思いつくままに書いています

間口は広くても、極めて浅い趣味の世界です。
御用とお急ぎでない方は、ごゆっくりどうぞ。

Dio(AF34)のバッテリー、とうとう昇天しました

2016年07月27日 | バイク
2001年登録のホンダDio(AF34)のバッテリーがついに寿命となりました。

このバッテリーは2007年製造で、


2009年にはスパーダとアドレス110とともにサルフェーション除去装置(以後バッテリーパルサー)を付けていました。


そのあたりの経過はココに。

以後現在まで9年間、何の問題もなく使用してきましたが、最近になっていくら充電してもすぐ放電するようになってきました。例えば朝出かけて、夕方帰宅しようとセルボタンを押してもキュルキュルと息も絶え絶えの状態。
その度にキックで始動してなんとか帰宅しましたが、終いにはいくら充電してもセルが回らない状態に。
寿命ですね。以前のアドレス110やスパーダの昇天時と同じ症状です。

で、もう悪あがきせず、新品と交換することにしました。

先に書いたように、2007年7月製造のバッテリーなので、ちょうど満9年使用出来たことになります。このバッテリーの中がどんな状態か知りたいところですが、密閉式で硫酸も入っているので、おとなしく廃品回収に出しました。

ちなみにアドレス110も9年でバッテリー交換。スパーダは乗る頻度が少ないからか、半分の5年で成仏したのが不満ですが、Dioとアドレスが10年近くもったので、まあバッテリーパルサーは有効だと思います。

ということで、元と同じメーカーの同一規格の新品バッテリーに交換しました。
バッテリーだけは、日本製の純正品がベストです。これまでの私の経験では、日本メーカーを名乗った台湾製バッテリーはすべてハズレでした。

そして昨日、摩耗限度を超えていた前後輪タイヤも、近くのショップで交換。
タイヤの銘柄はダンロップのRUNSCOOT D307の300-10。
偶然見つけたこのショップ、最近少なくなった修理と整備が専門の店で、店主は若いですが(まあ私と比べたら、ですが(笑))、知識も豊富でアドレスやスパーダのメンテについても色々耳寄り情報を教えてくれ、なによりバイク好きで、話していて楽しかったです。


いうわけで懸案事項もなくなったので、当分は、ベルトとウエイトローラーの交換ですっかり快速になったDioの走りが楽しめそうです。

とはいっても、今度は前から発生していたしょぼいフロントサスの劣化が気になってきたので、Assy交換できるのならやってみたいとも思い始めたり。
やっぱり製造15年を超えると、トラブルのモグラ叩きは終わりそうもないですね。(笑)
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観劇感想・蔵出しシリーズVol.2は「パーマ屋スミレ」と宝塚「NOBUNAGA/Forever LOVE!!」です

2016年07月20日 | 観劇メモ
思いつくまま観劇感想・蔵出しシリーズVol.2です。遅くなっています。m(__)m

今回は、
①6月18日に観た、新国立劇場2015/2016シーズン 鄭義信三部作のVol.3「パーマ屋スミレ」と、
②6月23日の宝塚月組公演『NOBUNAGA<信長> -下天の夢-』&『Forever LOVE!!』のうっす~い感想です。
でもネタバレありで、宝塚は絶賛モードとはほど遠い感想(殴)なので、御贔屓な方はスルーしてください。

ではまず『パーマ屋スミレ』から。こちらは絶賛しています。(殴)


劇場は毎度おなじみ西宮芸文センター・阪急中ホール。通し券なので今回もおなじB列のセンターブロック。
まず結論ですが、やはり見ごたえたっぷり。本当によかった。印象としては、こまつ座の舞台と共通した、これまで知らなかった世界が垣間見られるといった、脚本と演出の面白さが心に残りました。

今回の舞台セットは、三池闘争以後、さらに炭鉱経営の合理化政策が激しくなった炭鉱住宅に付属する理髪所。
例によって、店内外は超リアルな作りで、店内には前田美波里のレトロなポスターが貼られていたり、店の前には前二作の水道栓の代わりに、懐かしい手押しポンプが据えられていて、ハンドルを上下すればちゃんと水も出ます。(笑) 

