そして、指導者になるための五番目の条件、それは「勇」です。「勇」とは、勇気の勇です。
ああ、現代では、勇気のない人びとの、いかに多いことよ。己の心に照らして、それが正しく、他の多くの人びとのためになると判っていることであっても、行動できない人の、あまりにも多いことよ。
勇なき民の多さに憂(うれ)えているのは、私だけではありません。心ある数多くの人たちは、この勇なき人びとの、その行動力のなさに、実践力のなさに、涙を流しているのです。
しかし、一般の人びとについて、その勇を問うのはよそう。いま大切なことは、指導者たるべきあなた方一人ひとりが、勇気、勇というこの徳目を備えることではないだろうか。
もし、善悪を峻別する、判断するところの義があっても、行動力、実践力という勇がなければ、何ほどの仕事ができましょうか。山のなかにこもって、「あれは正しい」「あれは間違っている」と、まるで“観自在力(かんじざいりょく)”のように判断できる方がいたとしても、さあ、その人がこの地上にいかほどの仕事を遺(のこ)せるでしょうか。
それは、それだけの判断力を持っておりながら、みずから実践してみせる力がないからです。勇気がないからです。そうした実践力、決然と行う力がない人を、人びとはなかなかリーダーとは認めがたいのです。
智の部分、勉強でいかに優秀であっても、人ひとり導くことができないような人は、残念ながら、リーダーとしての資格がありません。勉強がいくらできても、行動する勇気のない人には、残念ながら、リーダーの資格がないのです。それを、私は言っているのです。
---owari---
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