生物見遊散歩

「生物」を「見」て「遊」ぶ「散歩」を「(生)物見遊散(歩)」と呼んで、「自然観察」を楽しんで行こう。

残土埋め立て開発阻止運動の総括

2020年12月15日 | 自然保護
本ブログの先の投稿「上神谷・美木多の残土埋め立て問題の総括」に関連して、「鉢ヶ峯の自然を守る会」のFacebookに、「上神谷・美木多の残土埋め立て開発を考える集い実行委員会」から「残土埋め立て開発阻止運動の総括」が掲載されているので、その内容をお届けします。
 
上神谷・美木多の残土埋め立て開発を考える集い実行委員会からの総括

鉢ヶ峯地区の最深部において計画された残土埋め立て開発に対する反対・阻止のための私たちの活動はまずもって大きな成果を得ることが出来ました。

どうしてこの開発を私たちは止めることが出来たのかを振り返り、今後の活動に資したいと思います。

今回の取組には、上神谷地区の住民、鉢ヶ峯営農組合、美木多地区の住民、鉢ヶ峯の自然を守る会(以下「守る会」)を中心とした実行委員会体制で取り組みました。「守る会」が事務局を務めましたが、「守る会」がこの残土埋め立て開発計画(以下「開発計画」)を知り、取組始めた時点で、すでに「鉢ヶ峯営農組合」と美木多校区自治連合会(以下「美木多自治連合会」)では先行して2018年より取り組みを進めていました。

今回の「開発計画」は、開発者が上神谷自治連合会長と鉢ヶ峯寺自治会長を兼務する森口氏と川商㈱というという異例のもので、その内容は鉢ヶ峯の里山の最深部、明正川の源流域約4.5haに残土を埋め、「農地」を作ろうとするものでした。

 地元にとって残土埋め立て開発阻止は切実な課題

「守る会」はこれまでも鉢ヶ峯のゴルフ場開発を始めとする自然環境を毀損する開発に反対してきましたが、今回の「開発計画」については「守る会」だけでなく、地元住民(上神谷地区だけでなく、美木多地区も含む)にとって看過できない大きな影響を与えるものと受け止められ、幅広く開発を疑問視する声が上がりました。

鉢ヶ峯営農組合にとっては、営農地の水源の枯渇と汚染のおそれがあるということが最大の問題となりました。これまでも大小の地元の開発により、住環境と自然環境の悪化に悩まされてきた美木多校区の住民にとっては、ダンプの往来増加による通行上の危険と住環境の悪化が問題となりました。泉田中地区の住民にとっては集落内を流れる石津川上流の開発により、河川の氾濫の危険性が高まるとともに地域の自然環境が悪化することが問題となりました。畑地区の住民にも石津川水系を一にする地域の自然環境の悪化は他人事とは捉えられませんでした。

しかし、それぞれの活動の経緯も違うので、当初はともに行動するのではなく、それぞれで取り組み、その上での連携として始まりました。

2019年7月以後、「守る会」と泉田中の西岡さん及び鉢ヶ峯営農組合理事長の中條さん、美木多自治連合会会長の田中さんと個別に情報共有がありました。

それに前後して、各々の取り組みとして堺市長への要望活動や情宣活動が行われています。

美木多自治連合会では、7月17日に自治連合会長と各単位自治会長の連名で堺市長に「南部丘陵の自然環境の保全と地域住民の生活環境の改善について」の要望書を提出。その取り組みを同連合会広報「美鴨」で報告しています。また、鉢ヶ峯営農組合は組合情報誌で組合員に残土埋立て開発問題を報告するとともに、9月11日、鉢ヶ峯土地改良区と連名で堺市長へ開発反対の要望書を提出しています。「守る会」でも8月23日、「南部丘陵の(通称)鉢ヶ峯の森の保全を求める要望書」を個別に提出しました。

 2019年9月、残土埋め立て開発の事前協議書が提出される

9月に西岡さんから大阪府土砂埋立て等規制条例(以下、「府条例」)に基づく事前協議書が提出されたという情報があり、状況が一変しました。「守る会」メンバーで協議したところ、市議会を通じた堺市への働きかけが必要ということになり、市会議員へ状況の説明を行った上で市議会で取り上げてもらうように要請することになりました。

複数の議員と面談を行う中で、市会で取り上げるだけではなく、地元と一体となった市民運動を盛り上げることが必要であり、一般市民が参加できる集会を開く必要性が浮かび上がりました。

