ベートーベンの交響曲第5番「運命」は有名な作品です。
ベートーベンの名言には「運命」という言葉が多く出てきますが、やはり彼は「運命」の申し子と言わざるを得ない。彼は神を意識しており、人間の心は不死であると分かっていたのです。
その上で、音楽家にとって致命的ともいえる難聴という「運命」と闘い、後世に有名な交響曲やピアノ曲数多く残したのです。
20歳代後半頃より難聴が徐々に悪化し、28歳の頃には高度難聴者となってしまいます。
ベートーベンも、死に等しいような絶望感から、32歳には『ハイリゲンシュタットの遺書』を記し自殺も考えました。
名言①
私は何度も絶望し、もう少しで自殺するところだった。だが、彼女が… 芸術が… 引き止めてくれた。私は、自分に課せられていると思っている創造を全てやり遂げずに、この世を去るにはいかないのだ。
音楽家にとって大きなハンデとなる難聴ですが、ベートーベンは特製ピアノを作って克服します。
彼は口に指揮棒をくわえてピアノにつけ、それによってピアノの音の強弱を感じながら作曲を続けました。今でいう 「骨伝導」ですね。そこには、絶望感を感じさせません。
難聴者であるベートーベンはメトロノームを愛用し、曲の速さを「視覚」によって理解しました。また、オーケストラの指揮者でもある彼にとって、メトロノームはまさに必要不可欠の道具だったのです。
そんな困難に負けず、絶望に屈することなく、1804年(34歳)、交響曲第3番「英雄」の発表を皮切りに、その後10年間にわたって交響曲5番「運命」、6番「田園」、7番、8番など、彼自身の生涯の作曲活動の、中期を代表する傑作を多数残したのでした。
名言②
私は運命の喉首を締め上げてやるのだ。
決して運命に圧倒されないぞ!
この人生を千倍も生きたなら、どんなに素敵だろう!
ベートーベンが生涯に作曲し、発表した作品の数は138曲にのぼります。私たちは、一度は必ず彼の楽曲を耳にしているはずです。テレビのCMや番組BGMに使われたり、メロディを活かして現代風にアレンジしたりして、意外なところで耳にしているクラシック音楽なのです。
難聴という苦難にもめげず、音楽を続けたい、作曲をしたいという信念であきらめずに行動したベートーベンの姿勢に感服です。
名言③
不死の心を持つ我々人間は、苦悩と歓喜の為だけに生まれる。
その中で最も優れた者は、苦悩を突き抜けて、歓喜を勝ち得ると言えるだろう。
晩年の約10年は、耳がほぼ聞こえない状態にまでなったベートーベンでしたが、それでも交響曲第9番のような大作を残し、ワーグナーやブラームス、ドヴォルザークやチャイコフスキーといった後世の音楽家にも、大きな影響を与えました。
1827年、56歳の生涯を終えた時、ベートーベンの心の中にあったのは、難聴という「苦悩」ではなく、その苦悩を乗り越え、自分がやりたいことをやり遂げたという「歓喜」だったのでしょう。
名言④
これはあなたのために書いたのではありません。後世のために書いたのです。
名言⑤
多くの人々に幸せや喜びを与えること以上に、崇高で素晴らしいものはない。
名言⑥
神がもし、世界でもっとも不幸な人生を私に用意していたとしても、私は運命に立ち向かう。
名言⑦
神性に近づき、その輝きを人類の上に撒き散らすことほど美しいことはない。
もう一度、名言③を。
不死の心を持つ我々人間は、苦悩と歓喜の為だけに生まれる。
その中で最も優れた者は、苦悩を突き抜けて、歓喜を勝ち得ると言えるだろう。
ベートーベンの人生は、彼自身本望であったと思います。
苦難や絶望を貫けば歓喜に至ることを彼は知っていたのです。音楽家でありながら自分の素晴らしい哲学を持っていたからこそ、後世に名が残せたのだと思います。彼自身が自分の人生に歓喜していたのだと思います。
---owari---
ベートーベンとの付き合いはもう長いです。
ピアノやオケ(ヴィオラ)で演奏してきました。
第5番「運命」の3楽章から4楽章に入る部分の緊張感がたまりません。
また、第9の4楽章冒頭でベートーベンがいろいろなメロディを試し迷い考え抜いた結果、「これだ!」といって高らかに歌い上げた「歓喜の歌」。
これらの苦悩を突き抜け歓喜にいたる部分にベートーベンの凄さを感じます。
耳が聞こえなくても、彼の完璧な絶対音感と才能が頭の中で傑作を作り上げたのだと思います。
私のほうも、毎回知的なお話を楽しみにしています。
これからもよろしくお願いします。
初めまして。
ベートーベンの楽曲を演奏されているママさんからコメントを頂き、本当に恐縮です。
雑学のなかで心の琴線にふれた事柄を、みなさまにご紹介しているだけですが、専門家のママさんに読んで頂き、大変光栄です。
また、「絶対音感と才能」について教えて頂き、有難うございました。
これからもよろしくお願いします。
こんにちは。
いつもご愛読いただき、有難うございます。
fujikumaさんのブログ「JFK-World」で見せて頂く画像は、いつも輝いていますね。
画像に関して素人の私ですが、画像の造形美、色合い、シンプルで分かりやすいコメント、それでいて美しい画像ばかりなので、いつも感心しています。
これからもよいお仕事をなさってください。
コメント有難うございました。
時々、貴ブログを読ませていただいています。
同じカテゴリーですので、また来ます。
よろしかったら私のつまらないブログにもお立ち寄りください。
リンクに加えさせていただければと思います。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。(^^)
ママさんのブログ、読ませて頂きました。
以前にも読ませて頂いたのですが、その時は何てすっきりした文章で、きれいなブログ構成なのかと感心しました。
グログは同じカテゴりーですが、新進気鋭のブロガー様のように感じました。
しっかりとした文章、しなやかで読みやすい内容などさすがです。
読んでいると何故かしら心が安らぎます。
お気持ちがおおらかで大きい方だとお見受けします。
現在、病気ご療養中とのことですが、お大事になさってください。
また、パパさんが今月22日に心臓の手術をされるとのことですが、ご成功をお祈りいたします。私も62歳の時に心臓手術をしましたが、その後の経過は良好です。
最後になりましたが、ブログのリンク、有難うございました。
その後は良好とのこと。良かったですね!
うちも手術が上手くいくといいです。
ブログのご感想をいただき嬉しい限りです。
この4月から始めたばかりのまだ1年生です。
皆さんのブログを参考にさせてもらっています。
このゆびさんのブログもなかなか客観的・哲学的なところが私のお気に入りです!
私は今まで論文を書いてきましたので、ブログ内容も女のブログとしては少々理屈っぽいと自覚しています。
まあこれも個性だと思ってお読みいただければと思います。
ではまた伺います。(^^)