(人間関係にまつわる私の経験談)
それは、会社時代の友人にまつわる話です。その人は、私と同じ大学の卒業生であり、英語が得意だったため、休日には、よく英会話喫茶(きっさ)に通っていました。
当時、東京の恵比寿(えびす)あたりに、「店内に入ったら、英語しか話してはいけない」という喫茶店があり、安い値段(ねだん)で英会話が長時間できるため、彼は、休日になると、その喫茶店に入り浸(びた)っていました。
ある日、私は、彼から、「英会話喫茶店に行かないか」と誘(さそ)われました。私は行きたくなかったのですが、無理やり、連れていかれたところ、「そこで知り合った」という、彼の彼女を紹介されたのです。二人は、すでに婚約(こんやく)しており、近々、結婚する予定とのことでした。
彼は、私のことを、「親友だ」と言って彼女に紹介し、三人で話をしていたのですが、その話の途中(とちゅう)で友人がトイレに立ったとき、彼の婚約者が私に質問をしてきたのです。
「あなたは彼の親友なのでしょう? 私は、彼と結婚する前に、彼のよいところも悪いところも全部知っておきたいので、彼の悪いところを教えてください。彼のよいところを言ってくれる人はいるけれども、悪いところを言ってくれる人はいません。親友であれば、彼の欠点も一通り知っているでしょうから、それを、ぜひ教えてほしいのです」
私は、子供時代から、「トーキング・ストレート」というか、わりに率直(そっちょく)にものを言うタイプでした。また、「相手が知りたがっているのだから、教えなければ悪いし、嘘(うそ)を言ってはいけない」とも思ったので、正直(しょうじき)に答えたのです。
「彼の欠点は、まず、人が話をしているときに、話の腰(こし)を折って割り込んでくることだ。あの悪い癖(くせ)は直さなければいけない。
それから、彼にはバイタリティーがない。すぐに疲(つか)れて伸びてしまう。あれでは駄目(だめ)だ。もう少し体力が必要だ。
さらに、彼は酒癖(さけぐせ)が悪い。毎晩(まいばん)、お酒を飲んでいる。結婚しても、会社帰りにお酒を飲み、家に帰ってこなくなるかもしれないので、酒癖については少し気をつけないといけない」
友人の婚約者は、私の話を、「なるほど、なるほど」と、うなずきながら聴(き)いてくれていました。
ところが、私が二人と別れたあと、彼女は、私の友人に、「あんな人とは親友でいるのをやめてしまいなさい。あの人とは絶交(ぜっこう)すべきよ。親友のくせに、あなたの悪口をあんなに言うなんて、許せない」と言ってきたそうなのです。
私は、まさか、そんなことを言われるとは思っていなかったため、驚(おどろ)いてしまいました。
---owari---
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