そこで「守る会」は、緊急に地元住民を含めた会議を開くこと、その中で緊急集会を提案することになりました。

 11月3日集会に向けた取り組み(集会実行委員会の結成へ)

これまで個別に連絡を行い、状況把握を共有していた団体・個人が集まり、9月28日に第一回実行委員会を行いました。そして11月3日に栂文化会館にて100名規模の集会を行うこととし、タイムスケジュールを決めました。この実行委員会を「上神谷・美木多の残土埋め立て開発を考える集い実行委員会」(以下「実行委員会」)と名付け、この後毎週実行委員会を行い、集会内容等を詰め、参加呼びかけ等の進捗状況を共有しました。マスコミへの情報提供を行い、取材対応も行っています。

ここで生活者の生の声を参加者に聞いてもらうため、地元からの報告者に入ってもらうことを大切に調整しました。結果として農業者の立場から鉢ヶ峯営農組合の中條さん、生活環境の立場から美木多地域在住の小林さん、集会決議の提案者として西岡さんの登壇が実現しました。

集会決議は次の内容です。

1.明正川の源流域の樹林地を破壊する残土処分開発に反対します。

2.残土処分計画地を含む、堺市南部丘陵の中でも特に保全の必要が高いエリアについて、堺市による特別緑地保全地区として早期に指定することを求めます。

一ヶ月しかない準備期間の後に迎えた11月3日、会場にはつぎつぎと参加者が詰めかけ、当初予定した席では足らなくなったため、急遽イスの追加作業に追われました。後日集約したところ、参加者数は91名でした。当日は上神谷自治連合会での行事と重なっていたにも関わらず、多くの地元住民の方が参加した他、FaceBook等で呼びかけていただいた前田純一さんとつながりのある市民の方、一般市民の方もたくさん参加しました。そして市会議員の方も党派を超えて4名が参加しました。

集会冒頭には奈良女子大学教授の中山徹さんと大阪市立大学名誉教授の高田直俊さんにより残土埋め立て及び日本に於ける自然開発の問題点の指摘があり、続いて今回の開発の概要と懸念されること、自然保護の立場、農業者の立場、生活者の立場からのそれぞれの報告があり、最後に集会決議が確認されました。

この集会は地元自治会・農業団体の関係者、有志による地道な住民への声かけを自らの問題と受け止めた地元住民の積極的な参加、守る会からの呼びかけに応えた自然保護団体からの参加、意識ある堺市民の主体的な参加、そして市民の問題意識を我が事として捉えた各会派の市会議員の参加があり、非常に有意義なものとなりました。

 この集会作りの過程と成功により、実行委員会の結束が強まるとともに、各団体での取組が一層強化発展することになりました。

 特別緑地保全地区指定に向けた堺市の取り組み

堺市では10月19日に都市緑地法に基づく特別緑地保全地区指定についての市民説明会を開きました。説明に続く市民意見では、森口氏から「地権者に対する説明会を開くこと、納得が出来る価格で土地を買い上げること、埋め立ても緑地保全である」という意見があり、他の参加者からは現況の緑地を保全することの大切さ、農業への影響が心配等の声が上がりました。

続く11月6日には特別緑地保全地区指定についての公聴会が開かれ、一日をかけて18人の公述人が賛成・反対の意見を述べています。反対の意見を述べた方は今回の開発に係る方4人だけでしたが、14人の賛成意見があったことは、私どもの活動に関わる方だけではなく、南部丘陵の自然を残したいと考える方がたくさんいらっしゃることを実感しました。

開発者による地元説明会

府条例の残土埋め立て開発許可と特別緑地保全地区指定のどちらが先になされるかという時間のせめぎあいの中で、開発者(森口氏と川商㈱)は、府条例に基づく地元住民説明会を11月に開催します。11月1日、上神谷自治連合会(青少年の家)、2日に美木多自治連合会(上北自治会館)と続きました、1日の説明会では、行政が説明対象としている団体である鉢ヶ峯営農組合等に対して日程調整等の打ち合わせが全くなく、一方的に上神谷自治連合会と合同とされているという開催手続きの問題や、説明会の対象となる人に開催の案内が届いていない等の問題点の指摘がありました。しかし、これらの問題に対して対話に応じようとしない森口氏の対応に、約60名の参加者の半数以上が退席しました。参加者のほとんどが開発に反対する意見で、西岡さんの「連合自治会長やったら、こっち(住民側)に来てください。開発者側に立つのやったら連合自治会長をやめてください。」という発言に会場は拍手喝采となりました。

