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中国の外交下手に日本が狼狽(ろうばい)する必要はない

2020年03月29日 | 日本
日下:怒ってばかりいる人間は愚かですが、怒りを表明すべきときにそれをしないのは、もっと愚かです。小泉、安倍と続いた政権で、「日本はアジア外交に失敗した」と言う人たちがいますが、まったく逆です。中国や韓国が対日外交に失敗したのです。

とくに安倍元首相の「戦後レジームからの脱却」を批判する人たちは、被占領体制の継続である「戦後」から利得を得ているから、日本がまともな独立国となるために何を克服しなければならないかがまったくわかっていない。むしろ日本は永遠に“半人前”であればよいと思っている。こういう人たちは、問題の先送りしかできない。

中国の外交下手にわれわれが狼狽する必要はない。歴史を眺めれば中国の外交は失敗の連続です。外交上手であれば、19世紀末から20世紀にかけて、あんなに欧米から好き勝手に領土をむしり取られたりはしない。対外戦争においても朝鮮戦争、中越戦争と中国は当初の目的を達成できなかった。

戦前の日本と戦ったときも、当時の中華民国は最終的に中国共産党に国家を奪われた。蒋介石は「日本軍との戦いは単なる皮膚病で、毛沢東軍との戦いは内臓の病気だから、生命にかかわる」と言っていたが、そのとおりになりました。その後、中華人民共和国の時代になりましたが、この国が勝ったのはチベットなど少数民族を相手にしたときだけです。

いまの中国共産党は、政権維持の正統性の柱として日本軍国主義の侵略と戦い、祖国と人民を守ったと盛んに宣伝しているけれど、これも歴史的には正しくない。彼らはほとんど日本軍と戦っていない。当時の日本軍の相手は蒋介石で、毛沢東の共産軍は国共内戦に備えて戦力を温存していた。

中国はまだ近代を理解していない国です。中国は国内で民主主義を実践したことがないし、対等な国家間外交を経験したこともない。中国の歴史観、世界観は中国だけが唯一無二の“王朝”で、あとはみな自分に拝跪(はいき)する存在でしかないという建前(華夷秩序)だから、東アジアでは中国のみが文明国で、残りはすべてそれに従う辺境の野蛮国と勝手に決めている。日本は聖徳太子の時代にこの華夷秩序から脱却した国です。こうした先人の知恵と勇気を忘れなければ、日本は大丈夫です。

高山:1996年のアトランタから2004年のアテネ五輪までの三大会連続で、「日本」が金銀銅メダルを独占してきた競技があるのです。といっても選手としてではなく、その競技に使われる道具のつくり手という意味ですが。

日下:ほう。何の競技ですか。

高山:男子砲丸投げです。メダルを獲得した選手が使っていた砲丸が全部日本製。「魔法の砲丸」と呼ばれるそれは、埼玉県富士見市の小さな町工場で、いま七十五歳の辻谷政久さんが旋盤で削って手づくりしてきた。当然、北京でもメダル独占のはずでしたが、そうはならなかった。

2004年8月に中国・重慶で開催されたサッカーのアジアカップで、シナ人サポーターが見せた日本に対するむき出しの憎悪を見て、悩んだ末に辻谷さんは北京五輪用の砲丸はつくらないと決断したそうです(平成20年3月31日付『産経新聞』)。

「砲丸は私の分身です。とても中国には出せない。大事に使ってくれる選手には申し訳ないが、職人としての意地があります」

すごいなあと思いました。政治家よりも、役人よりも、マスコミよりも、辻谷さんのような市井の日本人のほうがしっかりしている。結局、こういう人の意地、気概に戦後の日本は甘え続けてきたのかもしれない。

日下:日本人の心意気や気概を示す存在、辻谷さんや、第二、第三の高山正之さんが出てこなければいけない。それをまたぞろ「日本は危険なナショナリズムに奔(はし)ろうとしている」などと批判する人たちが内外にいるけれど、まったく気にしなくてよい。

戦後の日本が克服しなければならない課題は、「日本が強く主張すると他国の反発を買って摩擦が増える。経済的に得をしないから、相手の要求を聞いたほうがよい」という事なかれ主義と、他者への迎合を友好と思い込む“敗戦国症候群”です。

日本が自ら変わろうとすることに対し、「日本は再び軍国主義へと向かうのか」などと質問してくる外国の記者がいます(笑)。そんなとき、私はこう答えるようにしています。

「それはあなたたち次第だ。日本は、相手が紳士的に振る舞う国であれば紳士的に付き合う。もし野蛮な、理不尽なことを押しつけてくるようならば、こちらもそれに応じて変化する。日本の軍国主義の復活を心配するというのは、あなたがたの中に日本に対して理不尽なことをしているという自覚があるからではないのか」

あなたがたの世界はみんな腹黒い。日本人は、お人好しだが、それでもあまりに侮(あなど)ると痛い目を見るよ、と(笑)。

---owari---
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