ミュージカル「パッション」を観てきました。
何ともすごい作品でした。
まず台本が素晴らしい。使われている楽曲がどれも素晴らしい。その上に、出演者全員の歌と演技が完ぺきで、さらに、その出演者の力を存分に引き出した演出家の腕の冴えに脱帽です。当然フィナーレは大感動。何の躊躇もなく即座にスタンディングしたのは久しぶりでした。(笑)
ということで、今回の「パッション」は、今年の演劇大賞ミュージカル部門金賞の最有力候補です。何の大賞かって?言わずと知れた「思いつくまま演劇大賞」!(殴)
今回の観劇はF列上手側の席でした。いつもは悪くてもB列。
ところが今回の公演は、先行予約の日に劇場のWebにログインしたら、いきなり残席表示がE列始まり。もうガックリでしたが、その席さえあっという間になくなって、なんとかゲットできたのはF列。まあそれだけ人気が高い=いい作品と自分を納得させていました。ところが、当日劇場に行ってみたら、あろうことかF列は前から二列目!
そうです。生演奏!のオケボックスで前四列がつぶされていたのです。(笑)
ということで一気に上機嫌モード(殴)で開演を待ちました。その間に公演プログラムもゲット。持ちやすい大きさで値段も800円とリーズナブル。
今回観ようとヨメさんと決めたのは、井上芳雄と和音美桜が出るからです。これだけで観る価値大有りということで、楽しみにしていました。
ということで感想です。いつものとおり敬称略。(画像は当日購入のプログラムから)
幕が上がると、舞台上にベッド(今回はベッドが鍵になっていますね)が置かれていて、二人の男女が同衾しています。やがて女の方が上半身を起こし、裸の背中を客席に見せます。この衝撃シーンには本当に驚きました。その後女はするりとベッドから出て、ガウンを羽織って‥となりますが、けっこうハラハラしましたね。(笑) この冒頭シーンがまず大ドッキリ。
女はクララ(和音美桜)で、男はジョルジオ(井上芳雄)。二人は目下熱愛中ですが、騎兵隊所属のジョルジオ大尉は、勤務地が変わったことをクララに告げます。突然の異動話に驚くクララに、「毎日手紙を書くから」とジョルジオはなだめます。
この展開から始まって、以後二人の愛情の強さを示す歌の場面が何度も挿入されて、すっかり私たち観客は二人の関係に感情移入してしまいますが、実はこれが台本の罠。(笑)
二幕目からは、そうした二人の関係に対する私たち観客の印象は大きく変わっていきます。
冒頭のミラノから辺鄙な田舎の駐屯地に赴いたジョルジオですが、そこで上官リッチ大佐(福井貴一)から彼の従妹フォスカ(シルビア・グラブ)に引き合わされます。フォスカは心身ともに病んでいますが、新任のジョルジオに一目惚れして一方的に思いを募らせ、ストーカーのように追いかけ始めます。
しかしクララとの愛に夢中のジョルジオはフォスカが疎ましく、冷たくあしらって相手にしません。しかしそんなジョルジオも次第に‥‥。
という話ですが、まず先のドッキリシーンで宝塚時代の印象を一変させられた和音美桜ですが、歌の方は正当進化で(笑)、「レディ・ベス」のアン・ブーリンからさらに磨きがかかった素晴らしい歌を聞かせてくれました。
曲自体も美しく、彼女が歌い始めてすぐに「これぞミュージカル!」というワクワク感が一気にこみ上げてきました。それに応える井上芳雄の歌も見事で、まさに相思相愛を絵に描いたような場面でした。
という具合に一幕目はクララがヒロインですが、二幕目になるとジョルジオとフォスカの会話シーンが増えてきて、それにつれて次第にフォスカの身の上も分かってきます。逆にクララは実は人妻で、二人は不倫関係にあることも分かってきます。
