思いつくままに書いています

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宝塚宙組公演 『王家に捧ぐ歌』 観てきました

2015年07月13日 | 宝塚
6月25日に、宙組公演『王家に捧ぐ歌』を観てきました。更新遅いです。(殴)

ちなみに最近の宝塚観劇はいつも木曜日。ヨメさんのデイケアサービス行きの予定がないのと、平日のほうがチケットがとりやすいというのがその理由。で、今回は先行予約をがんばったので、端ですが上手側7列。観やすかったです。
開演前に客席がざわつきだしたので見たら、花組トップコンビの観劇でした。^^;

さて、感想です。例によって敬称略。(画像はいずれもスカステ番組のキャブチュアと、プログラムからです)

さて今回の観劇、チケットをゲットした時からかなり複雑な気持ちでした。

なにせ『王家に捧ぐ歌』です。私のようにヅカファンとは程遠い人間でも、3回も観てしまったという名作。そのうち1回は、急な仕事で行けなくなったヨメさんに代わって一人で東京まで観に行ったりしたほど。

で、一番気がかりだったのは、ラダメス
武闘派ラダメスには体育会系(笑)の湖月わたるがぴったりでした。なので、見るからに繊細な(笑)朝夏まなとに出来るのか?が最大の不安要因でした。「翼ある人々」で、酒場でチンピラにからまれてボコボコにされる弱いブラームスが脳裏から離れないし。(笑)
でも、朝夏まなとのほうが断然有利な点もあります。それは歌!歌さえあれば大丈夫とも思えたり。
あとはアイーダで、男役の安蘭けいだからこそ、野性味と強さが出たと思うので、娘役の実咲凜音では無理かなと。
ただこれは、スカステで見た限りですが、彼女はかなり男勝り鼻っ柱が強そうなので大丈夫かなとも思えたり。(殴)


ただ伶美うららのアムネリスはOKでした。(笑)
王女にぴったりできれいだし、歌も檀れいに引けを取らない?し。(殴)


ところで今回の再演は、歌劇団サイトでも相当意識していましたね。盛り上げに頑張っていました。
公演発表です↓


さらに前夜祭を開いたり、







キムシン自ら、集合日に生徒を前に発破をかけているのもビックリです。

今回は星組公演の再演ですが、初演のほうがいいねと言われたらみなさんどうですか?悔しいと思いませんか?
まあなんとも露骨なプレッシャー。(笑)

朝夏まなと自身、研2のときに初演を観ていたので、再演の話があった時は
湖月さんのイメージが強かったし、すごく骨太で男らしい役で自信がなかった。でも練習しているうちに自分の中にラダメスが入ってきて、やれるかなと思えるようになってきた」と同番組で話していました。まあ大変なプレッシャーだったと思いますね。

ということで、期待と不安相半ばでの観劇でした。

そして当日、幕が上がっても、初めのうちは「ここは汐美真帆のほうがよかったな」とかちょっと突き放して、初演と比較しながら観ていました。
でもそれもわずかな間。話が進むにつれ、いつのまにか舞台に引き込まれていって、終わってみたら、初演に劣らないというか、星バージョンとはまた違った見ごたえのある舞台に大満足。
とくに二人で地下牢に幽閉されていくところでは、ついホロリとな。(笑)
これ、初演では一度もなかった経験でした。チケットがあればまた見たいと思ったくらい。

今回の「王家‥」の成功は、なにより朝夏まなとの演技と歌唱力に負うところが大ですね。初演での最大の弱点が湖月の歌だと今も思っていますが、今回は完璧。なので、感情移入がしやすかった(笑)。初演時はせっかくのいい場面でも、わたるが歌いだすとつい正気に返ってしまったり。(殴)
そしてアイーダの実咲凜音も、初演に勝るとも劣らない歌だったので、二人の歌う場面は見応え聴きごたえ十分。やはり歌劇は歌が命。(笑)

それと、初演で残念だった凱旋パレードのグルグル回るショボイ振り付け(マイヤ・プリセツカヤの起用が疑問でした)がガラッと変わって俄然よくなっていたこと。ちなみに今回の振り付け担当スタッフに、当時星組で80期生(霧矢大夢とか彩吹真央が同期ですね)として出演していた百花沙里羽山紀代美の推薦で加わっています。

