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Surf, Run and Trails / Endurance For Fun

激闘、湘南国際マラソン。痛恨のミスレース。

2017-12-05 00:54:45 | ランニング



12/3(日) 第12回湘南国際マラソン
オレにとっての1年最大のイベントである。

これに照準を合わせてトレーニングしてきた。
ウルトラ100も、トレイルも湘南国際のため。

マラソン後半の辛さを克服するため山を登った。

しっかり走り込んだ。体重を更に落とした。カーボローディングも終了!

そして迎えた当日。
念入りに膝周りに迷彩色のテーピング。
ファイテンネックレスはダブル!
カフカバーをして、ビーチクにはワセリン!すれて血だらけになるからね。
OnのパフォーマンスTに、同じくOnのショーツ。
ブラックサンバイザーにオークリーグラス。

完璧だ。まさにロードを走るトレイルランナーなスタイル!

Onウエザージャケットを羽織る。
羽織る、がまさにピッタリのジャケット。羽のように軽い。

そしてシューズはOnクラウドフラッシュ。
フルマラソンでは初使用である。
これをバッグに入れ、ワラーチを履く。

足を締めずスタートまで解放してあげるため、ワラーチを履いたわけね。

6時に家を出て7時過ぎには会場へ。
続々と選手が会場へやってくる。
熱気はムンムン、気温7度、快晴無風。
日中は14度くらいまで上がるだろう。
絶好のマラソン日和。誰しもが好タイムを期待できる。


目指すは3時間20分。世界のマラソンランナーの7%しか達成できない。


スタート1時間前、フラッシュに履き替え荷物を預ける。

「ん?」
足の指の感覚がない。

かなり足を冷やしてしまったようだ。
ダイレクトストレッチをし、身体を温める。
が、なかなか温まらない。
整列が始まり移動する。
スタートまでかるーくジョグするがそれでも温まらない。

まあ、走ってれば否が応でも暑くなるしな、温存ということで。

カウントダウンが始まる。
10,9,、、、、3、2、1!

9:00ジャスト スタート。
スタートラインまでは3分。
オレがスタートを切るとき、トップはすでに1キロ先。
始まった!この高揚感、アドレナリン全開。
1万9千人のランナーがそれぞれの思いをかけて走り始める。

予定ではキロ4’45”で茅ヶ崎まで行く。
茅ヶ崎から大磯までは4’40”
大磯~フィニッシュは4’50”

いつもの速度だ。
この速度に身体を目を慣らしてきた。

スタートから数キロはなだらかな下り。
余分な力は使わず、ジャストスピードに乗せることだけ考える。
そうすれば茅ヶ崎までは惰性で走れる。

その通り走った。速度も足の運びも好調。ミッドフットで走れている。
しかしだ。
足の冷たさがなかなか取れない。
冷たいまま、左足フクラハギに違和感が出てきた。
初めての感覚だ。なんだ、これ?

2キロ過ぎて足にやっと血が回ってきた。
やっと血流が回復したようだ。指の感覚が戻った。
少しスピードを上げる。

回復した指とは正反対に、フクラハギの違和感が徐々に強くなってきた。

その時は何がなんだかわからなかったが、
今思えばフクラハギの血流が滞っていたわけだ。

第2の心臓であるフクラハギに血が回っていない。
致命的だった。
潤滑されず酸素が届いてない筋肉はプツプツを音を立てながら切れていった。
周囲のシューズがアスファルトを叩く音に、筋断裂の音はかき消された。

茅ヶ崎を抜けたところで違和感は突然激痛に変わり、
そのままヨロヨロとガードレールにしがみつく始末となった。
ガードレールにつかまらないと転倒するほどの痛みだった。

肉離れだ。

止まった時、「続ける」という選択肢しかなかったな。
続けるか棄権するかの2択は思いつかなかった。

とても愚かだけど、実際思いつかないのだ。
きっと棄権するのにはもの凄い勇気がいるからだ。
そのときオレには棄権するほど勇敢ではなかった。
そういうことだ。

痛みが小康状態になったので再スタート。
あまり飛ばせない。たぶん飛ばすとまた激痛が襲ってくるだろう。
ナーバスになり大会雰囲気を楽しめる余裕がなくなった。

江ノ島を折り返す。
さきほど激痛ではないにしろ鈍痛はずっと続いた。
鵠沼でフラチームが応援フラを踊ってる。
嬉しいことなのだが、邪魔だった。
忍耐ランのリズムとフラのリズムが喧嘩する。イライラする。

