『視点を変える⑨』
(挫折をして“良かった”場合もある)――「安保闘争」の敗北が日本の繁栄を生んだ
いままで、さまざまな例を挙げて、物事の見方は一つだけではないことを述べましたが、同じように、過去に挫折したことを、時間がたってから見ると、「結果的には良かった」という場合もあります。その一つの例として、「安保闘争」の話をしたいと思います。
「七十年安保」が終わった当時の大学には、学生たちの挫折感が漂っており、教師と学生の間には不信感が残っていました。「団塊の世代」の人のなかには、学生時代に「安保闘争」に参加して挫折した体験を持っている人も大勢いるでしょう。その学生運動に参加した一人ひとりの人間にとっては、安保闘争に敗れたことは挫折の体験であったかもしれません。
安保闘争とは、「日米安全保障条約」(安保条約)に対する反対運動のことです。1960年と1970年に、「六十年安保」と「七十年安保」と言われる、二つの大きな山場がありました。そのころ学生だった人のなかには、ろくに勉強もしないで安保闘争ばかりやっていた人がかなりいましたが、結局、それは失敗に終わりました。
しかし、結果的には、この失敗によって、その後の日本の繁栄があったとも言えるのです。そして、日米安全保障条約は今も続き、この条約によって、日米は今も一種の軍事同盟の関係にあります。
---owari---
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます