日本語は基本的に日本国内だけで使われている言語です。しかも、世界の言語の中に親族を持たない特異な言語なのです。
韓国語、中国語、シナ・チベット語などの周辺地域の言語と一部では共通性が認められるものの、単語、文法、発音など総合的に類似性のある言語となると他に見当たりません。
そして、日本語独特の特徴に、非常に数多い方言と敬語の存在があります。また、古代以来日本語になってしまった外来語も非常に多いのです。日本語の日常語100に対し50の割合で外来語があり、中国語を入れるとその比率は70にまではね上がるという。つまり、実に多くの外来語を私たちは「日本語」として使っているのです。
こうした関係で、日本の大きな国語辞典には17万語もの単語が解説されており、平凡社の「大辞典」に至っては72万語もの単語を収めている。これは、イギリスの有名な英語大辞典「ウェブスター」の実に25倍にもなる。
これほどの膨大な単語を有する言語は日本語をおいて他にありません。通常使われる日本語の単語の数も4千から1万語といわれ、これにしても他の言語文化に比べて実に多いのです。
これほど単語が多いのは、日本の自然や気候の多彩さ、動植物および海洋生物の多様性が影響しているのではないでしょうか。
一例として、「風」について「風の名称辞典」を調べていましたら、何と「風の名」は日本で230種類ほどありました。なぜ、このように多いのかと思いましたが、一つは日本の気候や風土がいかに豊かであるかを示している証左ではないでしょうか。
「風の名」について言えば、「暖風」(あたたかい風)と「温風」(あたたかい春の風)は分ける必要がないのではと思いますが、繊細な日本人はそれを別物として観察し、定めているのです。同様に、「軽風」(そよ風)と「微風」(そよかぜ)も分けているのです。
それから、日本人は「風」という言葉を使って、心情を述べる、感情を伝えることが得意であるということもあるでしょう。「波風を立てるな」とか「順風満帆」とか「風情がある」という言い方をします。
日本列島は南北に長く、また、森林限界を越える高山帯や広い海洋、四季の変化により、面積の広さに比べ、生息する動物や植物の種類が非常に豊富です。日本近海は、世界25箇所の代表的な海の中で最多となる、約3万3000種の海洋生物が生息しています。一国の領土内に熱帯から亜寒帯までを含む国家は珍しいのです。
また、古代より安定的に発展して、千古に渡り永続できている唯一の国、それが日本です。随書「倭国伝」(日本に関する記述)には1400年前の日本の姿が書かれている。
「気候温暖にして、草木は冬も青く 土地は肥え美しい 性質直にして雅風あり、人すこぶる物静かにして 争訟まれにして盗賊少なし」と日本人の特質を表わしている。
古来から日本人は、「言葉には魂が宿る」、「言葉は言霊」と考えてきました。
世界中のどの民族より、言葉を大切にしてきたのです。
日本語を話す私たちだけに授けられた言霊の秘密、言霊の力が私たちに与えられているのです。
日本人は世界一多くの単語を操る特異な民族であり、言語が民族の性格を創っていると言っても過言ではありません。その言語を相手のために、人様のために、誠実に心を込めて話すことを神仏はお望みなのです。
---owari---
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