エイド給水で立ち止まる。

ほんの2,3秒止まっただけで、走り出しは足を引き摺る始末。
もう前半の快調さは一切ない。精彩を欠くという言葉がピッタリ。
エイドで抜かされた選手に食らいつくのも苦しい。
運良くその選手が速度を落とせば抜き去る。

抜き去ることで「競争中」の意識を持つようにした。
ランをしている動機はもはやそこにしかない。
前にいる選手を置い続ければフィニッシュできるかもしれない。
そう思ったのだ。
しかし平塚あたりからのエイドで止まると、
そこで先に行った選手に追いつくことはもうできなくなった。

さらには涼しい顔をした女子に颯爽と抜かれる。
女子は男子より強いといつも思う。
最後に颯爽と走るのは決まって女子だ。
スタートからイーブンなのか、あるいは前半は温存して後半から速度を上げるのか、
とにかくかっこいい。余分な脂肪は一切ない。

やっと大磯高校まで来た。そこから西湘BPに入る。
去年はとても急坂に思えたけど、今回は斜度がなく感じる。
トレイルのおかげだ。大磯入りはオレにとっては坂道ではない。
西湘の入り口、さあ、ここからがレース!
入り口まではウオームアップ。ここから本番!

そう思う予定だったよ。。。

でも限界はそこまで来てた。「限界」の漢字が宙に浮いて来た。
多くの選手が立ち止まり、足をさすり、天を仰いでいる。
30キロから始まった魔の区間。
悪魔が一人ひとりに降りてきて、もう走らなくていいんだぞ、と囁く。
35キロでは立ち止まり、歩く選手が更に増える。

マラソンはテクニックでも体力でもない。
ここまでくると本当に強靭な精神力しか無い。
自分に負けるか勝つか、それだけ。
結局はその気持を持つためにみんな努力してるのだ。

根性、努力、気合、金を出してもそれが欲しい。


(茅ヶ崎パーク 一中交差点 ウインドサーフィンでしか通らなかった道を走る。)


フクラハギはもう感覚がない。

ランはフクラハギ、アキレス腱の反発があるから前に進む。
エンジンで言えばピストンであり、コンロッドであり、クランクシャフトである。
そこが破壊されてる。
エンジン2気筒のうち、1気筒が死んでる。
左足は接地するだけ、右足だけで地面を蹴る。

体軸が歪み、腰も正常な右足も、もうわけの分からない痛みに襲われてきた。

35キロ超え、あと7.195キロ。
二宮の折り返しの風船が遥か彼方に見える。

走っても走っても風船は離れていくように感じる。

頭がぼーっとしてくる。
痛みを消すために脳内モルヒネが大量生産されて、脳が疲れたんだろうな。
眠くなってきて夢を見ているような感じだったよ。
40キロポストを超え、あと2.195キロ、長かったなあ。
世界一長い2.195キロだった。
西湘BPを抜け、「WELCOME BACK!!」の大きな看板が見える。
湘南国際名物、激坂を巻く。
あとすこし、あとすこし。
フィニッシュゲートが観音様のようにも見えた。

完全にこのつらさから解き放されるまで、

50m、40m、30m、、、、FINISH。

3時間33分54秒。


国道134号線と多くのボランティアの方々、
そして叫ぶように応援してくれた地元の友人たち、
ラインを切って振り返り、深々頭を下げた。
オレは走らせてもらったんだなあと思ったよ。

フィニッシュエリアを出て、大の字で寝る。

目を閉じると目がグルグル回った。
太陽が眩しかったので目を閉じたら、
達成感と悔しさと感謝と感動がマーブル模様のように渦巻いた。

でも達成感が勝っていたかな。

でも本当に疲れたよ。