アーモーおやじ

テニスのときによく出る「アーモー」。これが口癖で、なんでも首を突っ込んでは失敗を繰り返しているじいさんの日記です。

覚えておきたい記憶、職人の目

2022-06-12 06:00:00 | Weblog
 facebookに投稿した7年前の今日の文章です。
 私の投稿としては、割と反響が大きな記事だったので、振り返ってみました🤗


 タイトルは「内輪話、職人の目」です。


「エライコッチャ」
 5月の連休で埼玉の実家であげた敏美さんの悲鳴。
 マグカップに湯呑みがはまって抜けなくなったのだ(写真はイメージ、マグカップは実物)。




 「任せなさい」学生時代に研究室で試験管やフラスコを割り尽くした私の出番だ。
 洗剤ヌルヌル作戦、氷and熱湯の熱膨張率利用作戦、万力押さえ作戦。
四苦八苦して試したが、すべてダメだった。

「湯呑みを割っていいか?」
と、おふくろに聞くと、
「また、誰かが外してくれるから、ほっといて。」
と言う。
 誰かってだれ❗️
 おふくろ愛用のマグカップだけでもと思ったが、結局、外せないまま大阪に帰った。

 
 その後、弟(埼玉県教育委員会選定で2015年のハツラツ先生となった数学教師)が、ピタゴラスの定理や、微分積分を駆使して挑んだが、歯がたたず。
 このときもおふくろは「誰かが外してくれるから」を連発したらしい。
 だから誰なんだ‼️

 
 一か月後、帰省。
 朝食。
 なんと、おふくろがあのマグカップで低脂肪牛乳を飲んでいるではないか⁉️
「ジェジェジェ(古いー)」

 聞いてみると、おふくろの弟のKさんが、外してくれたとのこと。
 いったいどうやって?
 おふくろ曰く、
「木っ端で横を叩いて、次にマグカップの底を叩いて、スポーンと外したよ」

 おふくろの「誰か」は、Kおじさんだった。
 推測すると、Kおじさんはマグカップを横から見て、湯呑みのわずかな傾きを見つけ、それを直してから、方向に注意して、一気に押し出したようだ。
 そんな方法はどこにもなかったし、何と原始的というか、物理的というか、、、

 Kおじさんは、おふくろが暮らす実家を40年前に建ててくれた大工さんである。今は引退してるが、大工職人歴65年。

 私と弟が歯が立たない仕事をなんなくやってしまった。私たちはいったい何を勉強してきたんだろう⁉️

 マグカップを眺めながら弟とそんな話をしていると、親父のことを思い出した。
 15年前に亡くなった親父は建具屋である。仕事場でカンナがけをしている親父の仕事を見るのが好きだった。カンナの中からカンナ屑が、天女の羽衣のように生まれてくる。あのカンナの刃は、カンナの先と元を木槌で叩き、目で見て調整する。木の種類や堅さ、削る深さを計算しての職人仕事だ。

 Kおじさんの口癖は、「俺は目がいいから大工を続けられたんだ」である。

 親父やKおじさんの目は、職人の目である。職人技とよく言われるが、それは手先の器用さだけではないとわかった。

 毎日、パソコンで原稿とにらめっこしている私の目は、職人の目と言えるのだろうか?  かなり衰えているような気がする。

 親父もKおじさんも、懸命に仕事をして、私たちを育ててくれたんだろうなあ😌



コメント
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