思いつくままに書いています

間口は広くても、極めて浅い趣味の世界です。
御用とお急ぎでない方は、ごゆっくりどうぞ。

ボーイング787は「夢の旅客機」?

2013年04月30日 | 日記


米連邦航空局(FAA)は4月25日、ボーイング787型機に搭載されるリチウムイオンバッテリーについての新たな耐空指針を発表し、同機の運航再開を許可しました。しかし肝心のバッテリー火災の事故原因は未解明のままで、対症療法に過ぎないボーイング社の「改修計画」を丸呑みにして、運航再開を許可する決定を下したのです。

拙速だったFAAの型式証明のための安全審査
今回の事故の背景には、もともとFAAが、相次ぐ開発遅れで航空会社への納入遅延を引き起こして損害賠償請求されていたボーイング社の「事情」に過度に配慮して、ろくに機体の安全審査もせず早々と型式証明(TC=Type Certification)を交付していたことが指摘されています。
このため、今回のバッテリー火災事故については、FAAも汚名返上のため、慎重かつ徹底的に原因究明に取り組むことが期待されていました。したがって運航再開には1年以上かかるとみなされていました。私もそう思っていました。でも甘かったですね。
FAAはまたしても原因究明しないままに、ボーイング社の対症療法だけの「安全対策」を鵜呑みにして、早々と運航再開にOKを出しました。

リチウムイオンバッテリー発火の原因は未解明
787は、充電式の主バッテリーを2基搭載しています。メインバッテリーとAPU用のバッテリーです。同じタイプですが、それぞれ別の目的で使用されています。

APU(補助動力装置:航空機の尾部に搭載されている小型エンジン)はエンジンを起動する発電機を起動する他、地上作業用に電気を供給します。
またこのAPUバッテリーは、飛行中エンジンが停止して主電源が失われた場合の緊急用にも使用され、機体右側主翼の後方下部に設置されています。

メインバッテリーは、地上では主エンジンの起動前に、飛行システムの電源に使用されるほか(プリウスの補機バッテリーと同じですね)、給油などの地上作業用の電源としても使用されます。
エンジン始動後は、各システムの電気はエンジンから供給されるためこのバッテリーは使われません。ただしAPUバッテリーと同様に、飛行中電力が失われるなどの緊急時のバックアップ電源として使用されます。このメインバッテリーは、航空機前方の下部の電気室に設置されています。

しかし飛行中は出番がないとはいえ、2つのエンジンが停止する緊急時はハドソン川への着水事件でもわかるようにそれほどまれな事ではありません。その時バッテリーが破損していたら、飛行システムの電源喪失となり、墜落するしかないわけです。
この点からみると、今回のように原因を解明せず、バッテリーが再度高熱になって破損しても、機体に延焼しないようにするだけではまったく不十分ですね。
高熱が出た病人に、病因は不明ですが、氷枕で熱を下げるので安心ですといっているようなものです。


バッテリー発火事故より怖い炭素繊維強化素材の機体構造
しかし、このバッテリー発火事故も問題ですが、私はボーイング787の機体構造自体がもっと問題があると思っています。

ボーイング社は787を「ドリームライナー・夢の旅客機」と呼んでいます。
実際従来の同クラスの旅客機では不可能な、日本から南アフリカ・ヨハネスブルグまでノンストップで飛べる大航続距離が売り物なので、あながちそれも誇大広告ではないでしょう。
それを実現したのは最初に書いたように、従来の旅客機と違ってエアコンや主翼の防氷装置、発電機などの駆動にジェットエンジンからの高圧空気の抽気をやめてエンジン出力の低下を防止し、高圧空気のダクトや弁なども廃止したので軽量化できたということもあります。
従来の旅客機↓ エンジンの圧縮空気をエアコンや防氷装置、APUや発電機の動力源としている

ボーイング社のホームページより

787はエンジンの起動用モーターを発電機として、電気でエアコンや防氷装置、APUを起動している

ボーイング社のホームページより

しかし最も大きく性能アップに寄与したのは機体構造の軽量化でしょう。
その切り札が、胴体や翼などの構造材料として炭素繊維強化材料(CFRP)を多用したことです。
ほぼ全面的にCFRPを使用しています。↓

ボーイング社のホームページより

機体が軽量になれば燃費は向上しますし,旅客数も増えるでしょう。金属材料と異なり錆びないので、これまでできなかった客室内の加湿も可能となります。飛行機に乗ると肌がカサカサになるといったこともなくなります。
これらの787の「先進性」については、ボーイング社をはじめインターネット上を賑わしている提灯持ちの記事でよくわかります。