店の前に置かれた水の張られた金盥には、スイカと瓶ビールが冷やされています。店の前は祭りの提灯が連なっていて、祭りがあることを示しています。そしてなぜか店内の座敷には、老人が布団をかぶって寝ています。(初めはいきなりご臨終かと思ったり(笑))

話は、1963年に発生した、死者458人、一酸化炭素中毒患者839人と戦後最悪の犠牲者を出した三井三池炭鉱の炭塵爆発事故を背景に、理髪所で働くヒロイン高 須美(南果歩)と、その夫で炭鉱夫の張 成勲(千葉哲也)と、須美の父・高 浩吉(青山達三)や、須美の姉・高 初美(根岸季衣)とその息子・大吉(少年時代は森田甘路・長じては酒向芳)、三女の高 春美(星野園美)という一家を巡る話です。










今回は、三部作中一番重い話でした。
でもそこは鄭義信の脚本。やはり今回も至る所に笑いと悲しみ、怒りと涙の場面が仕込まれていて、役者は大変ですが、観客にとったら笑いが気持ちを快く切り替えさせるので、メリハリのきいた展開になっていたのは前2作と同じ。

ということで主な出演者ごとの感想です。例によって敬称略です。


まず主演の南果歩

理髪所を切り盛りしているヒロイン高須美です。

実は、私は南果歩の舞台を観たのは今回が初めてでした。でも大した演技力で、新鮮でした。完全に役になり切っていて、全身で感情表現していて、さすがの演技。
ほぼ出ずっぱりで舞台を駆け回るハードな役ですが、観ていて華奢な体のどこにこんなエネルギーがあるのかと心配になるほど熱の入った演技でした。

劇中で「いつかは自分のパーマ屋を持ちたい。名前は私の名前からスミレにするの」と夢を語る姿がいじらしい。でも現実は夢とは程遠く、炭塵事故でCO中毒になって仕事に就けず、いつも家族に八つ当たりする夫の張 成勲(千葉哲也)との諍いが絶えない毎日。

細い腕で一家を支えて頑張る姿がリアルです。

で、ここからいきなり余談ですが、観劇した日は大千穐楽でした。

12時半の開場時間となってホールに入ったら、まだ客席扉はしまっていて、15分ぐらいホールで待たされました。そのときヨメさんの車椅子の前を長身の男性が横切り、一目で彼の姿を見たヨメさんが、「健さん!」と言いながら手を振りました。相手の男性も軽く会釈してくれましたが、この時点では私は誰か気付かず。

係員の指示した場所に車椅子を停めて開場を待っていると、件の男性が戻ってきて、私たちのすぐ前に立ち止まりました。ほんの2mぐらいの距離なので、ようやく私も誰かわかりました。
渡辺謙さんでした。(ここだけ敬称プラスです(笑))

大千穐楽ということで来られたのでしょうが、客席ドアが開くまでの間、彼ほどのVIPが、私たちと同様に立ったまま、客席ドアの開くのを待つ姿が印象的でした。人柄が垣間見えた気がして、気持ちが和みました。でもあまりに近くに立っているので、こちらが落ち着かずドギマギ。(笑)

それはさておき、夫の張成勲役の千葉哲也もよかったです。

本当に確かに実在してそうな人物で、今回が初演とは到底思えないカンパニーに溶け込んだ演技。
特に後半、事故でそれまでのように働けなくなって、雑用に従事して不本意ながら「髪結いの亭主」になり、会社や第二組合へのへの怒りも加わって自暴自棄となる姿が身につまされました。
彼は初演の「焼肉ドラゴン」でも哲男役を演じて好評を得たそうですが、さもありなんですね。さらに「鉈切り丸」では弁慶役で出ていましたが、今回の方がはるかに存在感がありました。

