シャネルにはNo.5というベストセラーがあります。
シャネル社の看板でありドル箱であるわけです。
シャネルにはフレグランス部門以外にもバック、アクセサリーなどの
部門がありますが、その中でもフレグランス部門の売り上げが突出しています。
そしてその中でもNo.5はトップセールスをキープしていて、同社を
牽引していることは間違いありません。
シャネルNo.5といえば、モンローが
「寝るときはシャネルのNo.5を着てるの」
と言ったとか言わないとか。
しかし多くの人が勘違いをしていることがあります。
それはモンローが言わなくても、その時代にはすでに
傑作として多くの人に賞賛されていた、ということ。
べつにモンローのおかげではないのです。
もちろん彼女のおかげでさらに名声が広まったことも事実ですが。
ちなみにシャネル社には音源が残っており、本当に
モンローは記者のインタビューにそう答えたようですよ。
でもこれは発売時には不人気で、権利を第三者に売ってしまったのですよ。
そこから権利を買い戻すまでの話しは長いので省略します。
シャネル社もNo.5を大事にしているとみえて、他のNo.19やアリュール
などは色々なバリエーションが登場しているのに、No.5だけはそのままでした。
私自身なにか神聖不可侵のようなものすら感じていました。
ですから、二代目調香師までは手をつけずにいたのでしょう。
しかし三代目になってついに挑戦しました。
それがNo.5 オー・プルミエール。

ブログアップ時点の情報では、背の高いボトルではなくなったようです。
私個人の感想は
うーん、微妙。
まるっきり別物、という感じはしませんが、薄いNo.5?
主成分も、ネロリ、イラン・イラン、ローズと変更はないようです。
これをフットワークを軽くしたと言うか、薄くしたと言うかは微妙なライン。
だったらそのままでもよかったような感じはします。
たしかにNo.5は日本人好みの、ほどよい甘さの万人受けする香りですが、
ちょっとこもった感じはするんですよね。
だからと言ってオー・プルミエールはクリスタルのような
ぶっ飛んだフィーリング(当時としては)ではないんですよね。
それでも今の感覚に合わせた、というのでしょうね。
オリジナルのNo.5は今でも色あせない輝きを放ってますが?
名香の名香たるゆえんです。
パンフレットには「初めてのNo.5」とキャッチフレーズがありますが、
オリジナルのNo.5を知らずしてオー・プルミエールはないですね。
まずはオリジナルのNo.5に感動して、そして
「なるほど、そうきたか・・・」
と納得するものだと思いますよ。
おまけ
No.5というネーミングは、いくつかのサンプルの右からだったか
左からだったかの5番目が気に入ったから、だとか彼女が
「5という数字は私のラッキーナンバーのような気がする」
と言ったから、などという説があります。
エルネスト・ボーにそう語った、という話が伝わっているだけで、
実際彼女の口からネーミングの理由についての言及はなかったはずです。
ここからは私の推測ですが、5という数字を選んだのは上記の理由から
かもしれませんが、それは重要ではなく、彼女はわざとNo.5という記号の
ような無機質のようなネーミングにして、購入者それぞれが
自由なイメージを膨らませられるように工夫したのではないでしょうか。
「名前なんて、重要ではないわ!」
「そんなものでNo.5の香りを表現なんてできないわ」
「ただこの香りが好きか嫌いか、だけよ」
「付けた人それぞれが感じたものが正解よ、それがスタイル」
そんな言葉がきこえてきそうです。
天国でしてやったりの顔をしている姿が想像できますね。
最後に彼女の名言
「ファッションは変わるが、スタイルは変わらない」
彼女はファッションを創造していたのではなく、シャネルスタイルを
創造していたのですね。