誰も言わない炭素繊維強化材料(CFRP)の脆弱さ
しか~し、ボーイング787に採用されたCFRPについては、その利点は挙げられていても、その基本となる炭素繊維自体がもっている本質的な欠陥や、マトリックス(母材)となるエポキシ樹脂の持つ問題点に触れた記事はほとんど見られません。
東レが開発し、機体構造の製造に三菱をはじめ多くのメーカーが参加していることもあって、賛美する報道記事ばかりです。

しかし炭素繊維自体、基本的な脆弱性の問題があります。
以下、この点について、<コチラのブログ>で詳しく取り上げられている内容に従って書いています。もっと正確に知りたい方はぜひ直接ご覧になってください。

さて、そのブログでは、炭素繊維の欠陥として圧縮方向の脆さについてとくに警鐘を鳴らしています。
炭素繊維は引っ張り強度や弾性ではすぐれた性能を示すが、圧縮方向にはきわめてもろく簡単に破断するというのです。
確かに掲載されている電子顕微鏡の写真では、わずかな(1%程度)軸方向への圧縮変形で繊維は破断しています。そして、飛行機には、飛行に伴って絶えず機体構造を変形させる力が働いています。
たとえば駐機中に暖められて膨張した機体は上昇するにつれて冷やされて収縮するし、高度を取るにしたがって機体内の与圧によって内外の気圧差が大きくなって膨張しようとし、着陸時は逆に収縮します。離着陸時の衝撃も細長い機体構造を変形させようとします。
機体を支える主翼は、駐機時は直線に近くても、飛行時は上方に大きくたわみます。とくに787はこの撓み代が大きいと思います。撓みは一方では引っ張り方向に、他方では圧縮方向に主翼を変形させる力が加わります。さらに捻れ方向の力も働きます。
地上では主翼は直線で撓んでいないが↓

ボーイング社のホームページより

空中では大きくたわんでいる↓

ボーイング社のホームページより

このように、787自慢の軽量の炭素繊維を使用した複合素材の機体構造に対して、各種の変形が繰り返されることで構造部材の疲労が進行します。
飛行の度に繰り返されるCFRPの疲労が限界点に達したら、突然機体が大規模に破壊される最悪の結果となる可能性も否定できません。

また、自慢の「一体構造」は軽微な接触事故等でも修繕は難しいと思います。

ボーイング社のホームページより

従来の軽金属のセミモノコック構造だと可能な修理が、1枚パネルの胴体構造では不可能です。簡単な凹みでも炭素繊維材料の座屈とマトリックスとの剥離を起こし、パッチを当てて修理するのは強度維持上極めて難しいと思います。
あとで触れますが、同じ機体構造のオスプレイが簡単な事故で破損して修理不能となり、多数の機体が在地処分になっている事実が報じられています。一体構造のプラスチックのデッキチェアにひびが入ったら元通りに修理するのが困難なのと同じです。
修理不能で廃棄されたオスプレイ↓

[2012 www.G2mil.com]

母材(マトリックス)であるエポキシ樹脂は危険な可燃物
温度・熱・紫外線などに対する耐久性も問題ですが、もっと深刻なのはエポキシ樹脂はよく燃えるということです。
旅客機の主翼は、膨大な燃料を搭載するタンクになっていますが、それが可燃物で出来ているというのは重大な問題です。さらにエポキシ樹脂は燃焼時に猛毒のダイオキシンを発生します。
ということは、離着陸時に横風等を受けて飛行機が姿勢を乱し、主翼端が滑走路に触れたりすると摩擦熱で発火、瞬く間に機体に燃え広がります。
運よく乗客が客室から脱出できたとしても、猛毒ガスの煙で中毒死といった最悪の事態が容易に想定できます。
実際同じボーイング社が作ったB2爆撃機が、グアム島で上記の事態となって機体を全焼してしまった例があります。

[2012 www.G2mil.com]

そして、今沖縄に配備が強行されてしまっているオスプレイも同社製。機体構造も全く同じ炭素繊維強化材料(CFRP)でできています。オスプレイの構造的欠陥を紹介しているココで、その危険性が詳しく指摘されています。

オスプレイはそもそもの設計が極めて危険(同機の翼面荷重とローター翼面荷重を調べるだけで一目瞭然です)なものですが、機体構造が787やB2同様に燃えやすいのも深刻な問題です。
過大な翼面荷重のため、たった一基のエンジントラブルでも水平飛行の維持は難しい(実際の事故はコレ)と思います。そして墜落して発火しても、防毒ガスマスクなしには消火活動もできません。

787もオスプレイも、ボーイング社にとっては極めて危険な博打だと思います。
そしてその危険な博打に、私たちが無理やりつき合わされ、巻き込まれかねないということに強い危惧を感じます。

