グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

「6次産業化」でおこるリスク・・・たとえば食中毒について。

2012-08-17 14:41:51 | Weblog
「6次産業化」でおこるリスク・・・たとえば食中毒について。

3月06日の当ブログの記事です。北海道でのハクサイの浅漬けが原因
とみられるO157の食中毒発生を受けて、再掲載しました。よろしか
ったらご参考に。

 ↓

『農業の「6次産業化」でおこるリスクもある』

来年度農業予算で

 農家などが加工や流通事業に進出して収益化をはかる「6次産業化」に
 ついては、官民の「農林漁業成長産業化ファンド」(仮称)で支援。創
 設資金として300億円を計上された。


ということから、熱い注目を浴びる 「農業の6次産業化」ですが・・・
前回は、「しかし、6次産業化〔農商工連携も含めて〕の取り組みは、現時
点でさえ山ほどある」という現実を お知らせしました。 こちら 。

そして今回は、もう一歩踏み込んで、6次産業化でもっともありがちな

 農産物を食品加工をすることで利益率を高める

という6次産業化の最大のウリポイントを例にとって、発生しがちなリ
スクを考えてみることにいたしましょう。

たとえばですね、

 農産物を加工して販売していた漬物に異物が混入した

といったケースはどうでしょう。さらには

 製造販売した惣菜や、農家レストランで提供した食事が原因で食中
 毒事故が発生した


というようなケースはいかがでしょう。

そう・・・たしかに農産物を食品加工し販売することで、利益率はあが
るかもしれません。
しかし、食品加工し販売するということは、同時に農産物を販売してい
るだけではおこりえなかったリスクもまた発生する可能性もあるという
ことを考えておかねばならないということなのです。つまり

 ただの農産物の販売には適用されないけれど、
 農産物を加工した場合は「製造物責任法」が問われる


ということなる。6次産業化を計画するということは、こういった不慮
の事態が発生する場合を常に考えておかねばならない
ということでも
あるのです。

 メリットには、かならずデメリットがついてくる

ということですね。

そういったわけで、農業経営に対するわたくしなりのアドバイスなのです
が、なによりいいたいのは、利益率をあげる方法は農産物加工ばかりが
その方法ではない
ということです。

たとえば農産物の秀品率を上げることでもいい。農産物の糖度とか機能
性とかの品質面を向上させる事もそうでしょう。収穫量をあげるのもいい。
その地域における珍しい作物を作るという手もある。

そうすることで、6次産業化を計画したことによるデメリットに関係なく
できた農産物を 既存の食品業界に高く買い取ってもらうことでも
利益率を上げることは可能だということなのです。

いじょう、優れた農産物や人気のある農産物を作るという農業本来の営
業努力を積み重ねる
こともまた、〔より簡単に〕利益率をあげる方法だ
というおはなしでした。。


◎ 高値が期待できるからと、全国で一斉に“早生”“極早生”品種を奨励
  しちゃったら、“晩生”のほうがよくなっちゃったなんて話は 農業界では 
  ごろごろ。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染