束して貰いました。

大阪・関西万博のアセス(環境影響評価)準備書の縦覧が11月1日まで、意見の提出が11月15日までなので、時期としては良しとして連絡を待つ事にしました。

本日、早速に連絡を頂き、三橋弘幸・大阪府議と一緒にお話を聞いて頂く日程が決まりました。

「生物多様性保全」について、政治家の方々が、どの様に向き合って頂けるのか、大変興味深い機会が得られました。

夢洲が、廃棄物の埋め立て地にも関わらず、生きものが豊かな環境であり、生物多様性ホットスポットになっている事は、大阪・関西万博の誘致の際には、全く顧みられていなかったと思われます。

そんな中で、大阪、関西の活性化のために、万博誘致が決まって、生物多様性保全が唱えられている現在も、多くの方は「夢洲の貴重さ」に気づいておられないと思います。

現行の大阪市環境影響評価条例に基づく環境アセスでは、色々と制度上の限界もあり、夢洲の自然環境の保全は難しい局面を迎えています。

制度により救われない時こそ、政治の出番ではないかと思います。

上野あつし市議と三橋弘幸府議の対応については、またこのブログに載せたいと思っています。

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夢洲の未来の自然環境のために

2021年10月22日 | 自然保護

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本日の「生物見遊散歩」では、東京ディズニーリゾートに行った事を投稿しています。

関連して本日は、同じベイエリアの大阪「夢洲」の事を紹介しておきます。

この投稿は、大阪自然環境保全協会HPの次の部分を参考にしています。

↓↓↓

http://www.nature.or.jp/action/yumeshimamirai/

 

2025年に大阪湾・北港にある「夢洲」で、大阪万博が開催されることになっています。

皆さんは、この夢洲がどんな場所がご存じでしょうか。

埋め立て地であるため、生きものなんかいないので、万博で開発されるなら、良いことじゃないかと思われている方がほとんどであると思います。

しかし、実は生きものが豊かで、生物多様性ホットスポットにも指定されています。

同じことが過去にもありました。「夢洲」近くの大阪湾・南港にある「南港野鳥園」です。こちらは、埋め立てが進む中、野鳥保護のために残されて、現在は「夢洲」と合わせて生物多様性ホットスポットとなっています。

過去に出来たことを今は、もっと進めて行くべきではないでしょうか。

 

夢洲での大阪万博・環境アセス準備書へ問題提起を!

大阪市では、夢洲の環境影響評価手続きとして現在、博覧会協会のアセス準備書の縦覧を始め、意見を募集しています。

上に書いた様に、「夢洲」は大阪湾で過去に失われた自然が再生して、豊かな生きものが生息する環境になっています。

こうした場所でSDGsを掲げながら開催する万博としては、残念ながら生きものへの配慮を欠いたものと言わざるを得ません。

大阪自然環境保全協会では、「私たちからの環境アセスメント準備書」を公開して、博覧会協会のアセス準備書に足らない点を主張しています。

 

要約版(第1版): PDFダウンロード(2ページ)

本 編(第1版): PDFダウンロード(29ページ)

資料編

環境アセスメントで注目すべき野鳥

夢洲の在来植物

鳥類出現リスト

植物確認リスト

 

夢洲万博環境アセス準備書へ問題提起を!

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万博協会が出してきた準備書をどのような視点でチェックすべきか、私たちの準備書【生物多様性編】の説明会を開きます。

参加無料。ウェビナーで。

日時:17;00開会~18:30終了予定

主催:公益社団法人大阪自然環境保全協会

連絡先: lied201206@gmail.com (夢洲生きもの調査グループ )

 

オンライン講演会「日本の湿地の現状と環境保護政策」

ウェビナー登録 - Zoom

日本で湿地環境を保全するためには?ーー元環境省自然環境局長にお聞きします。ーー

日時:2021年11月2日(火)午後7時より開始 (9時ごろ終了予定)

講師:星野一昭氏 (特定非営利活動法人 日本国際湿地保全連合 会長)

主催:公益社団法人 大阪自然環境保全協会

連絡先: kaga@nature.or.jp(夢洲生きもの調査グループ 担当:加賀 )

 

夢洲調査の写真アルバムを公開

ただの人工島、ぺんぺん草くらいしか生えていない・・・そういう「なにもない」イメージだった夢洲。

じつは夢洲の自然がどれだけ生物多様性に富む野鳥の楽園・在来植物の復元自然ができてきていたか、私たちの調査で撮影した写真でゆっくりご覧ください。

※おことわり:一部のページがまだ制作中となっておりますが、環境アセス準備書期間に間に合わせるため、急ぎ公開いたします。

→ 夢洲生きもの調査写真アルバム

目次ページより各項目へお進みください。希少な水鳥や在来植物の写真も掲載しています。

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大阪・関西万博2025について考える

2021年10月10日 | 自然保護

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2025年に開催予定の大阪・関西万博の会場となる夢洲の自然環境についてご存じでしょうか。

 

夢洲は、大阪府レッドリスト2014において生物多様性ホットスポットの A ランクに指定されている重要 な場所であり、大阪市生物多様性戦略でも、大阪府レッドリスト2014を受けて、生物多様性ホットスポットを保全することを具体的施策に掲げられていますし、また、大阪市 新 緑の基本計画でも、夢洲を緑化重点地区とされている場所でもあります。

 