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無料サービス「Googleアナリティクス」でわかる驚きのアクセス分析

2013年04月14日 | パソコンあれこれ

Googleが提供しているGoogleアナリティクスは、文字通りインターネット上でのアクセス状況を解析する無料ツールです。
ブログやホームページへのアクセス状況を多角的に分析できるのが超便利。
といっても、最初のうちは1日のアクセス数を過去1か月間の折れ線グラフで表示する「ユーザーサマリー」を見ているだけでした。


が、これにとどまる限りはgooの「アクセス分析」と変わらず、しかもGoogleアナリティクスはあくまでGoogleを検索エンジンとして使用したアクセスだけを対象にしているので、そこで集計されたアクセス数は、実際のアクセス数よりかなり少なくなります。そのため余りメリットがわかりませんでした。
ですが、最近になってGoogleアナリティクスのメニューをよく見てみると、「リアルタイム」という項目がありました。
で、その項目の下のサブメニューにあるサマリーをクリックしてみました。すると、本当にリアルタイムのアクセス状況が表示されたのです。
つまり、今現在の、私のブログへのアクセス状況がわかるのです。これ、ヒッジョーに面白いです!

今、どの地域(日本だけでなく世界各地の市区町村名がわかります)から、どのページを、何人の人が、どのくらいの時間滞在したか、また一度の来訪で何ページご覧になったか、閲覧手段パソコン携帯タブレットなのか、そのお客さんが新規リピータか、たどり着いた検索キーワードは何かといった、アクセス状況の具体的な分析がリアルタイム(といっても数分のタイムラグがありますが)に表示されるのです。
しかもそれが無料のサービスというのですから、すごいです。

利用するためのブログへの設定は、指示に従ってやればあっけないほど簡単ですが、事前にGoogleのアカウントを作っておくほうが作業は早くできます。具体的には各ブログサービスをご覧ください。

で、ブログをGoogleアナリティクスに登録してからの利用方法ですが、まずログイン画面が出てきます。
そこで上記のGoogleアカウントのIDとパスワードを入力したら、上記のユーザーサマリー画面が表示されます。

そこで画面左のメニューから「リアルタイム」をクリック。
その下の「サマリー」をクリックすると、現時点のアクセス状況がわかります。(ただし、以下はあくまでYahooを含むGoogle検索のアクセスのみですが)

↑の例では二人の方がご覧になっている状態です。よく見るとこのお二人はリピータの方ですね。

↓の場合は4人のアクセス例ですが、リピータと新規の割合は半々であることがわかります。


どちらから見えられているかもわかります。


●にカーソルを当てると地名も表示されます。


日本だけでなく外国からのアクセスもわかります。↓(これはユーザーサマリー画面ですが、リアルタイム画面でも場所の表示は同じです)


さらに「市区町村」まで絞り込むと↓

ロンドンから見ていただいていることがわかります。
他にもロシアや南米など思いがけないところからのアクセスがあったりするとうれしいですね。

リアルタイム」・メニューの「サマリー」表示ではアクティブなページのURLが示されても、それがどんなタイトルのページかわかりませんね。その場合は「サマリー」の3つ下にある「コンテンツ」をクリック。
するとページのタイトルが表示されるのでわかりやすいです。↓


話が前後してしまいますが、最初の「ユーザーサマリー」表示では、デフォルトの設定は1か月間の集計になっています。この間に国別集計とか、日本なら各都道府県別あるいは市区町村別に、滞在時間の長短・検索キーワード・訪問ごとのページビューの多少・新規かリピータかの割合などを集計して一覧表示してくれます。

過去1か月間の言語別集計↓


同・国別集計↓


同・市区町村別集計表↓


そしてたとえば大阪だけに絞って、アクセスしてきた時のキーワード別の集計などもできます。↓


そして、「リアルタイム」では1日のアクセス総数はわかりませんが、「ユーザーサマリー」で任意の1日単位の日付に変えると、その日のアクセス数の集計が可能です。↓

<比較>をチェックするとデフォルトでは前日が指定されますが、日付欄をクリックすると任意の日が指定できるので、例えばもっともアクセスの多かった日を指定しておくと、時間別のグラフで比較することもできます。

ブラウザのタブごとに、「リアルタイム・コンテンツ」と1日限定の「ユーザーサマリー」をそれぞれ表示させるようにしたら、現時点でのアクセス数と1日単位の集計と解析ができて便利です。

また、メニューの下の方にある「コンテンツ」→「サイトコンテンツ」→「すべてのページ」から、日付別に閲覧されたすべてのページを、住所別やキーワード別、新規かリピータの別、滞在時間の多寡などの要素を選んで集計表示させることもできます。

