安田財閥創始者、安田善次郎。
三井安田生命とか、安田講堂とか、保善高校などにその名を残す、銀行王であり、篤志家。
今のみずほ銀行や日比谷公会堂や麹町中学校も、善次郎の尽力・寄付でできた。
今日、富山のシンポジウムに行くにあたって、彼の偉業を思い出している。
私が一番好きなのは、富山から上京して、御茶ノ水の橋の上で、氷を売っていたというエピソード。「冷っこいよ~」とかの声を出して。
調べると、明治六年にできた、木造の、最初の、御茶ノ水橋のようだ。今の御茶ノ水の中心にある。
そこから刻苦勉励して成り上がって、一代で財閥を。
千里の道も一歩から。
人格者として知られ、北康利さんによる伝記のサブタイトルは「陰徳を積む」。
当時には珍しく?女性関係もきれいで、渋沢栄一のような蓄妾趣味はなかった。
倹約家悪くいえばケチで知られ、格差社会というか財閥批判にさらされ、大磯で暗殺。
テロリスト朝日平吾の斬奸状は以下。
奸富安田善次郎巨富ヲ作スト雖モ富豪ノ責任ヲ果サズ。
国家社会ヲ無視シ、貪欲卑吝ニシテ民衆ノ怨府タルヤ久シ、予其ノ頑迷ヲ愍ミ仏心慈言ヲ以テ訓フルト雖モ改悟セズ。
由テ天誅ヲ加ヘ世ノ警メト為ス
東北で餓死者とか出るような大正10年。富豪の社会的責任は重かった。
その暗殺が世論の支持を得ちゃったから、数カ月後に原敬暗殺につながった。
富山で安田善次郎の無念に思いを致してきます。