よかったといえば、須美の姉・高初美役の根岸季衣もピッタリの役でした。

世渡り上手で計算高く、けっこう男好きで(笑)、でも家族思いの姉。「焼肉~」や「たとえば野に咲く~」には出てこないキャラクターが新鮮でした。舞台では初めてお目にかかりましたが、4年前にも同役で出ているということで、余裕の演技も納得でした。
あと、須美の父・高浩吉の青山達三や、初美の息子・大吉(少年時代は森田甘路・長じては酒向芳)、三女の高春美役の星野園美も4年前の公演から再演とのことで、安定した好演ふりでした。

↓大大吉と須美


星野園美の三女春美は、前半の森下能幸演じる夫・大杉昌平とのラブラブな暮らしぶりが事故後一変するところを好演していました。



そういえば今回も「焼肉~」と同じく三姉妹。

姉妹ではないですが「たとえば野に咲く~」でも3人の女性が中心と、鄭義信作品はこういう設定がお好きなようです。

初美の内縁の夫・大村茂之役はもうおなじみの久保酎吉
いろいろこの人の舞台を観てきましたが、今回の役が一番よかった。再演ですが、楽しんで演じているのがよく伝わってきて、こちらも楽しかったです。劇中で客席降りで、組合のビラを撒くシーンがありましたが、もらえなくて残念。(笑)

森田甘路演じる大人の大吉は全く狂言回しで、最初の導入部分で客席に向かって時代背景などを解説するのと、最後に出てくる以外は当然ながら筋に絡みません。
↓「焼肉~」と同じく大吉と大大吉も屋根に上っています(笑)


酒向芳の子供時代の大吉(初美の息子です)はちょっとオネエが入っていて、将来は服飾デザイナーになりたいとか言っています。鄭義信流のコミカルな演出をうまく演じて笑わせてくれました。
余談ですが最近、WOWOWの放送を録画してあった「イニシエーション・ラブ」を見ていたらこの人の名があってびっくり。同じ人とは思えない演技でした。

結局、炭塵爆発でCO中毒になった張成勲たち炭鉱夫は、やっとCO法が成立してもほとんど補償がもらえず、やがて炭鉱は閉山となり、炭住も閉鎖。理容所も閉めることになって、一家はそれぞれの目指すところに旅立ちます。足に負傷した張成勲の弟・張英勲(村上淳)は社会主義建設に貢献するといって北朝鮮に向かいます。

旅立ちは例によってリヤカーで、と言いたいところですが、今回は軽三輪が使われていました

この軽三輪、ポスターではダイハツ・ミゼットMP5になっていますが、舞台に登場したのはもっとマイナーな、三菱レオ・ベースの電動三輪車でした。この三輪車、実によくできていて、狭い舞台上をクルクル走り回って大活躍。
子供の時、たまに見かけていた私は面白かった&懐かしかった。(笑)
そのレオの目的地は、なんと大阪万博前の伊丹空港滑走路拡張工事現場。そうです、この話は、「焼肉~」の前段だったんですね。よく出来ています。

最後は「焼肉~」と違って桜ではなく紙吹雪の降りしきるところで終わりました。
今回もドラマチックな展開であっという間の舞台でした。

そして感動のスタンディングとなりましたが、カーテンコールでは主役の南果歩も涙・涙で応えてくれました。それどころか、さっとスマホを取り出して、拍手を続ける私たちを撮影したり、客席も入れて自撮りするなど大喜び。その後、何度も全員そろって拍手に手を振って応えてくれて、こちらも満足でした。

本当に良かったです。未見の方は、再演の折にはぜひご覧ください。おすすめです。

次は、宝塚月組公演『NOBUNAGA<信長> -下天の夢-』&『Forever LOVE!!』の感想です。


といっても、信長の方はほとんど書くことがない。(殴)
観る前は、良く知った話だし、どんな風に宝塚化しているのかお手並み拝見、というスタンスで観始めました。「前田慶次」の再来になるかという期待もあったし。
最初のうちは、ロックミュージカルとのことで、フレンチミュージカル張りのド迫力な音楽で、ディテールなどお構いなしに話をグイグイ進めていくのかと思っていたら、そうでもなくてどっちつかず。
それどころか、どんどんトンデモな話になっていって、秀吉たちが公然と反旗を翻して信長に刃を突き付けたり、そもそも信長がどんな人物かの描写も少ないし、挙句は義経伝説みたいな本能寺のオチで、よく言えば破天荒、悪く言えばハチャメチャ、突っ込みどころ満載の脚本でした。^^;
まあ、フロイスの日本史のように、ロルテスを使って外からの視点で信長伝を書いてもよかっただろうし、いっそのこと史実にとらわれず、登場人物の名前だけ同じの、全く別のストーリーに仕立てても面白かったと思いますが、そこまでの割り切りがなかった。