その後も11月11日美木多自治連合会(御池台自治会館)、11月13日上神谷自治連合会(青少年の家)、11月30日に美木多自治連合会(別所)と続きますが、住民の質問に適切に答えられ無い場面や、堺市に土地を買い上げさせるために、開発計画したとの森口氏の発言もありました。

実行委員会では、形だけの開催で実質が伴っていないとして、堺市及び大阪府の担当課に説明会の実態を説明して、これで説明会終了としないように強く申し入れしました。

このように開発者による地元説明会には、高い問題意識の元に多数の地元住民が集まり、直接疑問を開発者にぶつけました。形式的な説明会に終わらせないという地元住民の粘り強い姿勢が実質的に開発者を追い込んだと言えます。

 堺市議会での議員決議への流れと署名活動

集会後も実行委員会は毎週のペースで開かれました。次の活動として堺市に請願書を、大阪府に要望書を出すこととし、残土埋め立て開発を認めないこと、特別緑地保全地区の早急指定などを求める署名活動を行うことにしました。

藤本、長谷川、小堀、信貴の各議員に紹介議員となってもらい、それまで泉田中地区で集めた署名とともに11月13日に堺市議会に請願書を提出しています。

しかしここで実行委員会の思惑を超えて市会議員の中で全会派一致しての議員決議案を提出するという大きな流れが生まれました。

私たちの請願書の内容を汲み取り、全会派が一致できる議員決議案を作成し、可決しようというのです。

この立場から実行委員会に対し、請願書を取り下げることが打診されました。

実行委員会では協議の結果、大筋として請願内容と一致するので、請願書を取り下げ、議員決議案を支持することになりました。与党も含む全議員が一致しての議会決議なので、堺市は無視することができません。

議員決議は、特別緑地保全地区指定への大きな後押しになりました。

12月に入り、小堀、長谷川、信貴議員が堺市議会で特別緑地保全地区指定と開発の問題を取り上げ、質疑をしています。

12月19日、大阪府知事と堺市長あてに集約した署名(最終各々約5000筆)とともに、署名の内容と同一の内容の要望書を提出しています。

署名活動は西岡さんと中條さんが中心となり、泉田中、鉢ヶ峯寺等で多数集められた他、少し遅れて美木多地域でも集めることになりました。「守る会」関係では会員及び関連団体に署名用紙を郵送し、集約しました。

12月16日、毎日テレビ(newsミント)でこの問題が放映され、酒井さん、中條さん、田中さんのインタビューの模様が挿入されました。20日に泉ヶ丘駅前で街頭署名をしましたが、この番組を見て知っている人もいました。12月7日にはハーベストの丘入り口と鉢ケ峯の堺市主催「森の再生プロジェクト」の現場でも参加者へ署名活動をしています。

 特別緑地保全地区指定へ

さて、地権者向けの説明会を開くべきとの森口氏よりの意見を背景に、堺市は1月18日に南部丘陵の緑地保全に関する説明会を南図書館ホールで開催します。

先の10月19日に開かれた説明会は特別緑地保全地区指定に関しての説明会でしたが、この時の説明会は、特別緑地保全地区だけでなく、南部丘陵に於いて保全が必要なエリアと特別緑地保全地区指定以外の保全施策について説明がありました。説明は地権者だけでなく堺市民が対象とされました。たくさんの人が集まり、指定に係る地権者の同意についての質疑、保全推進すすめるべきとの声、地元とのニュータウンとの格差の是正を求める声等多数の意見が出されました。

そして2020年1月23日に都市計画審議会が開かれ、該当地の「鉢ヶ峯寺特別緑地保全地区約14ha」の都市計画決定がなされ、2月3日、同地区指定の都市計画決定の告示がされました。

これでこの問題は一旦決着が付きました。あとは地権者との協議となります。

 阻止活動が成功した要因

主体的要因

ここまで活動を振り返ると、残土埋め立て開発を我がことと捉え、阻止活動を全力で行った地元住民活動・農業団体の活動と、「守る会」の活動があったこと、そしてその地元住民・地元組織・農業団体と「守る会」とのネットワーク・連携が可能になったことが、開発を止めることができたことの最大の要因であると考えます。

