2月17日、出張で東北に来ていて、ちょうど仕事が金曜日に終わったのを利用して、夏休みに行った気仙沼の大島でボランティアに参加した。
夏休みに知り合いになった人から、いろいろな情報をいただいていたので、夏からどれだけ復興したか、冬の今の時期に災害対策本部はどのような活動をしているのかも知りたかったので、しんどい出張は本当にありがたかった。
気仙沼の港を17時30分発のフェリーで島に渡ったが、真っ暗である。休暇村大島の方に迎えに来てもらい、宿に着いてすぐに居酒屋さん(島では飲み屋さんというらしい)まで送ってもらった。
この居酒屋さんご夫婦は気仙沼市内で店をされていたのだが、津波ですべて失って実家のある大島にもどってこられた。事前に情報をもらっていたのでお話を聞きたかったところである。
お店に入ると、普通の家の玄関があり、靴を脱いで居間に案内されたが、ここがお店になっていた。お客さんがいなかったので、「大阪から来ました」と話し始めると、ご主人は料理の手をときたまとめて、津波のときの状況を話してくれた。
はじめの避難指示で車に荷物をまとめて出発したが、すぐに渋滞。前の車が道をふさいで動けなくなってしまった。
2回目の警報で車を捨て、奥さんと走って逃げたが、逃げながら見た光景は地獄だったそうだ。
結局、免許証1つしか残らなかった、大切な奥さんが無事でよかった・・・
実家の島に帰って、しばらく失望した生活を送っていたが、近所のみんなの応援と支えで、店の再開にこぎつけた。島のみんなは、集まれる癒しの場所がほしかったのだそうだ。お店の常連は平均年齢78歳とのことだ。
星野富広さんお詩を思い出した・・
「いのちが一番大切だと思っていたころ、生きるのが苦しかった、いのちより大切なものがあると知った日、生きるのが嬉しかった」・・
苦しい思いで生きていかなければならない人がたくさんいる。でも、生きている人は絶対に生き続けなければならない。そのためには「家族愛」「友情」が支えになり、立ち直れるのだと思う。『絆』などというかっこいいものではなく、ほんとに身近な支えが大切だと感じた。
たくさんの新鮮な海の幸をごちそうになり、お酒を飲んでいい気分で居酒屋
さんをでた。
休暇村の人は迎えに来ますからと言ってくれていたので、すぐに連絡をしようと思っていたが、正面になんと
北斗七星がどーんと飛び込んできた。南の空には
オリオン座、冬の大三角、冬のダイヤモンドの1等星、オリオン座の三ツ星の下にははっきりとオリオン星雲。正に満天の星である。空がでかい。山小屋の空にもきれいな星がまたたくが、空はせまい。月のない島の星空は大パノラマの大感動の空であった。
思わず大好きな夏川りみの
「満天の星」を大声で歌った。発表会で大失敗したダンスを踊りだしたくなった。教室のみんなとここで踊りたいなあとしみじみ思った。(今月は出張続きだったのでお休みしているので、そろそろ我慢ができなくなっている・・)
何時間でも見ていたいような星空だったから休暇村までは踊りながら歩いて帰ろうと決めた。
すると1台の軽自動車が私の横に近づいてきた。中から「休暇村までいくのか?」と声をかけられた。「そうです」と答えると即座に「乗って、乗って」の声。あまりの勢いに思わず乗ってしまった。聞けば島の建設会社の人で、ボランティアをやらせていただきますと言うと、お礼を言われた。「島の海岸をきれいにしてくれたのがうれしい」と言っていただいた。私がやったわけではないので、恐縮するばかりである。
後から知ったことだが、この人は津波の後で自分の船を出して3人の命を救った人だったらしい。まだまだ星空を眺めていたかったのだが、すごい人にめぐり合ったこともうれしい。
次の日、朝8時半に災害対策本部に行って手続きをした。関東から11名の団体が来るので、そこに加わって活動させてもらった。なんでもこの団体は、このボランティアセンターで知り合い、月に1・2回程度、仕事が終わった金曜日の晩に出発して、活動をされているとのことである。この人たちもすごい。
仕事は流れ着いた漁具の片付け。現場は風の通り道で寒すぎる。パッチをはいて完全防寒の体勢であったが、何時間できるかなあと不安であった。仲間もみんなそう感じていた。
30分ほど作業をして、リーダーに連絡が入った。
作業場所変更である。
明日、取り壊す旅館の引越し手伝いになった。
古い旅館であったが、津波で1階部分は使えなくなり、取り壊すことになったとのこと。
現場は寒くはなかったので、内心は嬉しかった。
旅館の2階部分はさほど海水がかかっていないので、カーテンやふとん、畳はまだ使えた。そこでそれを仮設住宅に寄付するということであり、何回か運んだ。
1日仕事をして、島の中を車で回ったが、小さい船は打ち上げられたままであり、壊れた家はガレキが取り除かれただけであり、まだまだ先が長いと感じた。
1日作業が終わって、休暇村に帰り、お風呂に入って買ってきたビールを飲んだ。
いつ眠ったのかわからないほどの爆睡であった
。
出張疲れが一気に出たようだ。本当はもう一軒、教えていただいた居酒屋があったのでいきたかったのだが、たどりつけなかった。次の機会の楽しみにしたい。