(ライバルや敵ほど“良い先生”はいない)
ワンマン型の中小企業の社長は、アイデアマンであろうとは思いますが、どうか謙虚(けんきょ)さを忘れないようにしてください。
経営者は、すぐ“天狗(てんぐ)”になってしまうのです。どんな小さな会社の社長であっても、「社長」という肩書が付くと威張(いば)っている人が多いのですが、威張ってばかりいると、あまり良いアイデアが浮かんでこなくなります。
謙虚な人には、水が高い所から低い所へ流れてくるように、いろいろな人から情報が入ってきたり、いろいろな人が意見を言ってくれたりします。したがって、経営者は謙虚でなければいけません。
天狗になって威張っていると、誰も忠告をしてくれなくなりますし、その会社にとって有利な情報があっても、「あそこの社長は威張っているから、教えるのはやめておこう」というように、誰も情報提供などしてくれなくなります。
発展したければ、謙虚になり、人の言葉に耳を傾(かたむ)ける態度を取らなければいけないのです。
確かに社長は偉(えら)いかもしれませんが、人間は、偉くない人であっても、偉い人に意見を言うことができるものなのです。
それはアメリカの大統領選を見れば分かるでしょう。大統領より偉くない人たちが大統領を選び、また、批判もしています。普通の人でも、「あの候補をどう思いますか」とインタビューを受けたら、「あそこがおかしい。ここがおかしい」と意見を言うことができます。そして、そういう意見を総合した結果として、大統領が選ばれていくのです。
会社の場合も同様です。この世的にはそれほど偉くない人であっても、社長に対して意見を言うことはできますし、批判もできます。社長にはなれないような人でも、参考になるような良い意見を言ってくれることはあるのです。
特に、心をもう一段大きく持てば、「ライバル、あるいは敵(てき)だと思うような人ほど、自分のことを本当によく知っている」ということが分かります。その意味で、敵ほど“良い先生”はいないのです。
もし仕事上などで敵と思われる人が出てきたら、それは、とても良い先生なので、その敵が攻撃してくる点をよく見ることです。まさしく、あなたの弱点、欠点のところをズバリ突いてきています。その部分は、反省するか、改(あらた)めるか、あるいは、それを乗り越えるために別の長所を開発しなければいけないところなのです。
過去を振り返ってみると、怒(おこ)られたり、叱(しか)られたり、攻撃されたりし、自分にとって、屈辱(くつじょく)、侮辱(ぶじょく)と思うようなことが、意外に自分の勉強になっていることが多かったと思います。
ただ、攻撃や批判等を受けた場合には、それだけでは済(す)まさずに、きちんと反省し、弱点を克服(こくふく)して、「自分たちなりにできることはないか」ということを、私はいつも考えていました。「同じところを二度は攻撃されないようにしよう」と考えて努力しています。
アイデアを枯(か)れさせるものは、最終的に、アイデアマンを自称している社長自身のうぬぼれの心なので、どうか気をつけてください。
---owari---
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