それで私たちも、初めはジョルジオのフォスカに対する冷たい態度に全く同感だったのが、ジョルジオの気持ちの変化とともににだんだん変わってきて、彼女がかわいそうになってきて、最後に二人が結ばれて、その二日後にフォスカがこの世を去る場面では客席のあちこちでハンカチで眼を拭う姿が見られ、私もついホロリとな。
まあよくできた台本でした。
二幕の芝居でヒロインが入れ替わる展開の妙と、それを巧みに演出した宮田慶子(私は新神戸オリエンタル劇場の「サラ」以来でした)の力量がさすがでした。
ということで、各出演者別の感想です。
まず主人公のジョルジオ大尉の井上芳雄。
いつもこの人の演技を観て思うのは「さわやかさ」です。『モーツァルト!』の感想でも書きましたが、やはり彼の持ち味はさわやかさですね。『組曲虐殺』や『イーハトーボの劇列車』でも、役柄は全く異なりますが、共通していたのはその印象でした。
とくに後者の宮沢賢治はさわやかな学生服&東北弁が印象的でしたが、今回もスッキリさわやかジョルジオでした。彼の台詞はその一つ一つに自然な説得力があって、私たちもつい感情移入してしまって、彼の心情をフィルターにしてヒロイン二人を見るという展開になりました。
そしてなんといっても魅力的なのは伸びのある歌。絶品でした。ソンドハイムの名曲とがっぷり組んで、見聞きごたえ十分。今後の観劇が楽しみです。
次はクララの和音美桜。
兵庫芸文センター初登場ということですが、私たちにとっては『レディ・ベス』のアン・ブーリン以来の舞台でした。
やはり歌唱力は大したもので、繊細な表現力は素晴らしい。今回は歌もたっぷりで久しぶりに堪能しました。
彼女が宝塚を退団したときは非常に残念でしたが、退団後の活躍を見たら、今となっては早く辞めてよかったのかなとも思えてきたり。
でも今回、純情な女性役と思っていたら、実は純愛ではなく人妻の火遊び。ジョルジオを手玉に取りながら自分の生活は死守するという(笑)けっこう打算的な人妻だったので、ちょっと役としては気の毒だったり。(笑)
でも舞台ではジョルジオをうまくたぶらかしていて(殴)、私たちも騙されました。(笑)
そしてフォスカのシルビア・グラブ。
初めてお目にかかる人かなと思っていたら、プログラムによれば、この兵庫芸文センターで私たちも観た「Into tHe Woods」に出ていたということ。でもその時はあまり印象に残らなかったのですが、今回のフォスカは本当に熱演でした。病に侵されて弱り切った猫背の体から振り絞るように話す台詞。
初めは、ストーカーまがいにジョルジオに付きまとうフォスカを観て「なんとか早く手を切らないと」と私たちも焦っていましたが(笑)、やがて過去に結婚していて、相手の男に騙されて持参金も両親の財産もすべて奪われて、それがもとで両親は亡くなり、自身も心身を病んで、唯一の身寄りの従兄に引き取られて居留地にいるという事情がわかってきます。
このあたり、シルビア・グラブのリアルで抑制のきいた演技でうまく展開されていて、芝居としての大きな見どころになっていました。
最後の方でジョルジオが彼女を見舞う場面で、か細い声で「来てくれたのね」というフォスカの言葉が身に沁みました。さらに「あなたには幸せになってほしいと思っていたのよ」という言葉でとどめを刺されました。(泣)
そして二人は愛を確かめ合って、その二日後、彼女はあの世へと旅立ちます。そして主人公は魂を病んで病棟に‥。
でも最後は、主人公がフォスカの思い出とともに生きていくことを示唆する結末となっていました。
この舞台、最初のクララとのベッドシーンと、最後のフォスカのベッドの場面との対比が印象的でした。