その百花沙里はステージドアで、
「まーちゃんは88期生で、初舞台生だった彼女のロケットでは私がお姉さんでしたが、その初舞台生だった彼女が今大きな羽を背負ってと、なにか縁みたいなものも感じて胸が熱くなりました」と語っています。ちょっといい話です。

面白いのは、今回パレードの隊列を増やすために、初演時は8人で担いでいた神輿を大幅に軽量化して、4人仕様に変更したこと。



軽量化しても強度は十分とのことです。
剣も朝夏まなとに合わせて新造するなど小道具さんも頑張っています。また大道具も今回舞台セットをすべて新造していることなど、コストがかかっています。


でもなんといってもこの作品、全編に使われている音楽が寄与している点が大ですね。どれもいい曲で、それとキムシンの繰り返し多用の歌詞とあいまって、一度聴いたら忘れない。(笑)
今回の再演で改めて作編曲担当の甲斐正人の素晴らしさに感心しました。やはりミュージカルは使われている楽曲の出来がよくないとだめです。
その甲斐正人が朝夏まなとについて、

朝夏さんはどちらかというと踊りが上手な方だったと思うんですけど、今回は歌の力が抜群になったと思うんですよ。線も太くなりましたし、素晴らしい男役トップ誕生だと思います」と語っています。

フィナーレもまたよかったですね。
この振り付けは羽山紀代美。フィナーレはふたりが地下牢から蘇るというテーマで始めるようにしたとか。ボレロから次第に明るい曲に変わって宙組らしさを出すようにしたとも言っています。
初演のフィナーレは覚えていませんが(殴)、随所に見ごたえのある場面があって、おトク感満載でした。同じタカラヅカでも「風と共に‥」などと比べたら満足感は大違い。
観終えてもう満腹という感じで(笑)、この日も多くの修学旅行生が観劇していましたが、いい公演に出会えて彼らはラッキーでしたね。

ということで、以下、配役ごとに感想です。

まず朝夏まなと







よかったです!! わたるの武闘派ラダメスに対して、こちらは理知的な文人派ラダメスで、国と愛の板挟みで懊悩する姿がよく演じられていました。でも雄叫びの場面では、わたるに負けないド迫力でした。(笑) ほんとうに頑張っています。

上記の番組で朝夏まなとは、
ラダメスはすごく骨太で男らしい役で私にできるかなと思ったが、練習を重ねるうちにラダメスが入ってきて、やれそうだと思えてきた」「星組の初演と同じものを目指してもできないので、私たち宙組の個性だったり雰囲気だったりで独自のものを作り上げたい」と言っています。
繰り返しになりますが、大ヒットの初演を受けて大変なプレッシャーな中での再演だったと思いますが、また別の魅力を持った舞台を作り上げていました。だからどの場面でも二番煎じな印象は全くなし。ラダメスがまったく異なるキャラクタなのが逆によかったのでしょうね。
キムシンは、朝夏まなとのラダメスについて
役柄のとらえ方が真っ直ぐなんですね。ラダメスという役をあーだこーだと触るのではなくて、ラダメスという役をドンと捉えて真っ直ぐに演じてくれているんですよ」と激賞。本当にそう思いました。


また朝夏まなとは脚本の弱点についてもよく考えていて、
二人の出会いの場面がないので、お互いの気持ちを表現できないと最後の場面が軽くなるので、実咲凜音と相談しながら二人の関係がわかるようにやっている」と言っています。
その成果で、最後は感動の結末となって、観ている私もついウルっとなり、あわてて周りを見渡すと、あちこちで目頭を押さえる女性客の姿が。(笑)


フィナーレでも、脱水機並みの高速回転のリフトを披露してくれました。(笑) 頑張りすぎが心配になるほど。

今回のフィナーレ、この二人のデュエットもなかなかの見所。


次は実咲凜音です。


ようやく男トップと文字通り相思相愛な役がまわってきましたね。(笑)

前トップとの間に漂っていた微妙~な雰囲気がなくなって、対談番組でも安心して見られます。(殴)
で、今回のアイーダ、歌はもちろん演技でもよくやってました。初演と比べてもまったく遜色なし。でも逆に、男役の安蘭けいがアイーダの高い音程の歌をよく歌っていたものだと改めて感心しましたが。

実咲凜音は結構自信もあったようで、「安蘭さんのアイーダは男役なので強いイメージだが、私は娘役として女役を演じるけれど自分自身強いイメージがあるので、頑張ってやっていきたい」と言っています。








