【ワシントン=大木聖馬】米ワシントンで今月31日から開かれる核安全サミットに合わせ、オバマ米大統領はサミットに出席する中国の習近平(シージンピン)国家主席と個別に首脳会談を行うことがわかった。
米中関係筋が明らかにした。オバマ政権は中国が南シナ海の人工島で加速させている軍事化に強い懸念を抱いており、習氏に対し、中国側の真意を問いただし、一方的な活動を自制するよう求める方針だ。
米中首脳が個別に直接会談するのは、昨年9月の習氏のワシントン訪問以来。核安全サミットには安倍首相や韓国の朴槿恵(パククネ)大統領ら各国首脳が参加し、オバマ氏は議長として過密な日程が予想されるが、2か国会談の対象を絞りこみ、習氏との会談を最優先にすることを決めた。
中国で習近平(シーチンピン)国家主席の辞任を求める公開書簡がネットに流れた騒動が波紋を呼んでいる。中国の政治や社会の改革を促す発信を続けてきたジャーナリストの賈葭(チアチア)氏(35)が失踪後に当局に拘束されたことも、この件にからんでいるとの見方が強まる。他にも複数の失踪情報が報じられ、騒ぎは広がりを見せつつある。
書簡は今月4日、新疆ウイグル自治区政府系のニュースサイト「無界新聞」に掲載された。「忠実な共産党員」の名前で、「権力を自らに集中しすぎて、混乱を招いている」などと習氏を批判し、辞任を求めた。
すぐに削除されたが、中国で政府系のサイトにこうした内容が載ることは異例。ハッキング説や内部の関係者が意図的に掲載した説などがあり、掲載に至った経緯は不明だが、国会にあたる全国人民代表大会(全人代)の開幕直前だったこともあり、内外で波紋を呼んだ。
一部の香港紙は21日、事態を重く見た当局が100人態勢の調査チームをつくり、無界新聞の関係者ら数人の消息がわからなくなっていると報じた。賈氏と同様、公安当局に拘束されている可能性がある。
毎日新聞◇オバマ氏、カストロ国家評議会議長と会談へ
【ハバナ和田浩明】オバマ米大統領は20日、現職の米大統領として88年ぶりにキューバを訪問した。半世紀以上断交状態にあった両国が、2014年12月に関係正常化方針を発表してから約15カ月。オバマ氏は、社会主義国として米国と対立したかつての「敵国」への歴史的訪問によって、両国関係の発展にかける強い意欲を内外に示した。
オバマ氏は21日に首都ハバナでラウル・カストロ国家評議会議長と会談し、共同声明で関係正常化の継続を確認する。22日にはハバナの国立劇場でキューバ国民向けに演説し、国営テレビで中継される。さらに、反体制派を含む市民らと懇談しキューバの民主化を促す。野球の米大リーグとキューバ国家チームの試合も観戦する。
キューバ訪問の最大の目的は、大使館の再開や経済制裁の緩和など関係改善に向けた流れを「逆戻りできないようにする」(ローズ米大統領副補佐官)ことだ。11月の大統領選でキューバに強硬姿勢を示す候補が勝利した場合も考慮している。キューバ側に民主化や政治的自由の拡大などを促す狙いもある。キューバ側は経済制裁のさらなる緩和や人的、経済的な交流拡大などを求めるとみられる。
オバマ氏はキューバ訪問後、22日に南米アルゼンチンへ出発する。米国の対キューバ強硬姿勢に反発し、中南米での「米国の孤立」を図ってきた中南米諸国との関係改善も目指す考えだ。
大統領一家を乗せた専用機は20日午後(日本時間21日早朝)、ハバナのホセ・マルティ国際空港に到着。直前に降り始めた雨の中、オバマ氏はミシェル夫人と2人の娘とともにタラップを下りながら、笑顔で何度も手を振った。短文投稿サイト「ツイッター」では「キューバ、元気かい? 今到着した。キューバの人々と直接会い、話を聞くのが楽しみだ」と発信した。
オバマ氏は出迎えのロドリゲス・キューバ外相と笑顔であいさつを交わした後、市内のホテルでディロレンティス米代理大使ら大使館職員らと面会。1928年に最後にキューバを訪問したクーリッジ大統領は軍艦で3日を費やしたが、「自分は(空路で)3時間だった」と述べ、両国関係の接近ぶりを強調した。
オバマ氏はまた、世界遺産のハバナ旧市街を視察し、キューバとの関係正常化交渉にローマ法王とともに関与したカトリック教会のオルテガ・ハバナ大司教を表敬訪問した。会談場所となった大聖堂の周辺には強い雨にもかかわらず大勢の市民や観光客が詰めかけ、オバマ氏が手を振ると大きな歓声で応えた。
オバマ氏の訪問には、超党派の上下両院議員約40人や米企業家らも同行した。