ちなみにこのミュージカルのベースは、映画「パッション・ダモーレ」ですが、その映画の原作は19世紀のミラノの雑誌に連載された「フォスカ」という小説だそうです。作者はイタリア人のイジニオ・ウーゴ・タルケッティで、小説のモチーフは作者の実体験とのことですが、実は作者が死亡したため小説は未完で、結末は友人の作家が仕上げたとのことです。
あとは福井貴一のリッチ大佐もよかった。
この人の舞台は『familia~4月25日誕生の日~』以来ですが、フォスカを思いやる気持ちと、でも私情を入れずジョルジオに接する上官としての役柄を懐の深い演技でうまく演じていました。リッチ大佐がジョルジオと決闘して敗れる場面がありますが、わざと負けたのか、ジョルジオが強かったのか、今も結論が出せません。(笑)
今回の舞台では、どの役者さんも歌がうまかったですが、中でも伊藤達人のトラッソ中尉がまさにオペラ歌手な歌を披露して驚かせてくれました。これから歌がみんなこんなオペラふうになるのかと思ったほど。(笑)
その他の出演者もみんな歌ウマぞろいでしたが、中でも「モーツァルト!」のアンサンブルメンバーでもあった獣医バッリ中尉のKENTAROをはじめとする将校+コックの5人組が大活躍。狂言回し兼アンサンブルとして見事な五重唱を聞かせていました。
ということで、舞台はおわりましたが、実は観劇した11月15日がこの公演の大千秋楽でした。
なので、ただでさえ大感激なのに、主演の井上芳雄をはじめヒロイン二人のトークショーみたいな挨拶もあって客席も大盛り上がり。観客全員、スタンディングでその熱演にエールを送りました。対する井上芳雄も、機知にとんだ面白い挨拶で楽しませてくれました。その中で、「大千秋楽ということでいろんな思いがあって、普段歌詞を間違わないので有名な私ですが、今日は三か所も間違いました」と告白して笑わせてくれました。
続いて和音美桜も挨拶し、この公演の稽古開始からの思いを話してくれましたが、いろんな苦労があったのか、話の途中から目からこぼれるものが‥。
そしてシルビア・グラブの挨拶。内気なフォスカと違って、素の彼女はかなりガハハおばさん(殴)みたいでしたが、そんな彼女も話し始めてすぐ「あ、ヤバイ、ヤバイ!」と話を中断。流れる涙を拭っていました。そんな様子を見てさらに観客も大感激。鳴りやまぬ拍手で答えていました。
本当に、久しぶりに心から感動した舞台でした。
何度目かのカーテンコールで例の五人組が登場し、KENTAROが舞台上から客席に謎かけ。
「パッションとかけて」
「パッションとかけて」
「野菜の育たぬ土地と説く」
「その心は?」
「菜園(再演)が必要です」
これには全員大笑い。そして見事な五重唱で締めていました。
本当にいい舞台でした。音楽も贅沢な生演奏で、舞台の完成度を高めていました。
再演されることになったら絶対観たい作品です。
もし機会があれば、ぜひ皆さんもご覧ください。
おすすめです。
何ともすごい作品でした。
まず台本が素晴らしい。使われている楽曲がどれも素晴らしい。その上に、出演者全員の歌と演技が完ぺきで、さらに、その出演者の力を存分に引き出した演出家の腕の冴えに脱帽です。当然フィナーレは大感動。何の躊躇もなく即座にスタンディングしたのは久しぶりでした。(笑)
ということで、今回の「パッション」は、今年の演劇大賞ミュージカル部門金賞の最有力候補です。何の大賞かって?言わずと知れた「思いつくまま演劇大賞」!(殴)
今回の観劇はF列上手側の席でした。いつもは悪くてもB列。
ところが今回の公演は、先行予約の日に劇場のWebにログインしたら、いきなり残席表示がE列始まり。もうガックリでしたが、その席さえあっという間になくなって、なんとかゲットできたのはF列。まあそれだけ人気が高い=いい作品と自分を納得させていました。ところが、当日劇場に行ってみたら、あろうことかF列は前から二列目!
