(現代人の悩みの多くは「ストレス」が原因)
「ストレス・マネジメントのコツ」は、日本人だけでなく、外国人にとっても非常に大事なテーマであると思います。
現代人の悩みには、いろいろな言い方がありますが、ある意味では、人間関係のストレスが、あらゆる悩みのもとになっています。
そのため、読者のみなさんのなかには、「ストレス・マネジメントのコツを教えてくれたら、現代の悟(さと)りとしては、もう十分で、あとは用はない。信仰も仏法真理を学ぶ必要もない」と思う人もいるかもしれませんが、そうはいきません。このコツはあくまでも“さわり”であって、これだけですぐに悟れるほど、信仰は甘くないのです。なぜならば、その背景には、深い深いバックグラウンドがあるからです。
人はどのような悩みを持っているのかアンケート調査した結果があります。その結果を見ると、主に、「人間関係の問題」と「金銭的、経済的な問題」の二つが中心で、あとは、「老後の心配」が少し入っていました。
これらは、わりに基本的なことではありますが、やはり、ニーズのある問題なので、答えを考えていきたいと思います。
アンケートの結果で、いちばん多かったのは「人間関係のストレス」でしたが、特に会社における上司や先輩(せんぱい)等、組織のなかで人間関係のストレスが多かったのです。
世間一般の会社では、「入社何年目か」「男性か女性か」「どのような専門性を持っているか」「学歴や職歴、過去の成果」等、いろいろな物差しで、社員を測り、分類し、それぞれの職場に配属していきますが、そこで人間関係の問題が起きてくるわけです。
例えば、配属された職場で同じ大学の先輩から厳しく“愛のムチ”を打たれた人がいました。その人の欠点と見えしところに、グサッ、グサッ、グサッと、虫ピンを刺すように“愛のムチ”を打ち込んでこられたのです。
そのおかげでその人は、悟りを数多く開くことができ、本当に勉強になったと言われました。ただ、その先輩には、自分のストレス解消のために厳しくしていた面もあり、ほかの人に対しても同じような接し方をしていたら、少し問題があったと思うのです。
ともあれ、会社の人間関係で、いろいろと苦しむことはあるでしょうが、「他人からの批判は、全部が全部、間違っているわけではない」ということは知っておいたほうがよいと思います。
特に、自分に対する批判のなかには、自分を、もっと素晴らしい人物へと飛躍(ひやく)させていく芽が潜(ひそ)んでいます。要は、その批判をうまく汲(く)み取って、自己改善の方向に持っていけばよいのです。
たとえ、批判してきた相手が、それほど優れた人ではなかったとしても、その批判が役に立つことはあります。つまり、「普通の人であっても、トータルで見て、人物的に優れている人の悪いところや欠点、あるいは失敗が見える。自分のことについては分からないことが多いけれども、人様のことについては岡目八目(おかめはちもく)で分かる」ということがあるからです。
人の言葉をまともに聴いて傷つきやすい人もいますが、相手は、それほど深く考えずに言っている場合もあります。「そのときの事情や、その場の雰囲気(ふんいき)で、たまたま思いついたことを言っただけだ」ということも数多くあるのです。それに対して、十年も二十年も傷を引きずるということであってはいけません。
相手も、「十年も二十年も苦しめてやろう」「一生苦しめてやろう」などと考え、そこまで狙(ねら)って、矢を放ったわけではないことが多いのです。
もちろん、たまには、そういうこともあるかもしれません。「こいつを一生呪(のろ)ってやろう」と思い、狙いに狙って、ベストタイミングで矢を打ち込むようなことも、一生のうち、一回や二回ぐらいはあるかもしれませんが、普段の日常生活では、そこまで考えていないことが多いのです。
お互いに、普通の人間であることが多く、必ずしも聖人君子(せいじんくんし)ではありません。そのため、相手の言葉を真に受けて傷つくのは避(さ)けられないにしても、やはり、一晩寝たら忘れてあげなければいけないでしょう。そういうレベルのことが多いのです。
例えば、批判が出た際(さい)に、リーダーとしては悶々(もんもん)と苦しむでしょうが、そういう批判のなかには、実は、甘えて言っている場合もあります。つまり、自分の思いどおりにならないことが許せず、その気持ちが甘えに転化して、自分の上席(じょうせき)にある者への批判になったりすることもあるわけです。
したがって、批判を深刻に考えすぎてはいけません。まったく無視(むし)してもいけませんが、深刻に受け止めすぎてもいけないのです。これは、若いころに学んだ、重要な教訓の一つです。
生き物のなかには、ナマズやウナギのように、体の表面に鱗(うろこ)がなくヌメヌメとしたものもいます。また、鱗が付いている魚もいれば、亀のように甲羅(こうら)を背負っているものもいます。そのように、防衛(ぼうえい)レベルには、いろいろと違いがあります。
ですから、みなさんも、「どの程度、その『批判の矢』を受けるだけの防衛装置を身につけるか」ということを考えたほうがよいのではないでしょうか。
---owari---
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