以上、「礼」「智」「信」「義」「勇」という五つの徳目をあげてみました。この五つを使って、自分自身というものを、もう一度、判断していただきたいのです。
まず、あなたは礼儀を心得ているか。少なくとも品性卑(いや)しいと言われていないか。そのような素行の卑しさはないか。他の人に知られて恥ずかしいような、こそこそとしたことをしていないか。これが満たせなければ、まず王道には入れないのです。
さらに、「智」の部分です。どれほどの勉強をしたか、経験をしたか、また経験のなかから学びを凝縮しえたか。これをこそ問う。人に伝えるべきものの何もない人が、リーダーになるということはありえない。いかなる世界においても、リーダーたるべき者は、人に伝えうるものを持っていなければならない。
そして、その人に伝えるべきものこそ、この智の力によって得られるものなのである。もし、己が心を省(かえり)みて、伝えるべきもの何もなしということであるならば、リーダーの資格としてはきわめて危ないものがある、と言わざるをえません。
また、「信」があります。人から信じられない者が天下を取ったとしても、長く続いた例(ためし)はありません。なかには、人を操縦するにあたって、不信感のもとに、さまざまな策謀をめぐらす者もいます。それで、一時的には成功するように見えることもあります。しかし、最後は必ず孤立無援になっていきます。信というものがなければ、真のリーダーにはなれないのです。
そして、「義」です。特に女性のみなさんのいちばん弱いのが、この判断力なのです。善悪を分け、為(な)すべきこと、為すべきでないこと、「これはすべきである」「これはすべきでない」ということを、瞬時にして判断する力が、まだまだ弱いのです。
女性であってリーダーの資質を持っている方は。この判断力がひじょうに強いのです。「これはこうすべきだ」「「これはしてはいけない」「これはしてもよい」ということを、即座に答えられる人が女性のなかにもいます。しかし、残念ながら多くの女性たちは、この部分で判断がつきかねて、優柔不断にグルグルと考えが回っていることが数多くあるように思います。
そして、「勇」です。義からの勇、すなわち行動力、実践力へ――。この実践力においては、男性はもちろんのこと、女性であっても、たぐい稀なる実践力を持っている方がいます。このたぐい稀なる実践力を持った女性は、ときに男性を退(しりぞ)けて、偉大なる仕事をすることがあります。
あのジャンヌ・ダルクのように、まさしく時代を駆け抜けていくような実践力を持つこともあります。女性のこの勇気は、ある意味において、全男性の勇気を鼓舞するに足るほどのものがある、ということを忘れてはなりません。
---owari---
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