そうです。生演奏!のオケボックスで前四列がつぶされていたのです。(笑)
ということで一気に上機嫌モード(殴)で開演を待ちました。その間に公演プログラムもゲット。持ちやすい大きさで値段も800円とリーズナブル。
今回観ようとヨメさんと決めたのは、井上芳雄と和音美桜が出るからです。これだけで観る価値大有りということで、楽しみにしていました。
ということで感想です。いつものとおり敬称略。(画像は当日購入のプログラムから)
幕が上がると、舞台上にベッド(今回はベッドが鍵になっていますね)が置かれていて、二人の男女が同衾しています。やがて女の方が上半身を起こし、裸の背中を客席に見せます。この衝撃シーンには本当に驚きました。その後女はするりとベッドから出て、ガウンを羽織って‥となりますが、けっこうハラハラしましたね。(笑) この冒頭シーンがまず大ドッキリ。
女はクララ(和音美桜)で、男はジョルジオ(井上芳雄)。二人は目下熱愛中ですが、騎兵隊所属のジョルジオ大尉は、勤務地が変わったことをクララに告げます。突然の異動話に驚くクララに、「毎日手紙を書くから」とジョルジオはなだめます。
この展開から始まって、以後二人の愛情の強さを示す歌の場面が何度も挿入されて、すっかり私たち観客は二人の関係に感情移入してしまいますが、実はこれが台本の罠。(笑)
二幕目からは、そうした二人の関係に対する私たち観客の印象は大きく変わっていきます。
冒頭のミラノから辺鄙な田舎の駐屯地に赴いたジョルジオですが、そこで上官リッチ大佐(福井貴一)から彼の従妹フォスカ(シルビア・グラブ)に引き合わされます。フォスカは心身ともに病んでいますが、新任のジョルジオに一目惚れして一方的に思いを募らせ、ストーカーのように追いかけ始めます。
しかしクララとの愛に夢中のジョルジオはフォスカが疎ましく、冷たくあしらって相手にしません。しかしそんなジョルジオも次第に‥‥。
という話ですが、まず先のドッキリシーンで宝塚時代の印象を一変させられた和音美桜ですが、歌の方は正当進化で(笑)、「レディ・ベス」のアン・ブーリンからさらに磨きがかかった素晴らしい歌を聞かせてくれました。
曲自体も美しく、彼女が歌い始めてすぐに「これぞミュージカル!」というワクワク感が一気にこみ上げてきました。それに応える井上芳雄の歌も見事で、まさに相思相愛を絵に描いたような場面でした。
という具合に一幕目はクララがヒロインですが、二幕目になるとジョルジオとフォスカの会話シーンが増えてきて、それにつれて次第にフォスカの身の上も分かってきます。逆にクララは実は人妻で、二人は不倫関係にあることも分かってきます。
それで私たちも、初めはジョルジオのフォスカに対する冷たい態度に全く同感だったのが、ジョルジオの気持ちの変化とともににだんだん変わってきて、彼女がかわいそうになってきて、最後に二人が結ばれて、その二日後にフォスカがこの世を去る場面では客席のあちこちでハンカチで眼を拭う姿が見られ、私もついホロリとな。
まあよくできた台本でした。
二幕の芝居でヒロインが入れ替わる展開の妙と、それを巧みに演出した宮田慶子(私は新神戸オリエンタル劇場の「サラ」以来でした)の力量がさすがでした。
ということで、各出演者別の感想です。
まず主人公のジョルジオ大尉の井上芳雄。
いつもこの人の演技を観て思うのは「さわやかさ」です。『モーツァルト!』の感想でも書きましたが、やはり彼の持ち味はさわやかさですね。『組曲虐殺』や『イーハトーボの劇列車』でも、役柄は全く異なりますが、共通していたのはその印象でした。
とくに後者の宮沢賢治はさわやかな学生服&東北弁が印象的でしたが、今回もスッキリさわやかジョルジオでした。彼の台詞はその一つ一つに自然な説得力があって、私たちもつい感情移入してしまって、彼の心情をフィルターにしてヒロイン二人を見るという展開になりました。
そしてなんといっても魅力的なのは伸びのある歌。絶品でした。ソンドハイムの名曲とがっぷり組んで、見聞きごたえ十分。今後の観劇が楽しみです。
次はクララの和音美桜。
兵庫芸文センター初登場ということですが、私たちにとっては『レディ・ベス』のアン・ブーリン以来の舞台でした。
やはり歌唱力は大したもので、繊細な表現力は素晴らしい。今回は歌もたっぷりで久しぶりに堪能しました。
彼女が宝塚を退団したときは非常に残念でしたが、退団後の活躍を見たら、今となっては早く辞めてよかったのかなとも思えてきたり。
でも今回、純情な女性役と思っていたら、実は純愛ではなく人妻の火遊び。ジョルジオを手玉に取りながら自分の生活は死守するという(笑)けっこう打算的な人妻だったので、ちょっと役としては気の毒だったり。(笑)