負けん気の強そうな彼女のキャラクタをよく生かした演出で、アイーダは適役でした。伸びのある声が耳に残ります。

で、アムネリスの伶美うらら
今の宝塚でこれ以上の適役はないと思って楽しみでしたが、ちょっとガッカリなところも。
もちろん気品のある容姿はぴったり。檀れいとはまた別の美しい王女です。

でも強く演じようとしすぎたのか、あるいはそれが演出家の意図なのか、キンキンした感じが前に出てきて、ちょっと期待外れ。嫉妬に狂う高慢な王女という感じが強すぎて残念でした。かなりコワい顔です。(殴)


初演の檀れいは容姿も立居振る舞いも気品にあふれたアムネリスで、ラダメスをひそかに慕う女心もよく表現していて、観劇しながらちょっとアムネリスがかわいそうと思ったりしましたが、今回はそんな同情が入る余地がなかったですね。そして歌も、同じく歌が不得手だった檀れいの頑張りには届かなかった感じです。
「翼‥」で一気に贔屓モードだった私たちはちょっと残念でした。

ウバルドの真風涼帆は、初演の汐美真帆を髣髴とさせる演技で、ピッタリ。

冒頭の亡霊?のシーンはちょっと違うかなと思ったものの、進行につれてしっくり違和感がなくなりました。
ダンスと歌は文句なしでした。宙組に来てさっそくの大作で、しかも途中からの稽古参加でしたが、よくこなしていて感心しました。

ただこの人、根が善い人のようで、ウバルドにはちょっと黒さが足りない感じなので、エリザのルッキーニみたいな狂気が入ったほうがいいかなと思ったり。

出番の少ない役ですが、今回なにかと目についたのがラダメスの戦友ケペルの愛月ひかる

初演では立樹遥が好演していましたが、今回のケペルも誠実そうな人柄の同僚役を、さわやかに演じていました。同じような大柄で頼もしそうです。応援したいです。そういえば「翼ある人びと」のリストもよかったですね。

専科のベテラン一樹千尋のアモナスロと、






箙かおるのファラオ。いずれもますますの円熟味でよかったです。


一樹千尋は初演でも老獪で狂気を装いながら陰謀をめぐらして、同時に娘思いの囚われの王を絶品の演技力で演じていましたが、今回もより味わい深いアモナスロを見せてくれました。まさに余人をもって代えがたいとはこのことですね。

箙かおるも初演以上に頑張っていました。今回は初演と違い、オリジナルの高い音階の楽譜に挑戦するなど、今なお新しいことに挑戦しようとする姿勢には頭が下がります。最近あまり姿を見ないので、もう枯れてしまったのでは(殴)と心配してましたが、初演以上の頑張りが見られて本当によかったです。

役が少ないので気の毒だったのが純矢ちとせ。アイーダをいびる場面ではパシっとひっぱたいていました。(笑)

でもパレードではエトワールだったので納得&満足。

あともうひとり歌ウマが印象的だったのが美風舞良。エチオピアを想う歌の場面で思わずヨメさんに「あれだれ?」と小声で聞いたほど。これまで知らなかったのが恥ずかしい歌でした。エチオピアの歌、初演で聞いてからずっと心に残っていましたが、本当にいい曲ですね。

あ、あと一人(殴)、組長さんもよかったです。嫌なネセルがぴったりでした。いえ、褒めてます。(笑)


というわけで、空前の大ヒット作品の再演ということで、期待と不安の入り混じった観劇でしたが、観て本当に良かったですね。トップコンビ以下の宙組メンバーと、専科のベテラン勢の力で、作品に新たな魅力が加わって、初演とは違ったいい舞台になっていました。
チケットさえあれば絶対リピートしたのにと、残念でした。

初演をご覧になった方も、初めての観劇の方も文句なしに楽しめるいい作品です。お勧めです。

↓オマケです。





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兵庫芸文センターでこまつ座 『戯作者銘々伝』を観てきました

2015年07月06日 | 観劇メモ
まず劇場までのメモです。
往路は道路も大して混まず、いつもどおり約一時間で劇場に到着。ホールに行くと男性客が多かったです。
劇場入り口の花は西岡馬さんへの一つだけでした。

今回の公演の脚本はこまつ座公演といっても、井上ひさしの脚本ではありません。ひさし没後の新しい作品として、「劇団桟敷童子」の東憲司が、井上ひさしの短編集『戯作者銘々伝』と、中編小説『京伝店の烟草入れ』をもとに書き下ろしたものです。しかし今回観劇して、いくら原作があって、それをもとに戯曲化したといっても、出来上がった作品が井上ひさしワールドになるかというと、これがなかなか難しいですね。


そう思ったのは一幕目。
舞台には江戸時代の戯作本「黄表紙」の代表作の大きな表紙絵が並んでいます。全員三角頭巾を付けた亡霊たちが出てきて、井上ひさしワールド全開かと期待したのですが、




続いて戯作本ごとに、各作者とその内容を紹介するあたりから猛烈に眠くなってきました。
井上ひさしの脚本と違ってとにかくテンポが遅くて平板。
それでも初めは興味津々で観ていましたが、話が細切れで、セリフが説明的なのがつらいところで、だんだん集中力が持たなくなって、普段から睡眠不足気味な私は、ついコックリとな。(殴)
そのたびに、何事もなかったように姿勢を正しますが、しばらくするとまた頭がカクッ。^^;この調子で最後まで行くのかと心配になりました。

横で観ていたヨメさんはどんな退屈な舞台でも絶対寝ない感心な人ですが、さすがに今回は限界を超えていたようで、幕間に彼女が書いていたアンケートをチラ見すると、感想欄に「脚本がダメ」とキツイお言葉。(笑) 安心しました。(笑)

ところが、これが二幕目になると、打って変わっていい出来になっていてびっくり。眠気は吹っ飛んで、集中できました。

話は、中編小説『京伝店の烟草入れ』をもとに、幕府の弾圧でたばこ屋に転じた京伝(北村有起哉)と、前人未踏の3尺の大玉を打ち上げることに必死になっている花火師幸吉(玉置玲央)の物語です。
京伝がたばこ屋になるいきさつ、同業の戯作者との交わり、花火師との出会いと三尺玉の打ち上げに至る経過、そして最後にご禁制を破って打ち上げに至るクライマックスまで、前半とは全く異なる緊張感のある展開でぐいぐい引き込まれていきました。
素人の思い付きですが、この脚本は、二幕の『京伝店の烟草入れ』をもとに、一幕の話の要素などを適当に織り込んでまとめたほうがいいと思いました。そのほうが主題がはっきりするし、それに絡めて各戯作者を取り上げるというほうが、芯がしっかりしていいのではと思いました。

というところで出演者別の感想です。いつものとおり敬称略。画像は当日購入したプログラム掲載の練習風景から。
まず出演者の集合写真です。みんな亡霊です。おまけに手鎖の刑を受けていたりします。


主演は山東京伝の北村有起哉

この人の舞台を初めて見たのは「黙阿弥オペラ」です。彼の演じる素浪人・及川孝之進のすっとぼけぶりが面白くて、一度で名前を覚えました。
今回の役も、幕府の圧力で筆を折らざるを得なくなって、いろいろそれに対して思うところもありながらチャッカリたばこ屋でももうけ、でも同じくご禁制の三尺玉の打ち上げには加担するという、なかなか複雑で屈折した人物像をうまく表現していました。はっきりとポリシーを持って抵抗するのではなく、それに順応しているように見えながら、しかし心の奥には熱いものも持ち続けている京伝に、井上ひさしの温かいまなざしを感じました。

今回の観劇で改めて歌唱力が印象に残ったのが新妻聖子

『それからのブンとフン』の小悪魔役でその歌と演技にびっくりし、『炎立つ』でもそれを再認識したつもりでしたが、今回の舞台で改めて心に沁みこんでくるような歌に感動しました。本当に大したものです。ヨメさんも幕間に「うまいねー」と感嘆していました。
『それからのブンとフン』の小悪魔↓

『炎立つ』↓

もちろん歌だけでなく、演技も素晴らしかった!
今回の役は亡霊・百合・お園・板行屋・お菊の五役!でしたが、これがすべてなりきり演技。亡霊と板行屋(瓦版屋ですね)以外は戯作者の妻で、夫の一人は狂死、一人は石を投げられて非業の死、もう一人は自害して、所払いにあう妻役ですが、それぞれくっきりと演じ分けていて見応えがありました。
緩急・強弱・高低にメリハリの利いたセリフと表情が自在に変化するのを、ただただ感心しながら見入っていました。つい、こういう人が宝塚にいたらと妄想してしまったり。(笑) とくに私的に、この人の笑顔にはすごいインパクトを感じました。

