南風のたより ドラッグテスト

クリスマス

12月半ばからとても寒い日が続いていた。

台風なのか、ただの低気圧なのか、とにかく寒い雨降りの日が続いていた。

もうすぐクリスマス。

何処の家も何がしかの飾りを付けてフィリピン特有の長いながいクリスマスシーズンを楽しんでいる。

ここ2週間の土日はあちらこちらでパーティーが開かれている。

大きな会社や商店では社員やその家族や日頃のお客などを呼んでパーティーを催す。

その会場は屋外である事が多く、雨降りは良く無い。

ガソリンスタンドを早終いして給油所の屋根の下でパーティーをしていたが、さすがにスタンドのパーティーに爆竹やロケット花火は見られなかった。

12月20日の土曜日はこの街のクリスマスパーティーのピークだったようで、ハードウエァーショップの広い敷地にテントが張られ盛大なパーティーが催されていた。
私は家を建てるのに大量のセメントを買っているので、大きな顔でハードウェア－ショップのパーティーに顔を出し、フィリピン人を押し退けて飲み食いして20分で退散した。

逃げ出した理由はパーティーの会場で交わされる挨拶に辟易しからだった。

ろくに理解できないビサヤ語の挨拶と質問攻めに参ったからだった。

この日は殊の外寒い一日だった。

吐く息が白くなる、そんな事が有るはずは無いが、私の気持ちはそんな雰囲気だった。

雨で濡れると余計に寒く、ほとんどの人が長そでの衣類を着ていた。

私は、Ｔシャツの上に長そでのフリースを着て、しかも、日が暮れてからはその上にダイビング用のコートまで羽織っていた。 　

夜、眠る木

MAngnaoの新しい家の脇に、ジャクフルーツの木がある。

今ちょうど実を付けていて、もうすぐ食べごろである。
このジャクフルーツは夜になると葉を閉じて眠る。

夕日が当らなくなった場所から少しづつ閉じていくので温度ではなく、光りを感じるのだと思う。

朝はしかし、どこか一部の葉に光が当り出すと木全体が起き出し、やがてそわそわした感じが木全体に伺え、そろそろと葉が開き出す。
無風で天気の良い日などは、葉に少し光が当っただけで開き出すが、曇りや雨の日はジャクフルーツも寝坊をして太陽が昇りきってから葉が開く。

ドラッグテスト

免許の申請や更新時にはドラッグテストを受けなければならない。

これがけっこう面倒と言うか、恥ずかしいと言うか、とにかく大変なのである。
日本の公安委員会にあたるLT0の窓口で書類をもらい金を払ってから身体検査とドラッグテストを受ける。

ドラッグテストは別料金で400ペソだったと思うが、定かでは無い。

テストを受ける場所は市内に3箇所ほど有り、どこで受けてもかまわない。

私が行った時刻にはLTO前の試験場が閉まっていたので市内の窓口へ行った。

そこには可愛い女性検査官が二人いて、親切に応対してくれた。

検査では、箱の中の10本ほどのボトルから1本を選べと言われる。

後で問題が有った時に困るので、被験者に選ばせるのだった。

ボトルは150ｃｃほどの容量で、それに一杯の小便を入れて来いと言われる。

場所はトイレで行なわれるのだが扉は開けたまましなければならない。

その間検査官は不正をしないように監視している。

流石に正面を向けとは言われなかったが、背中に視線を感じると緊張する。

二人の検査官は年の頃なら23〜25歳くらいで街では見かけない理知的な女性であった。

方や美人で此方は可愛いく、自分の背後を見張ったのは美人であった。

なかなか出無い小便に焦りながらもボトルを一杯にして手渡すと、まず温度を計る。

たった今採取した証として35度～37度程度の間で無ければならないらしい。

そしてその後別室で何やら検査するのだがそこは見せて貰えなかった。

15分程で検査結果は出て、もちろん陽性だった・・・嘘。

検査官に聞いた話では、シャブを使っても1週間後なら出ないと言う事なので検査は意味が無いようにも思うが、たぶん目的は新しい利権だろう。

私がドラッグテストで一番難しかったのは書類の記入である。

いくつかの質問にYESかNOで答え書き込みの欄まであった。

私はスペルが怪しかったので全部検査官に書いてもらった。

帰りがけ、キュートな方の検査官に「今度の休みにビーチに遊びに行かないか」と誘ってみた。

「日曜は子供と教会に行くの」と断られてしまった。

ちょっと心残りだったが検査証をもらいLTOに行き免許の更新手続きをした。

・・・ではまた・・・

　　　では　また

　　　　　（2003年　12月　書きました）