でも舞台ではジョルジオをうまくたぶらかしていて(殴)、私たちも騙されました。(笑)
そしてフォスカのシルビア・グラブ。
初めてお目にかかる人かなと思っていたら、プログラムによれば、この兵庫芸文センターで私たちも観た「Into tHe Woods」に出ていたということ。でもその時はあまり印象に残らなかったのですが、今回のフォスカは本当に熱演でした。病に侵されて弱り切った猫背の体から振り絞るように話す台詞。
初めは、ストーカーまがいにジョルジオに付きまとうフォスカを観て「なんとか早く手を切らないと」と私たちも焦っていましたが(笑)、やがて過去に結婚していて、相手の男に騙されて持参金も両親の財産もすべて奪われて、それがもとで両親は亡くなり、自身も心身を病んで、唯一の身寄りの従兄に引き取られて居留地にいるという事情がわかってきます。
このあたり、シルビア・グラブのリアルで抑制のきいた演技でうまく展開されていて、芝居としての大きな見どころになっていました。
最後の方でジョルジオが彼女を見舞う場面で、か細い声で「来てくれたのね」というフォスカの言葉が身に沁みました。さらに「あなたには幸せになってほしいと思っていたのよ」という言葉でとどめを刺されました。(泣)
そして二人は愛を確かめ合って、その二日後、彼女はあの世へと旅立ちます。そして主人公は魂を病んで病棟に‥。
でも最後は、主人公がフォスカの思い出とともに生きていくことを示唆する結末となっていました。
この舞台、最初のクララとのベッドシーンと、最後のフォスカのベッドの場面との対比が印象的でした。
ちなみにこのミュージカルのベースは、映画「パッション・ダモーレ」ですが、その映画の原作は19世紀のミラノの雑誌に連載された「フォスカ」という小説だそうです。作者はイタリア人のイジニオ・ウーゴ・タルケッティで、小説のモチーフは作者の実体験とのことですが、実は作者が死亡したため小説は未完で、結末は友人の作家が仕上げたとのことです。
あとは福井貴一のリッチ大佐もよかった。
この人の舞台は『familia~4月25日誕生の日~』以来ですが、フォスカを思いやる気持ちと、でも私情を入れずジョルジオに接する上官としての役柄を懐の深い演技でうまく演じていました。リッチ大佐がジョルジオと決闘して敗れる場面がありますが、わざと負けたのか、ジョルジオが強かったのか、今も結論が出せません。(笑)
今回の舞台では、どの役者さんも歌がうまかったですが、中でも伊藤達人のトラッソ中尉がまさにオペラ歌手な歌を披露して驚かせてくれました。これから歌がみんなこんなオペラふうになるのかと思ったほど。(笑)
その他の出演者もみんな歌ウマぞろいでしたが、中でも「モーツァルト!」のアンサンブルメンバーでもあった獣医バッリ中尉のKENTAROをはじめとする将校+コックの5人組が大活躍。狂言回し兼アンサンブルとして見事な五重唱を聞かせていました。
ということで、舞台はおわりましたが、実は観劇した11月15日がこの公演の大千秋楽でした。
なので、ただでさえ大感激なのに、主演の井上芳雄をはじめヒロイン二人のトークショーみたいな挨拶もあって客席も大盛り上がり。観客全員、スタンディングでその熱演にエールを送りました。対する井上芳雄も、機知にとんだ面白い挨拶で楽しませてくれました。その中で、「大千秋楽ということでいろんな思いがあって、普段歌詞を間違わないので有名な私ですが、今日は三か所も間違いました」と告白して笑わせてくれました。
続いて和音美桜も挨拶し、この公演の稽古開始からの思いを話してくれましたが、いろんな苦労があったのか、話の途中から目からこぼれるものが‥。
そしてシルビア・グラブの挨拶。内気なフォスカと違って、素の彼女はかなりガハハおばさん(殴)みたいでしたが、そんな彼女も話し始めてすぐ「あ、ヤバイ、ヤバイ!」と話を中断。流れる涙を拭っていました。そんな様子を見てさらに観客も大感激。鳴りやまぬ拍手で答えていました。
本当に、久しぶりに心から感動した舞台でした。
何度目かのカーテンコールで例の五人組が登場し、KENTAROが舞台上から客席に謎かけ。
「パッションとかけて」
「パッションとかけて」
「野菜の育たぬ土地と説く」
「その心は?」
「菜園(再演)が必要です」
これには全員大笑い。そして見事な五重唱で締めていました。
本当にいい舞台でした。音楽も贅沢な生演奏で、舞台の完成度を高めていました。
再演されることになったら絶対観たい作品です。
もし機会があれば、ぜひ皆さんもご覧ください。
おすすめです。