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人体の不思議(肺)

2016年09月23日 | 人体

肺は、呼吸で取り込んだ酸素と血液中の二酸化炭素のガス交換をしています。心臓から送られてくる血液に新鮮な酸素を与え、二酸化炭素を取り除いているのです。

 

私たちの体では血液が全身をめぐっています。それにより、体の各細胞や組織、臓器へ酸素を与え、二酸化炭素を取り除き、常に体内の環境をよい状態に保っています。運動時には肺血管も拡張し、肺を通り全身に送り出す血液が増加します。

 

肺に吸い込まれた酸素は気管、気管支を通って、肺胞(はいほう)とよばれる微小の袋にたどり着きます。ガス交換はこの肺胞の内側で行われているのです。

 

肺胞の内側に届いた空気は肺胞の外側を流れている毛細血管の血液から二酸化炭素が排出され、血液が肺胞から出ていくまでに酸素を取り込むという緻密なガス交換を行っているのです。

 

それでは、その肺胞の大きさと数はどのようなものでしょうか?

 

口や鼻から吸い込んだ空気は、まず、のどを通って気管という管に入ります。気管は直径がおよそ2cm、長さが10cmほどの1本の管です。気管が左右に分かれる分岐点から先は、気管支といいます。肺は空洞のようなイメージがありますが、実際はそうではありません。

 

気管支はさらに枝分かれをくりかえし、どんどん細くなり、肺のすみずみに空気を送りとどけます。気管支は16~23回も枝分かれをしていき、その数は左右の肺を合わせて100万本以上にもなると言われています。

 

枝分かれした気管支の先端には、肺胞という小さな袋がたくさんついています。その袋の大きさは、およそ直径0.1mmと小さいのですが、左右の肺を合わせると総数は約5億個あると言われています。

 

その肺胞の内面の表面積は全部で約60~70㎡にもなり、バトミントンコート1面分くらいに匹敵する大きさになります。これは驚きです。大きく深呼吸した場合は約100㎡にも達します。肺胞はこのように袋状の形を維持することで表面積を大きくし、呼吸効率を上げているのです。

 

肺は胸の左右にありますが、実は左右対称ではありません。左の肺は少し小さく、成人男性で290g程度、右の肺は370gあります。これは左側に心臓があり、心臓の動きを邪魔しないためです。

 

また、肺で空気中のほこりや細菌が除去されていると考えられがちですが、実はその役割を主に担っているのは気管です。

 

吸気によって体内に取り入れられた空気は、気管を通って肺胞に送り込まれますが、その際にホコリや細菌・雑菌といったものは気管表面の粘膜に取り込まれ、痰として排出されたり、飲み込まれたりするのです。

 

万が一、雑菌やほこりなどの異物が肺胞に入ってきてしまったとしても、肺胞マクロファージと呼ばれる貪食細胞が食べてきれいにしてくれるのです。

 

肺は自分の力で空気を吸い込んだり、吐いたりすることができません。心臓のように筋肉を持たない肺は自力で動くことはできないのです。肋骨(ろっこつ)の間の筋肉と、横隔膜(おうかくまく)の収縮により空気を吸ったり吐いたりしています。

 

その代わり、自分の意志で収縮の速度をコントロールすることや、ほんの短い時間であれば、呼吸を止めることもできます。このため、一時的ですが煙やほこりを吸わないことが可能なのです。これは、心臓やほかの臓器にはない大きな特徴です。

 

最後になりますが、「肺」は正確には「肺臓」と呼ばれます。五臓六腑の五臓とは、「心臓・肺臓・肝臓・腎臓・脾臓」の5つのことです。

 

六腑は、「胃・小腸・大腸・胆・膀胱・三焦」の6つのことで、三焦は、働きだけがあってカタチがないと記されていますが、実体はリンパ管だということです。

 

肺にも人体の驚異がありました。肺胞の数の多さ、肺胞表面積の広さ、肺胞マクロファージの存在など、仏の人体設計の緻密さに今回も脱帽です。

 

---owari---

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