その他にも、ブログ全ページごとの過去のアクセス数の集計とか、滞在時間の比較ができるので、自分のブログの人気ページ・不人気ページをリアルに把握できます(私の場合は不人気のほうが多いです^_^;)。
ほかにもまだまだ使い切れていない機能が多いので、目下研究中です。(笑)

というわけで、Googleアナリティクスはブログの運用に大変便利ですが、ブログなどよりビジネスに活用してこそ本当に意義のあるツールですね。
自社の製品や、サービスごとのページのアクセス状況が、リアルタイムに多面的に把握でき、また期間を自由に設定してさまざまな分析ができるので、いろんな意味で大変役に立つだろうと思います。

でも、私のように商売とは全く無縁であっても、自分のブログがどのように見られているかがわかるだけでも、面白いです。遠く離れたところからアクセスしてくれていると思うと励みになりますね。(もっと頻繁に更新しなくては^_^;)
ぜひこの便利なサービスを利用できる方は、ためしに使ってみてください。
きっと目から鱗が落ちますよ。(笑)

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再び宝塚宙組公演『モンテ・クリスト伯』『Amour de 99!!-99年の愛-』を観て

2013年04月07日 | 宝塚

二度目の観劇はドンカルロス以来。やはり話がドラマチックでハッピーエンドなのがなによりです。(笑)

金曜日の観劇は久しぶりですが、この日はヨメさんの診察が入っていたのでまず近くのクリニックへ。終わったのが10時。そのまま大劇場に出発しました。前回と違って全く渋滞なしに到着。まだ花の道の桜は残っていました。

また写真を撮ってから大劇場へ。桜を2度楽しめたのは初めての経験ですね。

昼食はまた親子丼です。(笑)やっぱり絶妙の卵の加減がおいしかったですね。そして係員のみなさんの親身のサービスもありがたかったです。何より安くて、エンゲル係数ならぬ演劇係数の高い私たちの家計にやさしいのがうれしいです。


この日は前回より4列前の14列の上手側80番台での観劇でした。客席の入りについては、けっこう空席がありました。いい舞台だと思うのですが、残念でした。

今回は前回のオペラ忘れで見られなかった出演者の表情とか、主役以外の小芝居にも注意してみました。まず気づいたのが、冒頭の結婚発表の場で逮捕されるシーンでの凰稀かなめの表情。
メルセデスに土産の貝殻のネックレスを渡して喜び一色だったのに↓、

一転して連れて行かれることになったダンテスの悲痛な、絶望感にあふれた表情が胸を打ちました。
その後の獄中での絶望の姿もリアルでした。


それと対照的なのは、その結婚の発表の場に居合わせた悠未ひろ朝夏まなとの表情。結婚発表を祝うめでたい席の片隅で、それぞれ嫉妬に怒り狂っていました。(笑)

そして貴族のメンツをつぶされて怒ったフェルナンは、メルセデスに偽りのダンテスの死亡話を告げて、まんまと結婚までこぎつけます。でもすぐ不仲に、というかフェルナンが放蕩生活を再開します。原作ではフェルナンとメルセデスは従兄妹どおしだとか。

何度見てもフェルナンが一番性格の悪い奴です。
それにしても朝夏まなとの眼の大きいこと。これでは朝夏まなこです。(殴)

それに比べたら、悠未ひろのダングラールのほうは従犯に近いです。でも自分が船長になれなかったからこの怒りの表情。

疑問なのは、ダンテスは一等航海士なので船長になるのは当然ですが、ダングラールは会計士です。だから二重帳簿をつけて横領していたりしますが、それで船長になりたいというのは、どう考えても無理筋な話。実際に後で銀行の頭取になっていますから、船長になりたいなどというのはよくわからないところです。まあ海運会社で出世が遅れていた不満からダンテスに怒りを向けたということでしょうか。

蓮水ゆうやのヴィルフォール検事は、出世と保身に汲々とする小役人ですが、最初は釈放するつもりが自分に火の粉が降りかかることがわかってダンテスに罪をかぶせるずるがしこい人物ぶりがよかったです。(笑)


今回の舞台、全体に石田先生らしい台詞がウケていましたね。グーグルマップだとかiPad戸塚ヨットスクール還付金詐欺よろこび組、「わすレモン」とかいろいろ笑わせてくれます。マルキ・ド・サド侯爵がつながれていた監獄だとか、ファリア司祭のハンムラビ法典についての解説も勉強になります。(笑)
挿入されたエピソードでも、銀行の取付騒ぎとか、キプロス危機を連想してしまいました。

今回観ていて気づいた最大の収穫は、ルイジ・ヴァンパ(密輸船のボス)の配役がなんとジョニー・デップ!に変わっていた(笑)ことです。
ええ、まんま「パイレーツ・オブ・カリビアン」でした。七海ひろき、完全になりきっていましたね。面白かったです。
ルイジ・ヴァンパの手下が鹿児島弁なのも正体がわかりやすいです。オーシャンズのみっちゃんといい、今鹿児島弁が宝塚のトレンディでしょうか。

さて、今回の観劇の一番のお目当て・メルセデス役の実咲凜音です。一番私がオペラで見たかったのは彼女の役ぶりの変化でした。前回も書きましたが、やはり役に入りきっていますね。大したものです。
顔が見えないショットが多いですが↓




母親の声と顔になっていました↓






今回の歌は、彼女の声とキーがあっていないのか、全体にか細い印象でしたが、初めて見せてくれた決闘前夜の立ち回り、けっこうサマになっています。


ところで決闘ですが、メルセデスが息子とダンテスの決闘をやめさせようとダンテスに頼みに行くところがプチ疑問。
いくら頼んでも聞き入れてくれないため、最後には自ら剣を取ってダンテスに挑みますが、ここで「アルベールはあなたの息子よ、だからやめて!」といえば済む話じゃないかと。
実際に彼女は翌日の決闘シーンではそう言うのですから、1日前でもそう変わらないと思うのですが。
でもそれだとせっかくのクライマックスがなくなってしまいますね。(笑)

もひとつ説明不足で腑に落ちないのが、メルセデスがフェルナンに撃たれて倒れる場面。
私は、「あ~あ撃たれた、もう死ぬのか」とがっかりしましたが、そのあと彼女は立ち上がり、全然怪我したそぶりもなくピンピンしているのが不満です。
ここも、誰でもいいから倒れたメルセデスを抱き起しながら、「大丈夫だ、ちょっとかすっただけだ」と言ってくれたら納得するのですが。(笑)

ショーはなんといっても「リオのリズム」の場面がダイナミックで一番でした。
派手な中にもセンスのいい色彩の衣装で踊るカーニバルが大迫力。その中でもやはりパイナップルですね。何とも驚きの脚線美。すごいものをみました。



「アルジェの男」の蒼乃夕妃のダンスといい勝負です。(笑)

あとは「愛の宝石」(カゲソロの純矢ちとせがいいです。この人のエロイーズ役も悪女ですが個性的な美貌が印象的でした)から「シャンゴ」に続く場面もダイナミックで迫力があります。

エピローグのリフトもきれいでした。


そうそう、ショーの中で凰稀かなめが歌う「Amour de 99!!」では「愛に満ちた要となれ」という歌詞があったりして、藤井先生も遊んでいましたね。

今回も凰稀かなめが最前列のお客さんに赤いバラを渡していました。貰えた人、ラッキーでしたね。


というわけで、リアルタイムで見ていなかった私でも楽しめるショーだったと再認識でした。






私たちが2回も見てしまったほど出来がいいと思ったこの公演ですが、ベルばらを除く最近の公演と同様、あまりお客さんの入りはよくなかったですね。今回も後方の空席が気になりました。

でも、テンポよく展開される物語の面白さをたっぷりと堪能できるいい芝居でした。

ぜひ皆さんも、空前絶後の不気味なポスター(笑)に惑わされることなく、ご覧になってください。おすすめです。




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我が家のプリウスの実用航続距離を試してみました

2013年04月01日 | プリウス カスタマイズ



プリウスに乗り始めてから、給油回数と給油量は激減しました。まあそれがウリの車ですが。
前車・レガシィの3倍以上の低燃費なので、日常的には燃料ゲージをあまり気にしなくなりました。もっぱら注意するのはメーターの平均燃費表示の方ですね。

でも、1回のガソリン補給でどのくらい走れるものか、実用的な航続距離の限界はこれまで試したことがありません。
インターネットでは1回の給油で1600km走ったとか報告している猛者達もいますが、クルマの流れに合わせて普通に走ることを第一にしている私にはとてもマネできません。でも、普通の運転でどれだけ走れるものか試してみたい気持ちはありました。

そして今回、図らずも宝塚観劇の往復の際にそれを試す結果になりました。

出発時、すでに燃料計は10目盛りのバーの下2つが残るだけでした。でも自宅から大劇場まで(帰路の途中寄り道しましたが)往復150km足らずなので、十分行けるだろうとタカをくくって、そのまま出発。
帰りに補給しようと思っていましたが、うっかり忘れたまま阪神高速に入って、ピピッという警告音でようやく気づいたというお粗末です。
この時点で、前回給油時にリセットしたオドメーターは930km超、ハイブリッドシステムで残燃料での走行可能距離を見たら、実際の走行距離と比べて15kmほど不足していました。

でもまだ行けるだろうとそのまま阪神高速・池田線を走り、大阪市内で環状線に合流するあたりで、メーターの走行可能距離は9kmの表示
地形によっては急に燃費が悪くなることもあり得るので、メーターの平均燃費の数字とは無関係に、この100kmを切ったあたりから走行可能距離の表示は急速に減っていきますね。でもナビの自宅までの距離表示は25km以上。けっこう焦ってきました。(笑)

ただ、それでも何とか帰れるだろうと思っていたのは、この時点での平均燃費が25.5km/lを指していたこと。
メーター表示は結構甘いので、実燃費は24km/l程度でしょうが、オドメーターは950km前後になっていたので、それから計算したら消費したガソリンは40リットルぐらい。プリウスは満タンで45リットルですから、あと5リットルは残っているはずね。
ほぼ平坦な道なので、十分帰りつけるはずだと考えました。

余談ですが、10年ほど前、レガシィで同じく宝塚に行ったとき、帰り道でオルタネーターのダイオードが壊れてしまい、阪神高速で立ち往生した経験があります。
最初一般道でエンストしたときは単にバッテリーの寿命かと、オートバックスでバッテリーを交換してから阪神高速に入ったのですが、オルタネーターの故障でした。
最初は快調だったのですが、次第にバッテリーが放電して、走行中まずメーターパネルの照明が消え、次にスピードメーターや回転計、燃料計などの針がストンと落ち、完全に止まる前にはプラグの失火が始まってエンジンの息つきで車が前後にしゃくり始め、最後は力尽きて停止してしまいました。ただ、ハザードは最後まで点灯していました。
しかしこの体験、恐ろしかったですね~。今でもゾッとします。ヨメさんもよほどショックだったのか、今でもよく話します。
なんとか脇に停車して、携帯はなかったので非常電話まで歩いて管理センターに電話しましたが、夕方だったので見る間に渋滞が始まりました。
この時はJAFのお世話になってレッカーでディーラーまで運んでもらいました。オルタネーターのトラブルは結構多いと、その時のJAFのスタッフは言っていました。
夏の夕方だったのでエアコンをつけていて、ライトも点灯していたので更に放電が進んだと思います。
ちなみに私のレガシィと同年式車のオルタネーターの破損はよく起きていたようです。その後インターネットでよく見かけました。

プリウスを引き取りに行った時のレガシィです


さてプリウスですが、阪神高速の松原線を大堀で降りる前にはメーターの走行可能距離は0kmの表示になっていました。余裕を見ての表示とはいえ、あまり気持ちのいいものではありませんね。「ゼロのあとはマイナス表示に代わる」わけはありません。(笑)

でも、燃料ゲージの表示はバーひとつが点滅したままでかわらず。高速道路の走行中に駆動用バッテリーがよく充電ができたのでモーター走行が多く、ガソリン消費が抑えられたのでしょうね。
そのまま、無事いつものガソリンスタンドに滑り込むことが出来ました。

やれやれでした。ヨメさんも笑顔になりました。ちなみに私は何でも楽天的に考えるほうですが、ヨメさんは逆で、いつも悪い方に考えがちです。まあそれでバランスが取れているのでしょうが。(笑)

前回の給油は奈良に出かけた2月8日でした。それから967km走って、メーターパネルの燃費は25.4km/lを表示していましたが、給油したガソリンは40.02lだったので、実燃費はおよそ24km/lですね。
で、プリウスのタンク容量は45リットルということですから、まだ5リットル残っていたことになります。
なので今回のように平坦路だったら、最低あと100kmは走れることになります。
私のような、燃費最優先ではない普通の走り方をしていても、実燃費で平均24km/lぐらいを維持していれば1回の給油で1,000km以上走れるということがわかりました。

ただし、この日のルートがほぼ平坦な地形だったから可能だったので、これが旅先などで起伏の多い山道の往復という条件だったら無理だったと思います。プリウスといっても上り坂では普通の燃費の車ですから。
どちらにしても、燃料計の点滅(トヨタはこの時点での残量は6リットルとしています)が始まったら早めに給油するのが吉です。

特に最近は各地でガソリンスタンドの廃業が急増していますので、当てにしていたスタンドがなくなっていたということも十分あり得ます。

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宝塚宙組公演『モンテ・クリスト伯』『Amour de 99!!-99年の愛-』を観て

2013年04月01日 | 宝塚

観劇した3月30日は関西各地で桜が満開となり、しかも晴天との予報で、道路の混雑が心配でしたが、いつもより早めに出発したおかげで途中渋滞があったものの、なんとか10時10分過ぎには駐車場に着けました。

やはり「花の道」の桜も見事でした。根元のユキヤナギも満開で豪華な花見ができました。


観劇の日は団体客が少なかったようで客席の埋まり方が遅く心配しましたが、開演前には1階はほぼ満席になっていました。

まあ前置きはこのくらいで本題です。

ご存じのとおり芝居の原作者はアレクサンドル=デュマ・ペール。「巌窟王」といった方がわかりやすいかも。
脚本・演出は石田昌也先生です。
前にも書きましたが、以前の「ジャンヌダルク」があまりにも痛かったので、この先生にはいい印象がなく、おまけにご覧のとおりのむさくるしい(笑)ポスターなので、今回も期待薄な観劇でした。(←最近このパターンが多いです)

しかし固定観念はいけませんね。観終わったら、まあなんとも面白かったです!
原作がしっかりしているので当然とはいえ、波乱万丈の長編を要領よく短時間にまとめ上げていて、ストーリー展開もテンポがよく感心しました。ショーとの幕間で「これはもう一度観たいね~」というのが二人の一致した感想でした。
というのも、出発時にバタバタしてオペラを忘れてしまい(殴)、せっかくの美麗トップコンビなのに遥か18列から遠望するしかなかったのです。もう少し前の席だったら良かったのですが。

とにかく「モンテ・クリスト伯」は面白かったの一言です。

久しぶりに有為転変・波乱万丈の物語展開で、グイグイと引き込まれる快感を味わえました。 
ストーリーは違っても、昔スタンダールの「パルムの僧院」とか「赤と黒」を読んだ時のような物語の面白さが味わえました。

最後は原作と違ってハッピーエンドなのも良かったです。
終わりに近づいてこれはエデ姫と結ばれる結末になるのかと思っていたら、そこはサービス精神旺盛な石田先生で(そのサービスの方向がこれまではどうも合わなかったのですが)、原作と違う結末にしてくれていました。
せっかく世間が春爛漫なのに、芝居が悲劇的結末では帰り道も暗くなりますからね。(笑)
このあたり、ドンカルロスでも感じた高揚感が味わえてよかったです。

で、帰宅後大劇場に電話してチケットを確保しました。幸か不幸か今回よりいい席(上手よりとはいえ14列ですよ!)でした。
2回観るのもドンカルロス以来のことです。(笑)

石田先生、前作の「復活」から文芸大作路線になったようですが、いい選択ですね。今後もこの線でお願いしたいです。

芝居は何しろ長い話なので、狂言回しとして現代アメリカのハイスクールの演劇志望の学生たちと先生が登場し、話の筋を解説しています。
初めこれを見て、現代と過去をテキトーにごちゃまぜにした悪ふざけ(いえ、四谷怪談のことではないですよ)にならないかと不吉な予感がしたのですが(笑)、それは取越し苦労でした。舞台進行は節度のある切り分けが出来ていて安心しました。私の猜疑心も相当なものです。(笑)
登場人物にもときどき解説的な台詞をしゃべらせていましたが、それも充分許容範囲内。台詞といえばおやじギャグや今風の言葉をあちこちにちりばめて笑いを誘っていましたが、それもご愛嬌です。

舞台は冒頭の凱旋に続く結婚式の場面から暗転、主人公が牢獄送りとなり、焼き印を押される場面に。
その後カットバックしながら、投獄に至る背景を展開していく手法が気が利いていて効果的でした。ちなみに焼き印の小道具、なかなかリアルで熱そうでした。(笑)
今回はアッと驚く早変わりも多く面白いですね。

さて主人公の凰稀かなめですが、歌がまた良くなっていましたね~。
キャパで伸び代があると思いましたが、本当に成長していてうれしかったです。
タカラヅカでトップ就任した後に、歌が目に見えてよくなっていくのをリアルタイムで目撃できるというのはなかなか無いことですが、「銀河‥」より確実によくなっていると思いました。

心配したひげ面・襤褸衣装のむさくるしい場面も最少でした。当日買ったプログラムを見ると石田先生もその点に気を使ったとのことです。


当日買ったプログラムの表紙です↓


復讐に燃えるエドモンも、甘く優しい声と容貌の凰稀かなめがやると、「ニッコリ笑って人を斬る」ような底の知れない怖さがありますね。みるからに強面なタイプより、こういう一見優しく見える方がホントは怖いと思います。
ただ、脱獄後もそれほど変貌していないので、なぜ周囲に気づかれないのがちょっと不自然でした。烙印を見られて正体がバレる展開かと思ったりしましたが、それはなし。

