私が着物を誂える時、「着て行く場所が決まっているから」というものと「一目ぼれ」が殆どです。
母の残した物にはビジネスに使える江戸小紋などは少なかったので誂えました。他にパーティー用の付け下げや、法事用の色無地など。
一目ぼれで買った物は数知れませんが、三代目がいるのでこれも決断は間違っていないと思っています。
ところが今回は大いに迷った反物がありました。単衣にしたてて着たいという織りの反物。好きな工房で男着物の専門店ですが女性向けの反物も多く、新作には結構こだわりがあってとても好きな作品。袷の着物はだいぶ揃ったので単衣や薄ものが欲しかったので、冬の時期から気長に探そうと思ったわけですが、洋服の世界と違って直前に出回るのでそのシーズンに着ようと思うと難しいことが多いのです。仕立てを急がせても二週間はかかりますからね。普通のスーツのようにパッと選んで着て歩けるような物ではないのです。
最終候補は二枚。黒地に柳と燕の文様が抜いてある柄。紫からグレーへのクラデーションが綺麗な地色に紅花が抜いてある柄。どちらも単衣ですっきり着られる反物です。
悩みました・・・・・。選べない。どっちも欲しい?いらない?選ぶなら?
と、とうとうどちらも諦めるという結論になりました。
私の人生哲学の中に、「悩むという事はNoというサイン」だというのがあるのです。悩まなくても欲しいものはいつの日にか向こうからやってくるので、焦らなくてもいいかな・・・と。そのうちどうしても一目ぼれの作品は出てくるのです。こうなるともう歯止めが利かない。
まあ一枚も単衣がないわけでもないし、薄物も化繊ならあるし、絹芭蕉も二枚あるんですから、我慢しましょう。
その代わり心から気に入っている帯に出会えたので満足。
来年から展示会が縮小されるようです。大手の呉服店でも大変ですね。
百貨店(デパート)の展示会などの案内も来ますが、仕事でたまに時間があれば行けるのですがなかなか難しいですね。
展示会でも完全に観るだけで済ませられる人と、予算内で良いものに出会えたら押さえておく人と、買いたい要望だけが先行する人もいます。
私はある程度予算を決めてその中で自分の手持ちでないものを探すタイプ。ある程度「こういう物を探している」と伝えると作家も工房も担当も探してくれます。
それでも本当に気持ちの良い買い物が出来るのは稀です。
ここ一年ほどは気分がよいので、今回も買っても良いのですが、う~ん。
選べない・・・・。もう少しセレブだったらなあ。
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