話の構成も、いくら「天下統一を目指した英傑」といわれても、肝心の信長の人物像とか、人間としての魅力、歴史的な役割とかは描かれず、足利義昭とのドロドロした関係とか、比叡山焼き討ちとか、重臣たちの反抗とかが無駄に長いのも疑問でした。
かなり無理筋な結末なら、いっそもっと爽快な人物設定にすべきとも思いましたね。あのままだと、とても異国でうまく行くとは思えないので。(殴)

ということでほとんど話に入れないまま観ていましたが(ここまで悪口言う?^^;)、やはり龍真咲は最後までユニークでした。
私は以前から彼女の台詞まわしや息継ぎが苦手でしたが、今回は役に感情移入できないのでよけい気になりました。信長役は彼女のたっての希望だったそうですが、脚本のせいで信長像がよく見えないのが残念でした。
『舞音』とか『1789~』が非常に良かったので、よけいに惜しかったですね。
それと、大道具さんのガンバリがわかる装甲車のような象も、なんとも唐突で勿体なったです。でもよく作ったものですな。

愛希れいかの帰蝶はさすがに存在感があって印象的でしたが、信長との絡みの場面が少ないどころか、最後は斬られてしまうのだから、なんともはや。でも抜群の身体能力で薙刀を振りかざす殺陣は見ごたえあり。ただ如何せん、しどころのない役で気の毒でした。
ロルテス役の珠城りょうは存在感があって異人の衣装もよく似合っていて、私はルッキーニみたいな狂言回しで話をリードするのかと期待しながら観ていましたが、これまた中途半端な存在でした。
あとは家臣団の、凪七瑠海の光秀とか、美弥るりかのどう見てもサルには見えない美形の秀吉とか、
輝月ゆうまの前田利家など、それぞれよく頑張っていたものの、大勢に影響せず徒労。
そんななかで目立っていたのは、足利義昭を演じた沙央くらま
まあこんな海千山千というか、権謀術数にたけた落魄した将軍をよく演じていましたねぇ。感心しました。でもショーでも出番が多く目立っていて、最後はエトワールも務めるなど、彼女も退団?と思うほどの頻繁な登用がナゾでした。

ということで、芝居のほうは退団公演なのにあまり惜別感がなく、ガッカリでした。
余談ですが、そのせいか今回はチケットの販売が思わしくなかったようで、歌劇団からチケットの販促メールが何度も繰り返し来て、それも退団公演では前代未聞の割引販売のお知らせで、ビックリしました。でも東宝では売り切れとのことでよかったです。

でも芝居の方の不出来と違って、ショー「Forever LOVE‼」は良かったです。(まあショーも不出来だったら暴動必至。(殴) )
幕が開くと、赤とピンクの衣装のラブジェントルマンがずらりと並んでいて客席もどよめき、ラブレディ―ズも加わったダンスのあと、豪華なガウンの龍真咲が登場してサヨナラショーの雰囲気たっぷりになりました。全体の構成も衣装の色もいい感じで、とてもこれが『HOT EYES!!』と同じ作者とは思えない。
ラテンの場面では龍と愛希のデュエットのあと、凪七美弥沙央の連続女装ダンスとなって面白かったです。ロケットの衣装も最近では一番きれいでした。ショー全体に選曲が好みのものばかりで、メリハリの効いた構成が気が利いていて、久しぶりに楽しめました。

ということで、このズボラな蔵出しシリーズはお終いです。次回からの観劇感想はあまりタイムラグのないように頑張りますので(やや自信なさげ(殴))、またよければお越しいただければ幸いです。

