こんにちは! ただち恵子です

政治と社会、日々の暮らしの小さな喜び。思いつくままに綴ります。

生活保護と家族の「扶養義務」

2012-05-26 23:03:32 | 社会保障
タレントの母親の生活保護受給について、マスコミの話題になったときから、この件に乗じて、生活保護が保障する基準の切り下げや家族の扶養義務の強要に拍車をかける動きがおこることを懸念した。

早速25日の衆議院社会保障・税特別委員会で、この問題にからめて自民党議員が保護費の削減を求め、小宮山厚労相は「検討する」と答えたという。

「検討」すべきなのは、保護費の切り下げではなく、たとえば削減された老齢加算の復活だ。
「生活保護より少ない年金で、暮らしている」高齢者がいることは事実だ。
永年、苦労して掛け続けた年金の受給額が「生活保護の支給額」より少ないことは、大問題だ。特に、医療・介護が必要になればなるほど、年金の少ない高齢者の生活は、生活保護の水準を大きく下回る。

「だから生活保護を削れ」というのではなく、「だから、少なすぎる年金をこれ以上減らすな。生活できる年金を。医療、介護の無料化を」と、声をあげよう。

「家族の扶養義務」は、「扶養する意思と能力」があって初めて成り立つことだ。

「親や兄弟に知れるのがいやだ」と言って、生活保護の申請をためらう話をたくさん聞いてきた。
離婚した夫も、子どもにとっては「扶養義務者」だから、「仕送りしてもらうよう話をしてくるように」と言われ、「そんな話ができないから離婚した」と涙を流した母親もいた。
「親も生活保護を受けている」と言っても、その親のところにも「扶養義務の届け」の書類を送ると言われた話もあった。

人には生きてきたなかで、それぞれの思いがある。
「家族」の関係も様々だ。
一度は「家族」として結び合った絆を、自ら断ち切って生きていくこともあるだろう。

その事情、その思いに、他人があれこれ言うことは許されないことだ。

生活保護の申請について相談、または生活保護を受けている方からの相談をお聞きすることがある。

生活保護法
(この法律の目的)
第一条  この法律は、日本国憲法第二十五条 に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。

(無差別平等)
第二条  すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」という。)を、無差別平等に受けることができる。

(最低生活)
第三条  この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。


ほとんどの問題の解決は、この3つの条文の中に求めた。

生活保護は、「憲法25条の理念に基づく」ことを法の条文に明記した制度だ。
つまり「生活保護」という国民にとってのセイフティネットを守り抜くことは、「憲法25条」そのものを守ることでもある。

コメント (2)
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