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特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」(大阪展)を観て

2013年05月21日 | 美術館を訪ねて

前夜の天気予報では雨とあって、今日(5月19日・日曜日)はどこにも出かけない予定でしたが、眼を覚ましたらけっこういい天気!
でもいくら今晴れていても、昼には雨が降りますとあくまで無情な天気予報ですが、とにかく出かけることにしました。

ヨメさんの「行きたいところリスト」には京都府立植物園も上がっていましたが、これは時間がかかるので今回はボツ。
とにかく近いのが一番と、会場の混雑が不安なものの、評判の高い大阪市立美術館での特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」に行くことに決定。
見どころは↓とのこと
特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」のホームページから


9時前に家を出ました。
大堀から阪神高速松原線に入り、文の里出口で降りて、ナビの指示通り走ったらすんなりと天王寺公園地下駐車場入り口に到着。障害者スペースに停めて、すぐ近くのエレベーターで天王寺公園の入り口前に上がりました。

9時半の開園時間を少し過ぎただけでも、もう入り口は客の列が並んでいました。入り口からすぐ広場になっていて、バラの花がきれいでした。こんな色のバラ、初めて見ました。


美術館に行くまでの通路も緑が美しく、慶沢園などもあって、いい雰囲気です。公園だけでもまた来たいねなどといいながら美術館に向かいました。

正面玄関の階段が心配でしたが、ちゃんと左のほうにはスロープが付けられていました。


やはり館内はたくさんの人でした。でも館外に行列が出来るほどではありません。混雑とは言っても、先のエルグレコ展マウリッツハイス美術館展などと比べたらかわいいものです。記念撮影コーナーです。


入り口脇で1台500円の音声ガイドを借りて会場へ。スペシャルナビゲーターは中谷美紀とのことですが、なんとなく武田和歌子のほうがピタットかもと思ったり。(笑)

中はやはり人・人・人の波。
展示に見入っているみなさんにぶつからないよう車椅子を押すのはかなり気を使いました。
最初の仏教芸術を展示したコーナーでは、まず快慶の「弥勒菩薩立像」がよかったですね。リアルな表現の衣装や仏体に金箔がよく残っていて保存状態は極めて良好です。
この仏像は快慶の残存している最若年時の作品で、しかも東京展と大阪展だけの展示だそうです。見られて良かったです。
特別展会場で買い求めた絵葉書から


仏像とともに仏教絵画も数多く展示されていました。「法華堂根本曼荼羅図」など幻の国宝と言われたものも展示されていました。
しかし蒐集時にすでに褪色が激しかったのでしょうか、かなり絵柄が不鮮明になってしまっているものも多かったです。
これらの絵を観ていくうちに、観客の密度が次第に低くなってきて、かなり見やすくなってきました。
私たちと同年配かそれ以上の方も多く、そろそろ疲れが出てきたのでしょうね。(笑)

でも、次の、今回の展覧会の目玉の一つ、二大絵巻のコーナーで、また混雑が始まりました。「吉備大臣入唐絵巻」と「平治物語絵巻」です。
特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」のホームページから



今回展示されているのは絵巻物の一部ですが、それでも展示のガラスケースは長く、観客がゆっくりでも流れているうちはいいのですが、そのうちの一人でも足を止めてしまうとたちまち混雑してしまいます。
でも混んでいたのはここまで。

後半の狩野派の絵や、等伯若冲狩野永納光琳蕭白の作品も素晴らしいものばかりですが、けっこう観やすくなって助かりました。展示品の配置に感謝です。

特別展会場で買い求めた絵葉書から 尾形光琳 ≪松島図屏風

呉服屋の生まれとあって、デザインセンスは大したものです。

特別展会場で買い求めた絵葉書から 曽我蕭白 ≪風仙図屏風

トルネードから猛烈な風が吹いて、右の弟子たちは転げまわっています。面白いです。

特別展会場で買い求めた絵葉書から 上が蕭白で下は等伯の龍です


本当に名品ぞろいですが、特に印象に残ったのは蕭白。大胆な筆さばきでグイグイ描く絵もあれば、精緻な鷹の絵があったりと、幅が広いです。

しかし、国内にあればすべて国宝か重文クラスの名品が並ぶ展覧会場を回りながら、それらが国内になく海を渡った事実を目の当たりにして、内心複雑でした。
まずは、なんで「こんなお宝が海外に‥」というくやしさ。でも考えてみれば、これらは武力で略奪されたのではなく、廃仏毀釈のもとで、フェノロサや岡倉天心の求めに応じて進んで金品と交換してしまった当時の風潮ゆえのこと、しかし、海外に流出したおかげでこんないい状態で残っているのではないかとか、いろいろ考えてしまいました。

ともあれ、今回の展覧会は質・量の双方で満足しました。

私たちは駐車場の関係で、開場時間に合わせて出かけましたが、電車で行くなら少しオープン開始時間からずらしたほうが混雑が緩和されて見やすいのではないかと思いました。
それと、どこの展覧会でもそうですが、今回も入り口付近は混み合っていましたが、めげずに観て回ったら後半の近世絵画のあたりはすいてきたので観やすかったです。

この大阪展が最終です。未見の方はぜひご覧になってください。日本美の再発見があると思います。

コメント
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