2012年5月27日午前11時の宝塚星組公演を観てきました。
今回も道は空いていて早や目につきました。
しかし、午前10時前に劇場の前に行くとすごい人ごみ。開場直前の劇場ロビー並みの人・人・人でごった返していました。
初めは団体客が記念写真を撮っているのかと思いましたが、それにしては人が多すぎます。
と思ったら、なんと生徒さんによる募金活動(すみれ募金)が行われていて、それを見るために多くの客が集まっていたのです。
その人ごみを掻き分けて車椅子を進めながら、私たちもわずかながらお布施をして(笑)、写真を撮らせていただきました。募金活動はユニセフへの募金とのことでした。
劇場のホールで、義母と落ち合って劇場へ。立ち見も出る盛況でした。
余談ですが、この日の公演には、月組のトップコンビほか何人かも観劇していました。
↓とっさのことでピンボケですが^^;
↑プログラム表紙です
冒頭、回想シーンから話が始まります。柚希礼音のヒゲ、はじめてです。
個人的には私は回想シーンからのスタートは好きです。
古い映画ではグレゴリー・ペックの「頭上の敵機」。
つわものどもが夢の跡感がたまらない。私のような飛行機ファンでなくてもこの映画の導入部はわかっていただけると思います。
小説ではなんといっても、シュトルムの「みずうみ」。若いとき読んで今も印象に残っています。
なので、今日も期待が高まりました。
始まってしばらく舞台上の会話を聞いていたら、だんだん作者がわかってきました。
独特のテレビドラマ風の会話。これ正塚センセイですね。
この人の演出、自然な会話というのでしょうか、短い言葉のキャッチボールで会話を組み立てていくのが特徴です。でも最初はそれも新鮮でしたが、今となっては少々マンネリで鼻についてきますね。
とくに今回の作品のように、これまでの正塚作品の継ぎはぎみたいな密度の低い話の展開では、無理に時間を引き延ばしているような感じで、つい「結論を言え、結論を」と言いたくなりました。(笑)
次のせりふが予測できるようになったらだめですね。
主人公のイサアクですが、最初は政治には興味がないとかいいながら、植民地の独立運動の活動家アンジェロ(十輝)とその妹モニカ(夢咲)に関わるようになってからだんだん引き込まれて、彼らの運動を手助けする羽目になっていきます。
こういう巻き込まれ話、最近デジャブです。
余談ながら当然この芝居は、ダンスシーンもたくさんありますが、激しい振り付けのダンスを終えてすぐ、柚希が全く息を切らさず普通に台詞をしゃべるのは大したものです。
ストーリーが進むとともに、話の設定など「マリポーサの花」とか「ブエノスアイレスの風」、「ラ・エスペランサ」を思い出してしまいました。正塚センセイ、引き出しが空になってきたのか少々心配になります。がんばって欲しいです。
今回の観劇で私にとって新鮮だったのは「独立運動の活動家アンジェロ」の十輝いりす。
見慣れない顔なので、初めは「あれこんな生徒いたかな?」と思いました。
幕間でヨメさんが褒めていたので聞いて、初めて知った次第です。スカイステージでも報じていたとのことですが、ぜんぜん覚えていません。(笑)
でも役が極めて少ない正塚作品でおいしい役どころをもらって幸運でしたね。キャラクターも合っていたし、目立ちました。
今回正塚センセイには珍しく役を振っているなと思ったのはルイス(真風涼帆)とカロリーナ(綺咲愛里)のカップル。同時進行で群像劇になるかと期待したのですが、やはり途中の話は飛んでしまって、結局最後の最後になって破局というオチでがっかり。
やはりこのセンセイには大劇場の広い空間は苦手なのだなと思いました。
ラストは思いがけないハッピーエンドで安心しましたが(笑)、せっかくの泣かせどころなのに、なんで二人を誘い出す手紙を出したジョゼ(涼)だけが二人の現住所を知っていて、当事者の二人は知らなかったのかとか、最初と最後の老人がナゾとか、細かいところの辻褄あわせに気をとられてしまって効果半減でした。
ちょっとした伏線を張っておくとかでよくなると思いますが、配慮が足らないのですね。
この作品、他にもいろいろ突っ込みどころ満載でした。(笑)
でも、息のあったトップコンビと、今回で退団する涼紫央や白華れみ、秘密警察のホアキン役の紅ゆずるなどの好演に助けられて、まあなんとかギリギリ及第というところでしょうか。
あと印象的なのが秘密警察のホアキンを演じる紅ゆずる。
スカイステージなどでトークしているときの表情は仏様の半眼のようで大丈夫かといいたくなりますが(笑)、舞台ではしっかり目を見開いてがんばっていました。冷たい顔が役に合っていますね。
ショーの方はギンギラ衣装で激しいダンスの連続。すごく激しい振りのダンスの連続です。劇もショーもダンスが多いので、生徒は大変だろうなと思うほどです。
そのショーでも、柚希礼音が得意な歌と迫力のあるダンスで一人気を吐いていました。
この人、今が円熟期だと思いました。
でもショー自体は、ダイナミックな場面の連続で展開が単調に思えてイマイチでした。これが今風なのでしょうが、私たちには前回の雪組のショーのほうがメリハリが効いていて好きでした。
動きの激しい場面の後はしっとりとしたシャンソンとかの場面も見たくなりますが、それがなかったので緊張が続くという感じです。
見ごたえのあるダンスが持ち味のトップコンビが一緒に踊る場面も少なかったのが物足りなく感じました。
退団する二人には、劇と同様いい場面が何度も割り振られていて、ちゃんとサヨナラショーになっていました。
この組の難点はトップ以外歌ウマが少ないことですね。
全体に前組長の移動などで若くなったのはいいのですが、脇を固める大人が手薄な感じです。なので、今後は例えば専科に行ったみっちゃんの助けを借りるとかの補強が必要ですね。
夢咲ねねは、ダンスでもスタイルのよさ、とくに手足の長さが際立っていて見栄えがありました。あともう少しなのが歌ですね。
今回の公演を観劇して、改めて雪組公演「ドンカルロス」と「Shining Rhythm!」のよさがわかりました。木村信司センセイの久しぶりのヒットでしたし、それに応えて雪組メンバーもよくがんばっていました。(なんで入りが悪かったのか不思議でしたが)
今回も星組生は体力勝負でがんばっていましたが、やはり作品の出来を超えることは無理です。
正塚センセイ、まだまだ老け込むには早すぎますよ!
せっかくの座付作者なのですから、これからも過去の名作を上回る新境地の作品、期待しています。