(成功と不安は裏表である)
ほめられるべきこと、成功し、周りの人たちから拍手喝采をされ、「素晴らしいですね」と言われることと、「不安で、心配で、どうしても自分を信じられない。自分は苦しくてしようがない。夜も眠れない」という状況とは、実に裏表なのです。それは、剣の切れる側と切れない側、刃の側と峰の側のようなものです。そういうリスクを負わなければ、成功もしないし、人からほめられることも、ほんとうはないのです。
みなさんは、たとえば、「千人規模の会場で、日曜日に、一時間、何か講演をしてください」と言われたら、ほんとうに、毛の抜ける思いがするでしょう。講演を聴く側であれば、機嫌よく聴いていられますが、自分が講演するとなれば、大変なプレッシャーがかかります。「あなた、よかったね」などと周りの人たちに言われたら、余計にプレッシャーがかかるわけです。
しかも、先生という立場になると、うまくできて当たり前であり、できないと大変なのです。これはまた、それなりに、きついものです。
プロ野球のバッターは名選手でも打率が三割か四割しかありませんが、野球の世界では打率が三割でよくても、「プロとして説法する」という場合は、“打率三割”では許してもらえません。
「先生は、十回、説法すると、三回ぐらい成功し、七回ぐらい失敗する」ということでは、運営する側は、「今回は、成功するか、成功しないか」と考えて、心労が激しいでしょう。失敗すれば、聴衆の、ごうごうたる非難に耐えなければなりません。「先生が、説法の途中で頭が“白紙”になって、何も話せなくなったりしたら、どうしよう」という恐怖で、夜も眠れなくなります。
このような失敗を起こさないということも、プロとしては大変なことなのです。
---owari---
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