世界最古の土器は、日本で見つかっている。最新の発見では16,500年前のものだという。それに次ぐのが揚子江(ようすこう)中流域で見つかった約14,000年前のものである。
古代の文明であるメソポタミア、エジプト、インド、シナのいずれの文明においても、土器は捧げ物、食べ物を盛り付けるために使われたのだが、日本の土器は煮炊きのために使われていた。時期においても、用途においても、日本の土器は他文明よりも、はるかに進んでいたようだ。
二十世紀最大の先史学者と呼ばれるゴールドン・チャイルドは、土器の発明を「化学的変化を応用した人類最初の大事件」と見なしている。粘土を焼くと、水に溶けない土器になるという化学的変化を「人類最初の大事件」としたのだが、土器を煮炊きに用いるのは、その特性を最大限に活用した工夫であった。
さらに粘土は可塑(かそ)性を持ち、それを焼くことで、自由な造形や模様づけが可能である。撚糸(よりいと)を土器表面に回転させて縄目(なわめ)模様をつけた縄文(じょうもん)土器、燃え上がる炎の形状を模した火焔(かえん)土器など、芸術性の豊かな土器を、我々の先祖は生み出したのです。
日本最古の国宝として指定されている火焔土器や優れた土偶は縄文時代に作られた。
縄文時代は狩猟採集の時代。一万年にもおよぶ長い縄文時代では列島各地で独自の文様を発達させた縄文土器や不思議な姿の土偶が作られた。その造形感覚は近・現代とは全く異なるものであり、縄文人の精神世界が極めて深いものだったことを物語っている。
私は2年前、京都国立博物館で国宝指定ナンバーワン(№1)である深鉢形土器(火焔型土器)を見ることができた。この土器は新潟県笹山遺跡から出土したもので、通常は新潟県十日町市博物館に保管されている。
この土器の造形は斬新であり、細やかな文様と大胆な造形がうまく組み合わさっており、デザインに無駄がなく、それでいて火焔を美しく感じることができる造形は、非常に芸術性が高いと感じたものでした。
後のものづくり大国・日本の遺伝子は、はるか先史時代から発揮されていたようです。
---owari---
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