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最近の観劇感想・蔵出しシリーズVol.1です

2016年07月04日 | 観劇メモ
5月から観劇が続いていました。
まず5月5日に森ノ宮ピロティホールで「アルカディア」を観て、続く7日は梅芸で「グランドホテル」。そして26日には宝塚大劇場で花組の「ミーマイ」。月が変わって6月4日は再びピロティホールで「8月の家族たち」。老体にはけっこう応えました。(笑)
で、感想ですが、一つずつ書くのは手に余るので、ここはまとめ書きでご勘弁を。(殴)

ということで、超簡単な感想をまず「アルカディア」から。

英国演劇界を代表する劇作家トム・ストッパードの最高傑作」だそうで、その演出は栗山民也、そして主なキャストが堤真一寺島しのぶ井上芳雄浦井健治神野美鈴と豪華メンバー。これで面白くないわけはなかろうと、大いに期待しつつ出かけました。

でも。
よく分からない舞台でした。^_^;

もう私などの貧しい想像力では何が言いたいのかサッパリ理解不能。(殴)

話の時間軸は2つあって、時代設定の異なる二つの物語が交互に展開されていました。
共通するキーはバイロン。イギリス・浪漫主義時代の代表的な詩人で、超勝手気ままに生きた詩人です。私も若いときはけっこう好きでした。

でもそのバイロンを巡る謎というのがわからない。

「わからないから謎だろう」という突っ込みは置いといて(殴)、膨大な台詞を聞いていても、なにが問題なのかよくわからない。そんな舞台を観続けるのはかなりしんどかったです。

それで、何かヒントが得られるかもと、休憩中に読んだプログラムで寺島しのぶが、
何回読んでも分からない本って久しぶりでしたね(笑)」と書いていたのでホッと一安心。(殴)

ただ、話の芯は分からなくても(笑)、寺島しのぶの演技は自然で、人物の実在感は際立っていました。


もう一人、神野美鈴も舞台に現れただけでわかるたたずまいのリアルさ。この二人がよかったです。


でも、期待の堤真一はちょっとがっかりでした。

こもったような台詞で聞き取りにくく、せっかくの力演も空振り感があって、ヨメさんも「こんなはずでは」としきりに残念がっていました。

もうひとり期待していた井上芳雄も、今回はいつもと違って彼らしくない精彩を欠く演技。

浦井健治も「トロイラス~」では好演していたのに、今回はあまり印象に残らず役不足な感じでした。

結局寺島しのぶの言う通り、脚本の問題ですね。役者も観客もどうにも乗り切れない脚本で、俳優たちの奮闘が報われず気の毒でした。


次は「グランドホテル」。

こちらは定評のある脚本+豪華キャストなので、観応えたっぷり。

ナチスが台頭する前夜の1928年のドイツ・ベルリン。
その不安な時代背景のもとで、超一流ホテル「グランドホテル」で複雑に交錯する人々の姿を描いた、濃厚な舞台でした。音楽も、斬新で重厚な舞台装置も素晴らしく、やはり名作いわれるだけありました。


私たちが観たのはグリーンチームで、エリザベータは安寿ミラです。
久しぶりに見た彼女ですが、よかったです。人気下降中の大女優の悲哀(役の話です、念のため(殴))がよく表現されていました。


ラファエラは春野寿美礼の代打で樹里咲穂でしたが、当然とはいえこれまたいい演技。久し振りに彼女の舞台を観ることができてよかったです。土居裕子版も観たかったですが。

元会計士オットー・クリンゲラインは「CHESS THE MUSICAL」以来の中川晃教でしたが、余命いくばくもないユダヤ人の元会計士を好演していました。「CHESS~」よりもこちらの方が私たちにとっては印象的な演技でよかったです。

