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なぜ給食費くらい払わないのか

2020年10月06日 | 日本
「貧乏が理由ではカネはもらえぬ」と池田成彬(しげあき)はいったが、今日の日本でどれほどの日本人が同じ言葉を発せられるだろうか。

たとえば文部科学省によれば、平成21年度の公立小中学校の学校給食費の未納総額が全国で推計26億円に上るという。長引く不況から未納理由の4割以上が「経済的な問題」とされたが、自治体が製造コストを負担する給食の保護者負担は、材料費分の一食230円だけ。低所得者層には全額を補助する制度もある(2019年の調査では、未納金額の総額は推計で、約20億円弱となる)。

実際には高級マンションに住み、高級車を乗り回しながら、「義務教育の費用は国が負担することになっている」と開き直るような保護者も少なくないという。

<東京都府中市の教育委員会幹部や給食調理員ら44人が、給食費未納の世帯を回った。これだけの大人数で徴収(ちょうしゅう)に出向くことは初めてのことだった。給食の食材費は学校給食法で保護者の負担とされているが、全国で「義務教育だから払う必要がない」と、月4000円程度の支払いを拒否する親が急増している。府中市でも、ここ数年は未納率が1.8%程度に上る。(2019年の調査では、未納率は0.9%と下がっている)。

その結果、“大規模徴収”に至るが、2日間で徴収できたのは未納分の8%にあたる57万円のみだった。「駅前の一等地の高級マンションや新築の3階建てに住んでいたり、駐車場に3ナンバーの車が置かれていたり。せめて子供の給食費くらいは払えるのではないか、という例があった」と、市教委の担当者は打ち明ける>(平成19年1月9日付『産経新聞』)といった例や、教育評論家の石井昌浩氏によれば、<教員が催促(さいそく)に行くと「不景気で金がない」と拒否される。しかし、要は子供の教育費を優先して支払うという意識がない>(平成22年12月2日付同紙)例も多いという。

生活保護の受給者も増加している。平成20年のリーマン・ショックを機に急増しはじめ、23年7月に205万人超と戦後の混乱期を上回る過去最多を記録した。高齢化の進行が要因の一つだが、雇用環境の悪化にともなって働き盛りの受給者が増えていることが問題だ。働く意志があっても職が見つからないというのは辛(つら)いことで、その意志のある人を助けるのは社会として必要だ。

しかし、共同体の互助精神の前提は、共同体を構成する各員の自助精神である。「自助」を軽んじて「公助」ばかりに頼る風潮がどんどん強くなっては共同体がもたない。生活保護は国民の税金で成り立っている。その目的は自立を支援し、助長することだ。若くて働けるのに自立を考えない人や、権利には義務がともなうことを考えない人に、ただ甘えを許す制度ではない。

「公助」は、自立や義務を果たそうと努めながら、なお立ち行かない人に対するものであるべきで、はじめからそれを考えない人のためにある制度ではない。

言語道断(ごんごどうだん)なのは、不正受給や受給者を支援するふりをして生活保護費を搾取(さくしゅ)する「貧困(ひんこん)ビジネス」である。日本人の強欲(ごうよく)もここまで来たか、の感が拭(ぬぐ)えない。

池田成彬のような日本人は死滅(しめつ)してしまったのか。そうでないことは東北の人々が示してくれたが、このままでは完全に死滅してしまうかもしれない。

---owari---
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