それは、「守る会」のこれまでの開発反対や里山保全運動の経験および事務能力と地元の方が培ってきた関係性およびパワー(今回明らかに地元勢のパワーが圧倒的でした)の融合が結実したとも言えます。

そしてなによりも、活動が一部のメンバーにとどまらず、地元住民、一般市民により広範な広がりを持ち、多数の集会参加や署名活動への協力という形で現れたことがこの活動を根っこの部分で支え、その正当性を裏付けることになりました。

市会議員の皆さんの真摯な取組

議員決議は、私たちの活動を契機としていますが、残土埋め立て問題を真摯に捉え、熱心に活動し、議員間そして各会派の調整の労をいとわずに動いて頂いた市会議員の皆さんの力が無ければありませんでした。また、提案を受け止めた市会議員全員と各会派の環境への意識の高さの現れであり、堺市の環境行政を力強く進めるメルクマールとなりました。

堺市職員の環境を守るぶれない姿勢があればこそ

また、特別緑地保全地区指定にあたり、市長の交代以後も一貫して指定推進の歩みを止めず、ぶれず実現に当たった堺市公園緑地整備課、都市計画課等関係課の職員の努力がなければ実現することはなかったと考えられ、高く評価したいと思います。

その他にも開発者側があからさまな私利に走ったことが露呈し、地元の支持を失ったこと、署名活動による現地の環境保全を求める広範な市民意見の提出、新聞、テレビ等の複数のマスコミが「開発計画」を取り上げたこと、FaceBookの活用、その他の要因が挙げられます。

  現在進行中の課題とこれからの取り組み

鉢ヶ峯寺特別緑地保全地区は指定されましたが、南部丘陵の他の緑地保全については地権者の理解と合意が必要であり、緑地保全や再生に向けてさらに広汎な市民の参加が求められています。また、現在、指定地区内の地権者から土地の買入れ申し出等により堺との間で話し合いが始まっています。これについても適正に行われるよう引き続き注視し、市が買い取った後の緑地保全のあり方についても対応していく必要があります。

また、今回は4.5haの残土埋め立て開発だったので、府の土砂埋立て等規制条例の対象となりましたが、規制の緩い小規模残土埋め立て開発の動きが懸念されます。堺市南部丘陵の残り少ない自然、とりわけ別所等での環境の破壊が心配されます。1000㎡以上3000㎡未満の残土埋め立て開発については、現在、堺市土砂埋立て等指導要綱の届け出すればよし、となっていて、規制できない状態となっています。

堺市では、この3000㎡未満の残土埋め立て開発を規制する市の条例の策定作業に入っており、これが早期に立案、施行されるように堺市に働きかけをしていくことが必要です。

これからも南部丘陵では様々な開発が計画されることが想定され、放置すると貴重な樹林と動植物が壊滅することも心配されます。

今後もこの地元と「守る会」との協力関係をベースに各方面との連携を維持・発展させ、開発から生活と環境そして農業を守る活動を継続することにより、開発から自然保護へと流れを転換し、人間と自然環境とが永続的に共生する社会を創成し、子孫に豊かな自然を引き継いでいこうではありませんか。

実行委員会は当面これまでと同様に継続すること、その中で当面の課題に対応するとともに、協議を深め、必要な組織改編を行いたいと考えます。

以上

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

上神谷・美木多の残土埋め立て問題の総括

2020年12月15日 | 自然保護

PVアクセスランキング にほんブログ村

このブログでは昨年の10/19、11/3、11/17、11/30、12/12、12/19、12/21、本年の1/29に、この問題について掲載しました。

今回あるフォーラムで、この問題について発表した資料です。

昨年から今年にかけて、堺・南部丘陵の一部の鉢ヶ峯寺の緑地が、残土埋め立て開発を免れて、特別緑地保全地区に指定された経緯をまとめています。

1.南部丘陵の位置

・堺市の南部丘陵は堺市で唯一、まとまった自然が残されている場所です。

・航空写真では、他の緑地は、共生の森、百舌鳥古墳群、大泉緑地くらいしか見当たりません。

出典:「南部丘陵の緑地保全について~緑地保全制度のご案内~」(堺市建設局公園緑地部公園緑地整備課)