成河バージョンだと少しキャラクタなども変わっているそうでどうなるか、これも観てみたかったです。

湖月わたるはエリザの死みたいな役のダンサーでした。寡黙なダンサーですが、複雑で凝った振付のダンスを完ぺきにこなしていました。


脚本は話の組み立て方が本当によくできていますね。
それぞれの人物像と人生が巧みに絡み合いながら描かれていて、場面転換も小気味よく、とくに話の締めくくり方が絶妙。

私はこれまで観たことがなく、初めての話でしたが、こういう展開だと最後はこうなるだろうなと、タカをくくって予測していたら、全く違う結末でビックリ&感心しました。

その結末ですが、2チームで全く異なるものになっているそうで、私たちが観たグリーンチーム版では、最後にホテルの従業員が客の身ぐるみ剥いで荷物を奪い、ヒットラーの演説が流れてそれに心酔する従業員たち‥というものでした。

この結末、現代世界を覆う狭隘なナショナリズムの台頭とか、日本で漂い始めた憲法改悪などの暗い影にも警鐘を鳴らしているようで、
演出家トム・サザーランドの危機感の表れが反映した味わい深いものでした。

余談ですがこの日、月組の主要なメンバーも観劇していて、たまたま私たちの席の近くでも一人の月組メンバーが観劇していました。開演前、その席に美弥るりかが月組生とともに通りかかりましたが、まあ彼女の細いこと。よくあれで長い公演の舞台が務められるなあと感心しました。

次は5月26日のミーマイの感想です。極めて簡単です。m(__)m


初演以来何度も観てきたのでかなり食傷気味で、どうせ陳腐なストーリーだし(殴)と、あまり期待せずに出かけましたが、実際に観たら、やはりよ~くできた話といい歌でしたね。話の展開も面白いし、大体、覚えていたはずの話が結構忘れていて意外に新鮮でした。(殴)

明日海りおのビルは、誰かの二番煎じみたいな印象はなくオリジナリティがあって、歌もいいし、ハマリ役でした。ただ最近とみに痩せてきているのが気になります。
街灯の下で歌う場面が、結構後の方だったのも意外。本当に覚えているつもりが忘れてしまっていたということを痛感。歳です。(笑)
花乃まりあも下町の娘らしい容貌で頑張っていました。キャラクタがよく合っていますね。スカステの練習風景でも涙を流して力演していたのには感心しました。
ただ、歌の場面なると少々物足りない感じも。
いつもの、ついホロリとなるはずの場面の歌がそうならず、「結構歌の場面が多いな」とか冷めて観てしまいました。いえ、あくまで私の個人的な感想です、ハイ。

私たちが観たのはBパターン。なのでマリア夫人は仙名彩世でした。ちょっと若い感じのマリア夫人ですが、頑張っていました。この役の出来不出来が劇全体の仕上がりにも影響したりしますが、今回はよく頑張っていて、ヨメさんは「よくやってる」と褒めていました。

逆にジョン卿は瀬戸かずやで老けた印象で落ち着いた人物なのでちょっとマリア夫人とは釣り合いにくいかな。パーチェスターは柚香光。彼女も頑張って笑わせていましたが、ここは歌も含めて鳳真由のほうが適役だったかも。

話が変わりますが、この公演で鳳真由が退団するのは本当に残念ですね。「ファントム」の新人公演の衝撃が忘れられないです。俗世間に出てからの活躍に期待したいです。

そして6月4日は本名の『8月の家族たち』。

いい舞台でした! あまりの感動で、最後は迷わずスタンディング!(なぜか私たちだけでしたが(笑))
鄭義信三部作もよかったですか、この作品もそれに負けず劣らずの傑作。

以下、感想です。
最初のうちはちょっとテンポが遅いかなと思って観ていましたが、麻実れいの母・バイオレットが登場したぐらいから俄然引き込まれていきました。
この芝居、まずなんといってもキャストが豪華です。私はこれだけで観劇決定しました。(殴)
主な顔ぶれだけでも麻実れい音月桂秋山菜津子常盤貴子生瀬勝久村井國夫木場勝己橋本さとしと錚々たるメンバー。


セットは「1789-バスティーユ~」の松井るみ。これまでの彼女の作品とはガラッと違った、アメリカの田舎の大きな家がカットモデルのようになった手の込んだセットでした。