他の役者さんでは、まず玉置玲央もよかったです。

4役を演じていましたが、やはり後半の花火職人・幸吉が心に残りました。ひたむきに三尺玉の打ち上げにこだわっていますが、それだけではなく、どこか孤独な陰のある人物をよく体現していました。少ないセリフでもよく伝わってきました。

熱演ぶりに感心したのは山路和弘

今回は6役をこなしていますが、とくによかったのは春町の段の喜三二。新妻聖子のお園との掛け合いで、夫・春町が自害した後、彼女を陰になり日向になり支え続けた喜三二を涙を流して熱演するなど、迫真の演技でびっくりしました。
これまで舞台ではお目にかかっていませんでしたが、いい役者さんですね。

それ以外のキャストでも、版元・蔦屋重三郎役の西岡馬はもちろん、阿南健治相島一之と、芸達者ばかり。


とくに、出番は短かかったものの、阿南健治の徒士役はぴったりのイメージでよかったです。登場しただけで、いかにも!な出で立ちに感心しました。


相島一之の式亭三馬や蜀山人も地味ながら味のある人物像になっていました。


というわけで、前半はつらかった舞台ですが、後半はグッとよくなって最後はまことにこまつ座らしい幕切れ(笑)で大満足。

とくに政府・与党の憲法違反の戦争法案ゴリ押しと、そのための言論弾圧が露骨に前に出てきた今の世相を批判するにふさわしい内容で、満席の客席と出演者が一体となった感動のスタンディングとなりました。
なので結果としてはいい作品ということになりますね。(笑) でも再演時はぜひ前半を見直していただきたいです。

いつものことですが、薄い感想をここまで忍耐強くお読みいただき、どうもありがとうございました。


さて次は宝塚大劇場の観劇感想です。

もう公演も後半になっていますが、なんとか千秋楽までには間に合わせ‥られるかな?(殴)

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兵庫芸文センターで 『海の夫人』を観て

2015年07月02日 | 観劇メモ
6月6日(土)兵庫芸術文化センター・阪急中ホールで「海の夫人」を観てきました。
もちろん、観ようと言い出したのは、長年麻実れいファンを継続しているヨメさん。で、反対する理由もないので(殴)、パソコンで先行予約しました。でもこの先行予約、1月24日の話ですよ。1月!!
いくら先行でも程があると思いますね。昨日のことでも忘れるのに半年近く前!
でも、チケットは財布にやさしい5,000円です。(笑)

この公演は、新国立劇場での「JAPAN MEETS...─現代劇の系譜をひもとく─」シリーズ第十弾として、宮田慶子芸術監督の演出で5月15~31日まで上演されたのち、全国公演として兵庫芸文センターで1日だけ!上演されたものです。
しかし東京だと2週間以上の公演期間なのに、関西ではたった1日1回だけの上演。やはり関西は文化不毛の地なのか、人口を考慮しても、その差については考えてしまいますね。


原作は1888年に出版され、翌年ノルウェーとドイツで同時上演されて大成功をおさめたそうです。有名な「人形の家」につづく、社会的自立を求める女性と、それを阻む当時の世相をテーマとした社会劇です。

舞台装置は、巨大な簀子みたいな反り返ったウッドデッキが据えられただけのシンプルなもの。

あらすじです。

話の舞台は北部ノルウェーのフィヨルドに面した小さな町だそうです。

灯台守の娘だったエリーダ(麻実れい)は、初老の医師ヴァンゲル(村田雄浩)の後妻となり、先妻の二人の娘ボレッテ(太田緑ロランス)とヒルデ(山薫)とともに暮らしています。でもこの二人の娘との関係はギクシャクしていて、とくに妹ヒルデは反感をあらわにして全く馴染んでいません。
そしてエリーダは、ヴァンゲルとの間に設けた息子を生後すぐに亡くしてからは、精神が不安定となり、毎日海で泳いでばかり。そんなエリーダを周辺の人々は「海の夫人」と呼んでいます。
そこに、かつてボレッテの家庭教師をしていた教師アーンホルム(大石継太)や、胸を病んだ画家リングストラン(橋本淳)、便利屋バレステッド(横堀悦夫)といった人物がからんで一幕目の話が展開しますが、ここまではあまり波乱もなく、状況説明みたいなユル~い流れです。