メルセデスの実咲凜音は、更に歌に磨きがかかっていましたが、印象的だったのは演技のほう。
娘役の時の声や表情が、後年の女役に変わったら話し声も低く表情も老けていて感心しました。


演技のダイナミックレンジが広いです。自然な感じで役になりきっているのも大したものです。ここでもオペラを忘れたことが悔やまれました。
彼女、ショーでも歌ウマぶりを発揮、凰稀かなめの歌もよくなっているのでデュエットはけっこう見ごたえがありました。気品がある容貌なので100周年にふさわしい娘役だと思います。エリザベートも似合いそうです。
当日買ったプログラムより


悪役は朝夏まなと悠未ひろ蓮水ゆうやです。

中でも悠未ひろが怖そうで、こんな男を相手にするエドモンは大変です。

朝夏まなとのフェルナン、エドモンを陥れてまで手に入れたメルセデスですが、結婚後は全く執着せず放蕩の限り。
あんまりな仕打ちです。
これでは、エドモンを嵌めたのはただ貴族としてのメンツを潰された一時の怒りだけだったのかと思いますね。


朝夏まなとのヒゲは初めてですが、なにせ裸眼で見ただけなので、もう一度じっくり拝見することにします。(笑)
演技と歌はますますよくなっていて完成度が高く感心しましたが、これで二番手就任というところでしょうか?

安定感と存在感ではなんといっても悠未ひろでした。
前半はひたすら怒っています。うかつに近づいたら手ひどい目に合いそうなほどです。この人の存在感で、エドモンの復讐劇のリアリティが増している感じです。歌も朝夏まなととは違うスケール感があって大したものです。


検事ヴィルフォールの蓮水ゆうやは、私としてはキャパのイメージが残っているので悪人とは思いたくなくて、エドモンを無罪釈放することを期待していたら結局投獄してしまい、ちょっとガックリ。(笑)
自己保身に汲々とする官僚丸出しの検事が、自分に火の粉がかかってきそうになって、迷いながらもエドモンを罪に落とす破目になったのですが、できたら思いとどまってほしかったところです。(それでは話が成り立ちませんが)


その数少ない味方で儲け役なのが、ベルツッチィオ役の緒月遠麻
ちなみに私はこの人の顔を見ると、どの役でもなぜか意味もなく親しみを感じてしまいます。(笑)
今回はエドモンに助けられてからエドモンに一方的に心酔し、以後なぜか真人間になって(笑)復讐の鬼となったエドモンをいつも諌めていますが、あまり聞き入れられませんね。気の毒ですが、エドモンの復讐心に対しては説得力が不足です。(笑)

もうちょっとやりがいのある役にしてほしかったなと思います。

あと演技ではモレル社長とファリア司祭の寿つかさの好演ぶりが目立ちました。以前の印象ではあまり演技力の記憶がなかったのですが、今回はよかったですね。見直しました。エドモンもいい人に巡り合えたものです。




ショーのほうは過去の宝塚のショーやレビュー作家へのオマージュという感じでした。それぞれの作家の名場面を5つの愛として取り上げていましたが、当然繋がりとか一体感が薄いのでショーとしては?な印象ですね。

ただチョンパは効果的で、私たちもビックリ。客席も「おぉっ」という感じで受けていました。ただ、リアルタイムでその作品を見たことがない私にとっては名作といわれてもあまり感動も感慨もなかったですが、凰稀かなめのパイナップルの場面だけは驚愕の美脚披露でした。あまりにゴージャスで、そのあとのロケットの生徒たちがショボクて気の毒なくらい(笑)インパクトのある足長でした。


ヨメさんは子供の時に「華麗なる千拍子」でグラマーな寿美花代バージョンを観ていたとのことですが、こちらのほうが細くてきれいとの感想でした。
私としてはシャンゴとグラナダの場面が気に入りました。とくに後者はキャパのフィナーレみたいで見ごたえがありました。

歌といえば朝夏まなとがまず印象に残り、悠未ひろも抜群の安定感の歌でした。
そして専科の美穂圭子。ショーだけの出演ですが、やはり歌唱力は圧倒的ですごいですね。
カゲソロでの娘役の歌も聞きごたえがあり、エトワールも見事で、この組は歌の層が厚いですね。

というわけで、今回の観劇は十分に満足できました。物語展開の面白さとしては最近にない出来栄えで、石田先生らしくなく下ネタも少なく上品に仕上がっていました。この線で行ってほしいものです。

次の4月5日の観劇では、絶対オペラを忘れず、じっくり出演者の表情を追ってみたいと思います。

この公演、文句なしにおすすめです。


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