ベースになったのは同名の映画で、こちらは母役にメリル・ストリープ、長女役にジュリア・ロバーツ、次女役にジュリアン・ニコルソン、三女役にジュリエット・ルイス、そしてユアン・マクレガー、ベネディクト・カンバーバッチなどこちらも芸達者ぞろいのキャスト。

今回の舞台の原作はトレイシー・レッツ。上演台本と演出はケラリーノサンドロヴィッチ(KERA)です。この人の脚本になる舞台作品を最初に観たのは『祈りと怪物~』でした。三姉妹ものがお好きです。

粗筋です。
物語の舞台は8月の酷暑のオクラホマ州オーセージの片田舎の古い大きな家。
詩人でアルコール中毒の父ベバリー(村井國夫)が突如失踪。その知らせを聞いて、実家に長女バーバラ(秋山菜津子)とその夫ビル(生瀬勝久)と娘のジーン(小野花梨)、次女アイビー(常盤貴子)が帰ってくる。

やがて三女のカレン(音月桂)が婚約者スティーブ(橋本さとし)を連れてやってくる。そして5年ぶりに母方の叔母マティ・フェイ(犬山イヌコ)と夫のチャーリー(木場勝己)も戻り、遅れて彼らの息子リトル・チャールズ(中村靖日)も到着。

そして久しぶりに集まった家族が目の当たりにしたのは、夫の失踪と薬物の過剰摂取で半錯乱状態となった母バイオレット(麻実れい)の姿。

最初は書斎?でのベバリーと家政婦ジョナ(羽鳥名美子)との場面から始まります。落ち着いた会話から始まるので、その後の衝撃的な展開は全く予想できず。(映画は見ていなかったので)
もともとこの作品は、2007年にシカゴの小さな地下劇場でスタートし、すぐに注目を浴びて、その年にはブロードウェイに進出。2013年に映画化されたトレイシー・レッツの幼少期の実体験を元にした、三姉妹とその家族たちの物語です。

まあなんといってもすごかったのは、薬物中毒の毒舌の母親バイオレット役を怪演した麻実れい。芸のダイナミックレンジの広さを改めて感じさせる演技に脱帽です。
劇中で、三姉妹とその家族の偽善をズケズケと暴く麻実れいの演技はド迫力でした。

母とは絶えず言い争う長女バーバラ役の秋山菜津子もいい演技。
私たちも以前のこまつ座の『キネマの天地』や『藪原検校』でお馴染みの役者さんですが、最近の『きらめく星座』での気丈な後妻ふじ役が印象に残っています。今回もいろいろ悩みの多い複雑な役を気丈に、かつ適度な生活感を見せながら(殴)演じていました。
いつみてもいい役者さんです。
常盤貴子の次女アイビーはバーバラと違って物静かで両親想い。長女や三女とは対照的な役柄です。初めて見る舞台でしたが、しっとりとした演技で好感度大。

音月桂の三女カレンは姉たちと違って絵に描いたようなアメリカンギャル。スラリとした肢体で弾けまくっていました。(笑) そんな彼女を見ていると、つくづく、宝塚の男役というのは在団中ずっと男を演じていたんだなと思いましたね。(笑)

母と三姉妹以外でも、叔母マティ・フェイの犬山イヌコ、家政婦ジョナ役の羽鳥名美子、バーバラの娘ジーン役の小野花梨がそれぞれの役に徹したいい演技でした。男優陣も生瀬勝久橋本さとし中村靖日村井國夫木場勝己などいずれも実力派揃いで、贅沢な舞台でした。
一見よくあるホームドラマのような始まり方でしたが、話が進むにつれて家族というものの本質というか、深層心理を抉り出すようなリアルな展開になっていき、そして最後は衝撃の事実が‥。

本当に見ごたえのある舞台でした。再演の機会があればぜひ皆さんもご覧ください。おすすめです。

ということで、次は鄭義信三部作の最後「パーマ屋スミレ」と月組の「信長」の感想ですが、まだ書けてない。^_^;
早く書かなくては‥。
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