日本人は世界一繊細な舌を持つ民族と言われる。なぜなら、世界のどの民族も持っていない六番目の味覚「うまみ」を持っているからだ。
一般に、西洋人は味を「甘い」「酸っぱい」「塩辛い」「ピリッと辛い」の四味に分ける。中国人はこれに「苦い」を加えて五味、日本人はさらに「うまみ」を加えて六味に分けるのである。
西洋料理は一品一品が個性的な味を主張する料理。ところが、日本料理は食材それぞれの味わいが絶妙のバランスで調和しており、この味わいの融合を楽しむ料理であると言える。
味に対する日本人の興味はかなり昔から強いものがあった。たとえば、16世紀にはすでに料理学校が存在した。これは西洋とは比べものにならないほど早い。15世紀の室町時代には料理書『四条流包丁書』が書かれていた。
当時、料理界にはいくつかの流派が腕前を競い、「料理の鉄人」さながらの味の判別競争まで行われていたという。
また、それ以前、鎌倉時代末期には茶の産地や色、味を飲み分ける「闘茶」という遊びが大流行した。鯉の刺身を食べて、その産地の細かい場所まで当てるゲームまであったという。
ことほどさように、日本人は味覚を鍛えることに情熱を傾けてきたのだ。こうした中から六番目の味覚「うまみ」も鍛えられ、洗練されていったのである。
---owari---
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