しかし、そこに謎の男(眞島秀和)が登場して一変。二幕目からはサスペンス物みたいな緊張感のある展開となります。ようやく眠気は一掃されました。(殴)
その見知らぬ男はかつてのエリーダの恋人。その男から、この町を出ようと誘われるエリーダ。今の生活に満足できず、ずっと外の生活にあこがれてきたエリーダは動揺しますが......。まあ結末はまた再演もあるでしょうから言わないことにします。

ただ、今回の芝居のテーマはまだ完全に過去のものとは到底言えませんね。たびたび繰り返される政府与党要人の事態錯誤な「女は子供を産んで家で子育てしていればいい」発言や、今国会での派遣法改悪などを見るにつけ、労働者、特に働く女性にとって、この国のありようはイプセンの時代からほとんど進歩していないと痛感します。

ということで、全体の感想はここまで。薄いです。(殴)

以下は役者さんごとの感想です。これまた薄いですが、ご容赦ください。^^; 例のごとく敬称略です。
まず主演の麻実れい

まあピッタリの役。他に誰が演じられるか思いつかないほど。というか、役のほうが麻実れいのキャラクタに乗っ取られているというか。(笑)

いつも気怠そうで、しかも心の奥底では何を考えているのかわからない謎めいた女性です。毎日泳ぎに行くのも人の目を欺く一流の韜晦でしょう。ただし、あの『炎 アンサンディ』で久々に全力投球、圧倒的な演技力を見せてくれた麻実れいなら今回の役は余裕しゃくしゃく、さすがに『ボクの四谷怪談』までとはいいませんが、かなりの省エネ・アイドリングで充分こなしていそうです(殴)。大体、かなり地のままで行けそうなキャラクタだし。
(笑) いえ、手抜きといっているのではありません。^^; それほど「炎‥」が凄かったということです。

対する夫役の町医者ヴァンゲルは村田雄浩

テレビや映画、舞台と幅広い活躍で知られていますが、私は舞台でお目にかかるのは初めてです。初老の温厚な医者役がぴったりでした。この役も感情を表に出す激しい役ではないので、役者さんとしてはよくわかりませんでしたが、これまでの人生にほとんど疑問を抱くことなく生きてきた地元の医者というのはよく表現できていたと思います。この人、今回舞台で見て初めてかなり大柄なことがわかりました。

感心したのは姉妹役のボレッテ=太田緑ロランスとヒルデ=山薫

ボレッテは、内には学問にあこがれ、社会に出て自己実現したい想いを秘めながら、誰にも言えず半ば諦観しながら生きている女性。これを
太田緑ロランスが自然な演技でよく体現していました。しっとりとしたリアルな演技で心に残りました。この人も舞台では初めて見ましたが、いい役者さんです。
妹のヒルデ役の山薫も、継母への反感から、生活のことごとくに反抗する多感な少女をうまく演じていました。クルクルと舞台を駆け回って、嫌な子供全開でした。(笑)

教師アーンホルム(大石継太)や、胸を病んだ画家リングストラン(橋本淳)、便利屋バレステッド(横堀悦夫)、謎の男(眞島秀和)も芸達者ぞろい。


大石継太はブログの記事を見直したら二度目の観劇になっていますが、前出の『ボクの四谷怪談』が誠にアレな作品でして(笑)、ほとんど記憶にありません。(殴)
でも今回のアーンホルムはいい味出ていました。いかにもその辺にいそうな人物です。画家の橋本淳は初めてです。この人もセリフ・演技いずれもまったく自然で達者なもの。
味のある演技といえば、便利屋バレステッド役の横堀悦夫も、出番の少ないのが残念ないい演技でした。そして、後半の要となる謎の男の眞島秀和。ミステリアスな登場から始まって、少ないセリフでも迫力のある人物になっていました。おもに映画やテレビドラマで活躍していますが、舞台でもなかなかの演技です。もっと舞台経験があるかと思っていましたが、去年の「ボクの妻と結婚してください。」以来二作目とか。

というわけでよくできた舞台でしたが、先に紹介したとおりいささか地味な話なので、観終わって余韻に浸るとまではいかなかったですね。帰途の車中でも、ヨメさんもいつもと違ってあまり感想を語らず。(笑)

私の印象としては太田緑ロランスが予想外の(殴)いい演技で心に残りましたが、芝居全体としては佳作といった感じです。

次はまた同じ劇場で観たこまつ座公演の感想です。そしてそのあとは「王家‥」も控えているので、しばらくかなりのプレッシャーな日々が続きます。^^;
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