会社では健康診断がスタートした。
整理券が発行されて約1か月に渡り診断が行われる。
診断にあたり、検便キットが渡された。
樹脂でできた清潔感あふれるキットだ。
。。。。。検便に纏わる話がある。
オイラが小学生の時分は、便の容れ物は
小さな小さなブリキ缶だった。
オヤジオフクロの世代はマッチ箱だったらしい。
マッチ箱は何かで梱包したのだろうか。
新聞紙で包んだだけか?
ランドセルの教科書と筆箱に挟まれて
中身がプニュしちゃった人はいないこともないだろう。
ブリキ缶時代、先生は子供たちに『少しだけ入れてきなさい』と言った。
それにもかかわらず、みっちり入れる親がいた。
山盛り入れた後に、アイスクリームのヘラで圧縮均等ならしをするのだ。
ちょっと採取して顕微鏡で見るだけなのに、
すごくサービスし過ぎですね。味噌販売じゃあるまいし。
その後、フィルム状のギョウチュウ検査紙ができた。
朝起きた時に、フィルムをケツノ穴にぺたっと貼り付けるのだ。
ギョウチュウの卵がフィルムにくっつく。エンガチョである。
クラスの何人かはギョウチュウチャイルドと判明される。
心無い担任の先生は、
『○○君と△△君はギョウチュウだから保健室に行くように』
なんてことを帰りの会で言う。
オイラが確か小学生3年か4年の時だったと思う。
オイラは保健委員だった。
保健委員の仕事は、検便集めしかなかった。
だから検便委員でもよかったんだ。
検便委員は二人いた。
オイラとケンイチ君である。
ケンイチ君は男子の分、オイラは女子の分を、
それぞれデカイビニール袋に入れて保健室へ運んだ。
事件はその途中に起きた。
階段の踊り場で、ケンイチ君が立ち止まった。
ちょっと待て、とオイラを呼びとめた。
ケンイチ君はオイラにささやいた。
『ナオコちゃんのウンチを嗅ぎたい』
『オレはいやだ。
でも見るだけなら。。。いやいやダメだ!』
何度か押し問答があったが、
オイラはケンイチ君を抑えることができなかった。
おそらくどこの幼稚園でも、子供たちの大馬鹿な無邪気さがあふれている。
『わーい!ウンチ、ションベン、ギャハハハハ!!!』
子供はウンチネタが大好きなのである。
オイラたちは好きな女の子のウンチを見て、ギャハハハ!とはならなかった。
むしろ後味の悪い思いをした。
ということはまともな子供だったのだ。変態ではなかったのだ。
ケンイチ君は、現在、精神科医としてご活躍中である。
さて、同じ検便ネタだが、友達は朝、どうしてもウンチが出なかった。
困ったお母さんは、犬小屋に行って犬のウンチをブリキ缶に入れた。
犬は家族と同じモノを食ってるから犬のウンチでも平気だと思ったらしい。
しばらくして、学校からその友達の家に連絡があった。
すぐに県の保健所に出向いてくれとのことだった。
内容は、『お子さんの便に、人間にはあり得ない菌が発見された』
とのことだった。
友達は即検査入院となった。
母親は、あまりに恥ずかしく医者に事実を言わなかったらしい。
その話はクラス中、PTAを介して親に広まった。
オイラのオヤジが腹を抱えてのたうち笑いまくったのを見た記憶がある。