こうした場所が、大阪・関西万博の会場になることについて、あらためて考えてみることが必要ではないでしょうか。

ここでは、公益財団法人・大阪自然環境保全協会のHPに掲載されている内容を紹介しておきたいと思います。

2025関西万博・私たちからの環境影響評価準備書|大阪自然環境保全協会 (nature.or.jp)

 

<上記抜粋編集>

まずは、全国のみなさんに、夢洲を知ってもらいたい!と思っています。

→動画「夢洲ー生きもの調査の記録からー」You Tube (約20分)

→自然の風景と生きもののの写真「夢洲の12か月

→私たちのいきもの調査写真アルバム(準備中)

 

10月1日には、大阪市環境局より「2025年日本国際博覧会環境影響評価準備書」の縦覧が開始され、公益社団法人・2025年日本国際博覧会より、環境影響評価準備書の公表及び意見募集と説明会について、が発表されました。

これに対して、公益財団法人・大阪自然環境保全協会からは、「私たちからの環境影響評価準備書」が提案されており、これらを比較した勉強会や説明会が計画されていますので、こちらについても、ぜひ関心をもって参加頂ければと思い、転載いたします。

 

◆万博環境アセス準備書オンライン勉強会

日時:2021年10月16日(土)午前10時より。閉会予定:12時 

内容:万博協会から出された準備書と私たちからの生物多様性編を比較し、読み比べてみます。

対象:準備書の読み解き方を一緒に学習したい方。
参加お申し込み: こちらから(Googleフォーム)(先着30名以内程度)

※お申込みの方に、zoomのミーティングルーム番号とパスワード等をお知らせします。

---万博協会主催の準備書説明会がその後、10月18日、21日、23日にあります。(詳細は万博協会HPへ)---

 

◆私たちの環境影響評価準備書(生物多様性編)説明会

日時:2021年10月28日(木)午後5時から 閉会予定:6時半
内容:万博協会側の3回の説明会を受けて、その問題点を取り上げます。
対象:広く一般の方、全国の自然保護団体の皆様、アセス・環境審議会関係の皆様、マスメディアの皆様、どなたでも。
参加お申し込み: 追ってこちらに申込リンクを掲載します。(500名枠)
※ウェビナーでの開催を予定しております。
質疑応答はできませんので、質問があればあらかじめお知らせいただくか、当日チャットになります。

 

ここからは、私見です。

・大阪湾は、背後圏の経済活動の発展などに伴って大きく変化して来ました。

・そして、昭和初期頃までには、広く分布していた浅い海域や自然海岸は大幅に減少してしまいました。

・夢洲は、1977年に埋立て許可され、1991年に基盤整備事業が開始され、現在も土地造成継続中です。

・この夢洲の状況は、ある程度の造成後、放置された場所があり、豊かな自然が形成されています。

・そして、「大阪府レッドデータリスト2014」では、夢洲は南港野鳥園と共に「生物多様性ホットスポット」と評価されており、また「大阪市生物多様性戦略」でも夢洲は「重要な自然環境」と記述されています。

・ところが、夢洲は2025年の大阪万博会場となっており、更に続くIR(統合型リゾート)へと開発が続いて行きます。

・大阪湾の埋立て地では、先行する南港(咲洲)において、埋立て地に広大な水たまりが形成され、シギ、チドリの渡来が確認された事から、やがて整備が進み渡来地が失われる事に対して、市民運動が盛り上がり、この結果1983年に大阪南港野鳥園が開園し、現在に至っています。

・夢洲は、同じように、埋立て途上に広大な裸地や草地、水たまりが形成され、水たまりにはカモ類などの水鳥が、そして周囲にはシギ、チドリ類が渡来し、裸地は、コアジサシなどのアジサシ類、シロチドリの繁殖地となっています。

・こうした状況だけでなく、埋立て途上の自然環境は、大阪湾で失われたり、残っていても僅かである貴重な環境が再生しており、これらの状況をしっかりと把握、評価しておかなければならないと考えています。

・一方で、大阪湾では、一度は失われた本来の自然環境を再生する活動が、多様な主体が連携しながら進められています。

・夢洲の現況だけではなく、再生が期待できる潜在的ポテンシャルの評価も重要であると考えます。

・大阪・関西万博2025については、こうしたことを良く踏まえて対策または計画変更が必要ではないかと思っています。

 

よろしくお願いします。

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夢洲のコアジサシの状況・続き

2021年06月09日 | 自然保護

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大阪自然環境保全協会が発信している内容を、拡散します。

↓↓↓

夢洲2区(万博予定地)内で繁殖活動をしているコアジサシの保護を要望しています!

大阪港湾局が用意してくださっていたIR計画地での誘致エリアは残念ながら雨で水がたまり、その代わりにコアジサシは2区万博予定地に移動、そこでの繁殖を始めました。そのため、2021年6月4日付で、保護の要望を提出いたしました。
要望書提出先は、大阪市長・大阪府知事・大阪港湾局長・2025年日本国際博覧会協会会長宛です。

要望書全文はこちら

↓↓↓

20210604夢洲2区のコアジサシ繁殖保護の要望書|大阪自然環境保全協会 (nature.or.jp)

その後、大阪港湾局は内部調査で営巣を確認し、保護に向け、現在営巣エリア全体を立ち入り禁止にして、今後を検討しています。(6月9日現在)

今までのいきさつはこちらから

↓↓↓

2019年から保護エリア冠水まで

2区万博予定地内での繁殖行動の写真はこちらから

↓↓↓

2021年万博誘致エリアでの繁殖行動報告

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