2.南部丘陵の特徴

・南部丘陵には、美木多、別所、泉田中、鉢ヶ峯寺、畑、逆瀬川の各地区があり、丘陵全体の面積は1600haになります。

・この辺りは、石津川の上流、源流部で、二次林、溜池、棚田、河川が維持され、生き物が残されて来ました。

出典:「堺南部丘陵地域集落・資源位置図」(大阪府建設事業評価委員会)

・南部丘陵は、堺市に残された唯一の自然度の高い地域で、大阪府の生物多様性ホットスポットとも成っています。

出典:「大阪府生物多様性ホットスポット-多様な生き物たちに会える場所-」(大阪府環境農林水産部みどり推進室みどり企画課)

3.鉢ヶ峯の自然を守る会

・1990年の堺南部丘陵でのゴルフ場開発計画(130ha)への反対の取り組みがありました。

・1992年に堺市はゴルフ場計画には不許可としましたが、「開発」を前提とした「ゆとりとふれあいの場構想」を打ち出しました。

・これを受けて、1993年に「鉢ヶ峯の自然を守る会」が発足し、里山保全と鉢ヶ峯の自然を知ってもらう活動をはじめました。

・里山保全の活動では、堺市の開発計画に対して、里山保全の立場から要望(提案)や協議を重ねてきました。

・「鉢ヶ峯里山公園構想の提案」「南部丘陵地基礎調査およびゾーニング申入れ」「緑のミュージアム造成・東西道路整備への要望書」「天濃池ビオトープ事業協議」「ふれあいの森計画協議」「残土埋め立て開発への反対」等を行ってきました。

・「こんな里山がいいなぁ・・・」は、里山公園構想をイメージ化したものです。

・自然を知ってもらう活動では、「オオタカの森を守ろうシンポジウム」「ホタルフォーラム」「カスミサンショウウオプロジェクト」「ホタル調査」「ツバメの塒入り調査」「ナラ枯れ調査」等を実施してきました。

・年間の活動の概要は、定例行事、調査活動、その他で整理すると次の様になります。

・これまで「ハーベストの丘」「ふれあいの森」「天濃池ビオトープ」「東西道路」等への対応で、里山環境の保全に務めてきました。

・その甲斐があり、2010年には「堺市緑の保全と創出に関する条例・制定」が制定され、2012年には、この条例に基づく「堺市緑の政策審議会・答申」がなされ、保全を優先すべきエリア160ha、その他緑地340haが示されました。

・上記について堺市は、160haは特別緑地保存地区or保全緑地、340haは保全緑地の制度を活用する方向性です。

出典:「南部丘陵の緑地保全について~緑地保全制度のご案内~」(堺市建設局公園緑地部公園緑地整備課)

4.残土埋め立て開発計画への反対と特別緑地保全地区の指定決定の経緯。

・保全を優先すべきエリア160ha内について、過去2回の開発の動きへの対応がありました。(詳細は次頁以降。)

・左図は開発計画の場所で、右図は特別緑地保全地区の場所です。

出典:「鉢ヶ峯寺特別緑地保全地区・区域図」(堺市建築都市局都市計画部都市計画課)

<下記資料の上段の経緯>

・藍野学園の開発計画への対応です。(ハーベストの丘の様に堺市が買い取らなかった土地についての開発の動きへの対応になります。)
・この時は、開発側のイザコザで開発は中止され、特別緑地保全地区の指定も見送られました。

<下記資料の下段の経緯>

・川商・森口氏の開発計画への対応です。(上記の土地の一部を森口氏が取得し、残土処分(フルーツパーク開発)と埋立て後の転売で利益を目論んだ動きへの対応になります。)

・今回は、活動の広がりの成功から、特別緑地保全地区の指定に漕ぎ着けたものです。

<まとめ>

・活動が広がった事が開発阻止および特別緑地保全地区指定の成功の要因として考えられます。

・この方向性を継続、発展させて行く必要があります。(指定後の土地の保全と活用の仕組み作り等です。)

<今後の課題>

・更に、同様な開発圧力に対応して行く必要があります。(特別緑地保全地区指定されていない土地の保全と活用に向けての合意形成等です。)

・現に、逆瀬川でのスケートボードパーク開発(畑の棚田環境に影響)と、富蔵での太陽光発電パネル開発(妙見川の水質や土砂流入についての影響)の動きがあり、法律や条例の範囲での開発阻止について対応中です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする