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成熟期日本の未来は、確定的に暗いのか?

2024年08月23日 | 政治・経済
今日も国際関係アナリスト・北野 幸伯さんのメルマガからお伝えします。

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全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは! 北野です。

日本中の学者さんや研究者のほとんどは、「日本の未来はお先真っ暗だ!」と断言します。
しかし、私は「日本の未来は明るい」と思います。

なぜでしょうか?
長期予測と関係があります。
アメリカは、2005年の予測通り、衰退し続けています。

そして今アメリカは、「4正面作戦の恐怖」(つまり、ウクライナーロシア戦争、イスラエルーイラン戦争、台湾ー中国戦争、韓国ー北朝鮮が同時に起こること)におびえています。
それで、アメリカは、「オフショアバランシング」の方に振れざるを得ません。

つまり、「できるだけ現地の人にやってもらい、アメリカは、どうしても必要な時だけ直接介入する」。

私が長期予測を当て続けている理由は、【 国家ライフサイクル理論 】を使っているからです。
たとえば、2005年に発売した一冊目の本『ボロボロになった覇権国家アメリカ』は、
「アメリカ発の危機が起こって、アメリカは没落する」
という内容でした。

2008年、実際にアメリカ発「100年に1度の大不況」が起こり、「アメリカ一極時代」が終わりました。

同じ本の中で中国については、
「2008~2010年にかけて危機が起こるが、短期間で克服し、さらに成長を続ける」
「2020年くらいまで高成長を続ける」
という内容で、いずれもそうなりました。

ちなみに2005年といえば、巷で「北京オリンピック、上海万博後、中国バブルははじけ、経済危機が起こり、中国共産党政権は崩壊する」という「中国崩壊論」が流行っていたころです。
私は、「そうはならないだろう」と予測し、そうなりました。

(国家ライフサイクル理論とは)
ところで国家ライフサイクル理論とは何でしょうか?
私が20年ぐらい前に考えた理論ですが。

移行期(混乱期)→成長期(前期)→成長期(後期)→成熟期 →衰退期
と進んでいきます。

◆移行期(混乱期)
移行期=混乱期です。
前の体制から新しい体制に移行するので、混乱期でもあるのです。
幕末から明治維新、第2次大戦終戦後などをイメージすればわかりやすいでしょう。

移行期から成長期に進むためには、二つの条件が必要です。
一つは、政権が安定すること。
たとえば、旧幕府軍と新政府軍の戦いが終わり、明治新政府の支配権が確立した。

二つ目は、新政府がまともな経済政策をすること。
1949年、中華人民共和国が成立しました。
毛沢東の独裁で、政権は安定していました。

しかし彼は、究極の経済音痴だった。
それで、中国の成長期は、トウ小平が実権を握り、まともな経済政策をはじめた1978年末まで遅れました。

◆成長期(前期)
安い賃金水準で安い製品を生産することで急成長していきます。
日本でいえば、1950年代、1960年代でしょう。

◆成長期(後期)
安くて良質の製品を生産できるようになります。
しかし、賃金水準はどんどん上がり、世界市場における競争力が落ちていきます。
それで、成長が鈍化していきます。
企業は、安い労働力を求め、外国に逃げるようになっていきます。

日本でいえば、1970年代、1980年代でしょう。

◆成熟期
国民はそこそこ豊かですが、低成長の時代です。

◆衰退期
ゆっくり、あるいは急速に衰退していきます。
成熟期、衰退期の国民は、いわゆる3K労働をしません。

それで、3K移民を大量に受け入れ、「自国民が嫌がる仕事は、外国人に安くやってもらおう」と「差別的移民政策」を推進していきます。
この「差別的政策」が、国家を衰退させることが多いのです。

(大国は今どこに?)
さて、国家ライフサイクル理論から、大国の現状と未来を見てみましょう。

結論から言うと、欧州、アメリカ、ロシア、日本、中国は、いずれも成熟期です。
これから急成長は望めません。
大国の中で、唯一成長期にいるのがインド。

それで、私が2014年に出版した『クレムリン・メソッド』で予測したように、インドだけは急成長を続けるのです。
おそらくインドは、近い将来、人口、経済力、軍事力で世界1になるでしょう。

アメリカは、19世紀の覇権国家イギリスが20世紀衰えたように、21世紀衰退していきます。
中国は2020年、高成長の成長期から低成長の成熟期に移行しました。
また、人口急減時代に突入しました。
中国が覇権国家になることはないでしょう。

ロシアも成熟期。
戦術脳プーチンが24年も政権にいることで、先に進むほど苦しくなっていきます。

欧州も成熟期。
移民政策をあらためなければ、「キリスト教文明」としての欧州は滅び、イスラム圏にのみこまれてしまうでしょう。

(成熟期日本の未来は暗いのか?)
日本が成熟期であること、誰も反対しないでしょう。
だいたい1950年代1960年代が成長期前期。
1970年第1980年代が成長期後期。
1990年から成熟期。
こう聞くと、「日本の未来は確定的に暗い」と思ってしまうでしょう。

そうではないのです。
「成熟期」、人間でいったら「中年」と思えばいいでしょう。
中年は、何歳から何歳なのでしょうか?
諸説あるようですが、だいたい40歳から65歳ぐらいまでだそうです。

ところで、「中年」は、「個人差がつきやすい時期」でもありますね。
たとえば、福山雅治さんは55歳ですが、相変わらず若くてイケメンです。
サザエさんの磯野波平は54歳だそうですが、福山さんと同年代には見えません。
コナン君の阿笠博士は53歳だそうですが、福山さんの方が全然若いです。
(@実在の人物を福山さんと比較するのは失礼なので、アニメキャラと比較しました。)

同じ中年でも、
・酒量
・たばこをやる、やらない
・ストレスが多い、少ない
・運動をする、しない
・体にいいものを食べている、食べていない
・十分な睡眠をとっている、とっていない
などで、若さに大きな差が出てしまいます。
また、出世レベルも、資産状況も、同じ中年(成熟期)でもバラバラであることがわかるでしょう。

実をいうと国もそうなのです。
たとえば、国民の豊かさをあらわる指標、「一人あたりGDPランキング2024年IMF版」を見てみましょう。

1、ルクセンブルク131,384ドル
2、アイルランド106,059ドル
3、スイス105,669ドル
4、ノルウェー94,660ドル
5、シンガポール88,447ドル
6、アメリカ85,373ドル
7、アイスランド84,594ドル
8、カタール81,400ドル
9、マカオ78,962ドル
10、デンマーク68,898ドル

トップ10中、7か国が「成熟期」の欧米諸国が占めています。
ちなみに日本国は、33,138ドルで、世界38位。
34位の台湾、35位の韓国以下という、なさけない結果でした。

長くなるので詳述しませんが、成熟期でなおかつ繁栄している国には特徴があります。
一人当たりGDPが高い
労働時間が短い
汚職が少ない
教育レベルが高い
など。

「一人当たりGDPが高い」「労働時間が短い」というのは、要するに「労働生産性が高い」ということですね。

日本は、残念ながらまだまだです。
日本は、2年連続で実質賃金が減少しています。
にもかかわらず岸田政権は増税路線で、日銀は金利を上げていく。

「わざと日本が経済成長しないようにしているのか?」
それとも
「真正の〇〇なのか?」
と理解に苦しみます。

とはいえ、長期的に見れば、日本は「まともで豊かな成熟期の国にむかっているプロセス」と言えるでしょう。
たとえば、「働き方改革」と、新型コロナパンデミックで「テレワーク」が普及したことで、労働時間が短くなりました。

自民党の「裏金問題」は「ひどい!」と思います。
しかし、それが表に出て問題視されていることで「汚職が少ない国に向かっている」とも言えます。

実質賃金が低下していることや教育については、問題山積みだと思います。
ですが、日本国は一つ一つ問題を克服し、豊かな成熟期の国になっていくでしょう。

私は今回、何を言いたかったのでしょうか?
一つは、「成熟期の国」だからといってい、決して「お先真っ暗」ではない。
それが証拠に、「一人当たりGDP」上位は、ほとんど成熟国の国である。

これらの国は、日本より所得が高く、労働時間は短く、汚職が少ない。
日本も、「成功している成熟期国家」から学ぶことで、豊かな成熟期国家になることが可能。
ということです。

それで私は、「日本は成熟期だから衰退は必然です」とはいいません。
日本が繁栄するかどうかは、「私たちの行動にかかっている」ということです。

明るい未来を築いていきましょう!

---owari---
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