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TPPは「憲法より上位」の罠

2011年11月14日 | TPPについて
バタバタと「ドジョウ」首相が表明したTPP(環太平洋経済連携協定)参加に向けた協議入りですが、この協定、とんでもない内容です。

マスコミはTPPに反対しているのは農業関係者だけ、関税撤廃すればバラ色の未来が開けるかのように宣伝していますが、まったくのデマです。

首相の11月11日の参加表明に先だって行われた参議院での集中審議で、このTPPについて、面白い質疑がなされました。

質問者は自民党の佐藤ゆかり議員です。このサイトでは質疑の文字起こしまでやってくれています。ぜひご覧下さい。非常に面白いし、分かりやすいです。

自民党議員の立場から見ても、このTPPがいかに危険と考えているかがよくわかります。

質問の要旨は、
1.TPPは単なる関税交渉・通商交渉ではなく日本の「国家社会全体を網羅する」問題であること。

2.その上で、さまざまな通商自由化協定のなかでTPPが本当に有利の協定ではないと指摘。

3.しかも日本が実際に交渉に参加する半年後には、TPPの条項の中身や条文は決定済み。この段階で日本が入ると決まった条文を丸のみするかしないかの二者択一の選択を迫られることになる。今後交渉で日本に有利な条文に変える余地はない。

4.TPPでもっとも問題なのは知的財産権を扱う知財条項と、投資の紛争解決に関わる手段の条項=ISD条項の二つ。

5.まず知財条項。TPPのアメリカ案では、WTOのトリップス協定を超えて、極めて厳格で広範に財産権を規定。アメリカは医療技術(手術や治療方法も特許の対象!)や医薬品、社会保障分野でさえ、特許を付している。これを呑んでしまえば、社会分野、社会保障分野のサービス提供が自由に出来なくなる。アメリカの製薬会社が特許を盾にとって申し立ててくれば、国産のジェネリック医薬品の生産に支障が出て、薬価上昇で薬が買えない人たちが出てくる。

6.ISD条項とは、1企業投資家がその参入先の相手国を訴訟できるという条項。WTOにはこういう条項は存在しない。これを認めれば、例えば現在海外の企業が北海道や長野県の水資源の近隣の土地を買収しようとしている問題について、規制ができなくなる。
つまり、国内法より条約のほうが上位になるので対抗できなくなる。TPPで決められたものを丸呑みすれば、国内法は曲げて変えなければいけなくなる。
といった点について具体的に質問しています。

これに対してドジョウ首相は「あの、ISD条項の話、あの、ちょっと私あまり寡聞にしてそこ詳しく知らなかった‥」などと無知をさらけ出す始末で、他の関係閣僚もただ指摘された事項について追認するだけで、不利にならないよう交渉して行くとお茶を濁しています。

しかしすでに明らかになっているように、交渉できる時間はなくなりました。

ドタバタ劇を演じた挙句無理やり表明した記者会見の甲斐もなく、ホノルルで開かれた環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉9カ国による首脳会合にドジョウさんは招かれませんでした。
その首脳会合の後、オバマ大統領はTPP交渉については「大筋合意に達した」と宣言して基本条文を変えないことを表明しています。

結局出来上がったものを呑まされるだけになりそうです。

これはホノルルに行く前から分かっていたことです。
もっとも、時間があったとしても、日本の対米交渉能力などもともとゼロなので同じ結果になったでしょうが。

私が今でも疑問なのは、マスコミがこの程度のことも分からず(分かっていたが黙っていたのでしょうが)、「TPPで開国」とか「新たな成長戦略」などとデマって、内容の危険性を隠し、あたかも反対しているのは一部の農業従事者だけであるかのような歪んだ報道をつづけていることです。

マスゴミのこの異様なまでの対米不平等条約締結への衝動、その根底にいったい何があるのでしょうか。

彼らの意図が、TPPを口実に、震災で壊滅状態の東北の農水産業を切捨てて外国資本に売り渡そうという陰謀でなければいいのですが。


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