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日本の財産は二千年の歴史

2022年04月19日 | 政治・経済
―― 日下公人著書「『日本大出動』トランプなんか怖くない(2016年6月発刊)」から転載します ――

日本では様々な文化が長い年月を経ながらきちんと伝えられてきました。江戸時代には「国学」という学問がありました。たとえば、本居宣長(もとおり のりなが)や賀茂真淵(かものまぶち)が有名ですが、彼らは日本古来の神道の精神を教えていました。

その前には「漢学」がありました。中国の儒教を教える学問です。菅原道真(すがわらのみちざね)の時代には漢字で手紙が書ければ国際人だったのです。さらにその前の時代には「仏教」が伝わっています。つまり、日本人の中には、「仏教」「漢学」「国学」が複層的に存在します。

ところが、戦後になると英語が話せればそれだけで国際人だと言われるようになりました。そんなバカな、です。

英語がしゃべれるだけでは国際人、教養人とは言えないでしょう。せいぜい、欧米人の猿真似をするか、欧米人の言い分をそのまま伝えるメッセンジャーの役しかこなせません。ましてこれから日本が世界に出動して、日本人が世界の中心になっていくのですから、その根本にある「日本人とは何か?」ということをしっかりと突き詰めておく必要があります。

建国以来、二百五十年ほどの歴史しかないアメリカとは違うのです。彼らは、「私の祖先はフランスだ」とか「イギリスだ」と言っていますが、その文化を継承しているわけではありません。身ひとつでアメリカに渡ってきた彼らは、名前にその名残を留めているものの、文化も考え方もアメリカ式になっています。

中国は三千年の歴史と言いますが、あの国にしても次々に支配する民族が変わり、そのたびに勝者が敗者を根絶やしてきましたから、ほんとうの意味で文化を継承しているわけではありません。現在の中国共産党が支配する中国も同様で、共産党の意向に沿わないことは排除されたり、隠されたりしています。

それに対して日本の場合、まず神道があります。その中には道教も入っています。それから日常生活の中に実に様々なものが含有されています。前述した「仏教」「漢学」「国学」の教えもそうですし、近代になって流れ込んできた西洋文化も受け入れています。

そういう意味では、日本人は世界でも稀に見る文化の受け入れに寛容な民族であると同時に、そうした文化を自分たちに合った形に昇華する能力を持っています。だから、神道も仏教もキリスト教も理解するという多様性があるのです。

日本人はこの多様性を身につけるのに、千年、二千年と長い時間をかけてきました。そこが味噌です。
日本人には歴史の浅い国の人には絶対に真似のできないことができるのです。
だからこそ、私は日本が世界から必要とされていると言うのです。

欧米人は常に「俺が、俺が」と自己主張します。相手を言い負かしてナンボ、相手を駆逐してナンボという歴史のせいで、自己主張しないと生き残っていけないと思っているのです。

それに対して日本人は奥ゆかしいし、自分を表現するにしても控えめだし、そもそも自分たちがいかに優れているかにすら気づいていません。

しかし、他国の人々が日本人の高い能力と日本の優れた文化に気づき始めています。特にアジアの国々の日本に寄せる期待は大きくなっています。

マレーシアの元首相であるマハティール氏は、「ルック・イースト」と言いました。日本を見ろということです。そして「日本人は引っ込んでいないで、もっと出てきて、親分になってくれ」と言っているのです。

ベトナム、タイ、インドネシアなどこれからの発展が期待される国々もみんな日本を見習おうとしています。

彼らはこれまで欧米の白人が怖くて、とてもそんなことは言えませんでしたが、アメリカの力が落ちるにつれ、徐々に正直な気持ちを口にするようになってきました。

---owari---
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