(人生の途中には必ず“落とし穴”が掘られている)
人は誰しも、「人生に何の問題も起きず、まっしぐらにスーッと成功すればよい」と考えがちですが、実際には、そのような人生計画を立てて地上に生まれてきた人など一人もいません。
そのため、人生の途中には“落とし穴”がたくさんあるのですが、それを事前に教えるわけにはいかないのです。
「ここに落とし穴がある」と最初から知っていたなら、それをよけて通ることは簡単(かんたん)でしょう。しかし、それでは勉強にならないので、意地悪(いじわる)なように思うかもしれませんが、人生のどこかで必ず“落とし穴”に引っ掛かって落ちることになっているのです。
そのときには、「偶然に落ちたわけではない」と考えてください。その“落とし穴”は、あなたが落ちるように最初から掘(ほ)られていたのです。なぜなら、それは、あなたに必要なものだからです。
“落とし穴”に落ち、お尻をしたたか打ったときには、夜空を眺(なが)めて考えてください。人生には、何度か、そういう時期が必要なのです。
その時期を通り越(こ)さなければ、「本当の自分」も分かりませんし、「他人の気持ち」も分かりません。そういう経験を通さないうちは、世界の本当の姿が、見えているようで見えていないのです。
“落とし穴”に落ちて出られなくなり、心細い気持ちで星空を眺めながら一夜を明かすときに、初めて見えてくるものがあります。
「自分が、いかに多くの人から与えられ、支えられてきたか」「自分が、いかに他の人の協力を見落としてきたか」「自分自身の手柄(てがら)にしていたことのなかにも、実は、そうではないものもあったのだ」ということを、人は孤立無援(こりつむえん)の状況のなかで発見することになります。
そうした大きな気持ちに包まれたときに、みなさんは大宇宙の力と一体になるのです。
(自己防衛の気持ちを捨てたとき、「救いの道」が開ける)
それは、ある意味で、「捨(す)てよ」ということでもあります。
「自己防衛(じこぼうえい)の気持ち」のことを、私は「自我我欲(じががよく)」や「自己保存(ほぞん)」という言葉で呼んだことがありますが、そのような「自分がかわいい」という気持ちは誰もが持っています。
しかし、その気持ちをいったん捨てて、自分に起きた災難(さいなん)や不幸を受け止め、受け入れる度量が必要です。
「災難や不幸は、自分を苦しめるために起きているわけではないのだ。自分を悟(さと)らしめるために用意された問題なのだ。最終的には、すべては解決されていくのだ」ということを信じるべきです。
みなさんには、日々、恐(おそ)れていることがあるはずです。しかし、その恐れているもののうち、実際に現実化するのは一パーセント程度です。残りの九十九パーセントは起きないのですが、その起きないことを恐れています。
そして、その恐れの気持ちが現実化して、いろいろなものを引き寄せ、自分の不幸を確認しているのです。
つまり、不幸の予言者となって、「自分は不幸になるのではないか」「一文なしになるのではないか」「恋愛に失敗するのではないか」「もうすぐ離婚になるのではないか」などというように、いろいろな不幸を予言し、それを的中させようと“努力”しているのです。そういう間違った心の働きをしているわけです。
そのようなときには、判断することをやめ、ひとまず、それを静かに受け止めてみてください。そのなかに大宇宙の意志を読み取ってください。必ず学びがあるはずです。
そして、そこに救いが現れてきます。「これは、自分に必要があって現れてきているのだ」と思ったときに、あなたがたは、すでに救いの道に入っているのです。
自己防衛の気持ちを放下(ほうげ)し、捨て去り、宇宙の意志と一体となって生きていこうとしたときに、救いの道は必ず開(ひら)けてくるのです。
(もがくのをやめ、「人生の問題集」を素直に受け入れる)
それは、例えて言えば、プールに落ちて溺(おぼ)れかけたときの対処法(たいしょほう)と同じです。そのときに、あまりもがくと、水を飲んでしまい、本当に溺れてしまいます。
プールで溺れかけたときには、もがくのをやめることです。水のなかでじっとしていると、自然に体が浮かんできます。これは海の場合でも同じです。下手(へた)にもがくと、水を飲んで溺れてしまうことがよくあるのです。
まず、もがくのをやめてください。そして、頭が浮いてくるのを静かに待ってください。そうすれば、必ず体は浮いてきます。
人間の体は水よりも比重が軽いため、必ず浮くのです。それにもかかわらず、わざわざ暴(あば)れて水を飲んで苦しみ、溺れてしまうわけです。
したがって、もがくのをやめ、静かに受け入れてください。そして、大宇宙の意志と一体になりなさい。そのときに救いが現れます。
宇宙の意志と一体になり、自分に現れている「人生の問題集」を素直に受け入れることです。それを、人のせいや環境のせい、家族のせい、会社のせい、国のせいにするのではなく、「この問題は、自分自身に必要なものとして、今、現れているのだ」と受け止めたときに、あなたがたは、すでに宇宙の意志と一体になろうとしています。そして、そこに救いが実現しようとしてきているのです。
---owari---
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