看護師が患者3人を点滴中毒死させた事件の判決で横浜地裁は、死刑の求刑に対し無期懲役の判決を言い渡しました。
裁判長は、これまでの判例から「苦しい評議だった」と話し、評論家は「刑が減軽される心神耗弱状態に近い精神状態だったと判断したのではないか」と言っています(ネットニュースより)。
これまでの判決では、三人殺したら死刑は免れないという判例が出ていますが、今回の場合は看護師が「自閉スペクトラム症(ASD)」があり、うつ状態でもあったと判断され、完全責任能力はあったものの更生を期待した判決になりました。
遺族は、この判決に不満だと表明しています。
この判決、難しい問題をはらんでいます。
まずは、精神状態に問題はあったとしても「完全責任能力があった」と判断されていて、それでも3人もの人を意図的に殺害したのは、これまでの判例を覆したという点…。
次に、看護師が三人の殺害に至った労働環境をどう捉えるかという点などです。
労働環境が劣悪で、周りの助けも受けられないという中で、精神的に追い詰められていくことは多々あります。
今回の場合は殺人という方法でしか、その状態を抜け出すことはできず、本人も「死刑」を望んでいたようです。
殺人なんて考えない人は、自殺に追い込まれていくんでしょう。
コロナ禍で精神状態が不安定になり、経済的な困窮と相まって自殺する人が増加したというデータが出ています。
普通に社会生活を送っている人でも、ある日その状況が一変して、極度のストレスに追い込まれていくことはよくあります。
それを何とか凌げるか、凌げないかで生死の境が異なってくるのでしょう。
今は、のほほんと暮らしているじいちゃんも、現役時代にはいろいろなストレスでついに糖尿病を発症してしまいました。
病名には、ハッキリと「ストレス性糖尿病」と書かれています。
人を殺そうとか、自殺しようなどとは、これっぽっちも思いませんでしたが、体が言うことを聞いてくれない状態に結構苦しみました。
だからこそ、若死にしたくないから早々に仕事を離れ、ホンワカとした生活を送っています。
まあ、経済状態には多少心配はあるものの家族のお陰で助かっています。
人の精神状態をドンドンと追い込んでいくような社会が日本の現実です。
きょう発足する第2次岸田内閣は、このあたりにも目を配れるような政治を目指して欲しいと思うのですが…。